第10話 拾った女の子が神様だった件

 ──俺は今日もゴミを拾っていた。


 ドラゴンの少女アリエルが仲間になってから数日。

 俺たちは次の街へ向かう道すがら、古びた神殿跡に立ち寄っていた。


「ここ、なんか気になるんだよな」

 俺の《ゴミ拾い》が反応していた。光がチカチカしている。

「またゴミ見つけたの?」とミランが耳をぴくぴくさせる。

「まさか神殿のゴミなんて拾う気?」ルシアンが呆れる。

 だが俺は確信していた──これは“当たり”だ。


 崩れた祭壇の下に、ひとつの壺があった。

 蓋には「開けるな」と書いてある。

 開ける。


 ──ボンッ!!

 閃光が走った。


「わ、眩しいっ!?」

 光が収まったとき、壺の中から小さな少女が現れた。

 金色の髪に、純白の衣。手のひらサイズの羽が背中に生えている。


「ん……? ここは……」

 少女があくびをして俺を見上げる。

「あなた……わたしを起こしたの?」

「まぁ、拾ったというか、開けたというか」

「じゃあ、あなたが……パパね♡」


 ティアナ「パパ……?」

 ミラン「パパぁ……」

 アリエル「ご主人様がパパ……ふふっ」

 ルシアン「帰りたい」


 少女は胸を張った。

「わたし、創世神アルメリア。だけど、力を失って幼い姿になっちゃって……」

「神様……?」

「うん! でも、今はパパの守護神だよ♡」


 お約束が過ぎる。

 だが誰も止めない。止めたら負けだ。


「お腹すいた……パパ、なにか食べるものある?」

「ミノタウロスの残りが」

「やったぁ! パパだいすき!」

 神、食べる。


***


 夜。

 焚き火を囲んで五人と一柱(?)が座っていた。

 アルメリアは俺の膝の上に座ってスープを飲んでいる。

「ねぇパパ、ゴミ拾いってすごいね!」

「え?」

「だって、壺を拾ったら神様に会えたんだもん!」


 ミランが小声で「なんか洗脳されてるみたい」と言ったが、俺は聞こえないふりをした。

 アリエルは微笑みながらスープをかき混ぜる。

「ご主人様の拾う力、神にも届く……やっぱりただ者じゃないわ♡」

 ティアナも静かに頷く。

「ご主人様は、きっと世界を変える方です」

 ルシアンが肉を焼きながらつぶやいた。

「……そのうち世界拾い出すんじゃねぇのか」


 そしてアルメリアがにっこり笑って言った。

「ねぇパパ。わたし、力を少しずつ取り戻したら……パパを神にしてあげるね♡」


 世界の神すら、拾われる運命だった。

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