第45話 今日の夕食
俺たちはギルドのカウンターに戻り、ロックゴーレムの魔石と、大量に掘り出した鉄鉱石(結局鉄鉱石は10kgあった)を換金した。
そして、本日の収入はな、なんと!20万円也!!
鉄鉱石10kgが5万円、ロックゴーレムの魔石が15万円で換金して貰えたのだ! 初心者探索者としては、破格の臨時収入だ。
換金を終えた直後、俺はギルドマスターの部屋に呼ばれてしまった。
ロックゴーレム出現の時の状況を根掘り葉掘り聞かれてしまったのだ。
ギルドマスターは「地下4階にゴーレムとは…前代未聞だ!」と興奮しっぱなしだった。
ロックゴーレムは本来なら地下10階から下でしか目撃されていない魔物なので、地下4階に現れるのは滅茶苦茶レアな出来事らしい。
おかげで、かれこれ2時間程、事情聴取の為ギルドマスターの部屋に拘束されてしまった。
やっと事情聴取が終わり、俺たちはギルドから解放された。
俺はギルドから出てから腕時計の時間を確認。
現在の時間、PM6時。辺りはすっかり薄暗くなっている。
と、その時――
“ ぐ~~~~っ! ”
と、静まりかけたギルドの通用口で、誰のものとも知れない盛大な腹の虫が鳴る音が聞こえてきた。
「~~~//////」
音の鳴った方を見ると、スノーが顔を真っ赤にして俯いていた。(スノーの真っ白な毛並みの下の肌が、まるで茹でたてのエビのように真っ赤になっていた。)
「腹減ったのかスノー? すごい音だったぞ」
俺が笑いながら問いかけると、スノーはモジモジしながら答える。
「は、はい////// 今日は沢山運動しましたので、お、お腹が空いちゃいました////// 恥ずかしいです//////」
「某も腹が空いたで御座るよ。 腹が減っては戦はできぬで御座る!」
幸村も空腹を訴えてきた。 確かにPM6時を過ぎると腹が減るよな。
俺は笑いながら「じゃあ帰りに何か食って帰るか?」と皆に告げたが、藍音が冷静に指摘する。
「翔真、食べて帰るのは良いんだけど、スノーちゃん達獣魔が入れるお店が無いよ? 以前探したけど、全滅だったでしょ?」
そうだった。 以前、獣魔が入れる居酒屋を検索したが無くて、仕方なく宅飲みをしたんだった。 多分居酒屋が駄目なんだから、普通の飲食店はほぼNGだろうな。 う~んどうすべ?
そう考えていると、葵が名案を提案してきた。
「じゃあさ、翔真のアパートに帰ってから出前注文すれば? 20万も稼いだんだから、奮発しちゃおうよ!」
おお! 葵冴えてるじゃん! 出前かぁ。 良いね♪思い付かなかったよ♪
「出前良いじゃん♪ そうしようぜ♪ 皆はそれでOK?」
「私はそれで構いません。 温かいものが食べたいです」
「お館様の決定に従うで御座る。 飯テロで配信もできるで御座る!」
「私もそれで良いよ♪ 今日のお祝いだもんね!」
「私は言い出しっぺだから文句は無いよ」
「じゃあ決まりだな♪ 急いで帰って出前取るぞ!」
俺たちは期待に胸を膨らませ、足早にギルドから俺のアパートに向かって移動した。
アパートに戻り、各々落ち着いたところで夕食会議が始まった。
「さて、何の出前にする? 資金はたんまりあるから、普段頼まない物が良いよな? 皆リクエストはあるか?」
俺がそう皆に意見を求めると――
「私はお肉が食べたいです! 贅沢な牛肉を!」(スノー)
「某は魚が食べたいで御座る! 新鮮な海の幸を!」(幸村)
「う~ん。 私は肥りたくないから、ヘルシーな物が良いよ。和食系で!」 (藍音)
「茶碗蒸し!」(葵)
皆、見事に意見がバラバラ。 ちなみに俺は量が食べれれば何でもOK!
俺は皆の意見を纏めてスマホで検索する。 すると、皆の意見が全て通る物が一件HITした。 それは、回転寿司のテイクアウトだった。
しかし、此処は出前はやっていなく、自分で取りに行くスタイルのお店だった。
……出前はやってないのか。 でも……寿司……無性に食べたい。
「皆、回転寿司のテイクアウトでどうだ? 俺が取りに行くから」
俺は寿司がどうしても食べたくなったから皆にそう提案してみた。
「「「異議なし!!」」」(幸村、藍音、葵)
「翔真様! お寿司じゃあお肉が食べれません! 私はお肉が食べたいです!」
スノー以外の皆はそれで良いと言ってくれたが、スノーはどうしても肉が食べたいと主張してきた。
「そうだなぁ……回転寿司には確か鴨肉の握りがあった筈だよな? それを注文するのはどうだ? 高級鴨肉だぞ?」
俺はスノーにそう提案してみた。
「……鴨肉ですか……。 本当は霜降りの牛肉が良いのですが、仕方ありません。 鴨肉もお肉ですので、文句はありません」
スノーは心底不満そうな顔をしつつも折れてくれた。 よっし、じゃあ早速電話注文するか。
俺は回転寿司に電話を掛けてテイクアウトの注文をする。
すると、鴨肉の握りはテイクアウトしていないと言われてしまう。 しかし、スノーと約束した手前、俺は粘った。
「そこを何とか! 今日は冒険者として大金を稼いだんです! 特例で握っていただけませんか! 料金は多めに払います!」
すると店員さんがいい人で、特例で握って貰える事になった。(やはり金は正義!)
俺は全部で10人前を注文した。 お値段1万円也。 この位の値段なら、今日の収入の前では痛くないな。
出来上がりの時間を確認し通話を終了。 そして時間少し前に、俺は自転車に乗りアパートを出て爆走。
時間通りに回転寿司に到着し、無事握り寿司10人前(茶碗蒸し込み)をGETしてアパートに無事帰宅した。
結果……握り寿司10人前は、あっという間に皆で完食。 皆、ギルドでの戦闘以上に勢い良く食べていたので、完食するまでに20分掛からなかった。
スノーは鴨肉の握りのみを食べて満足げに頷き、幸村はサーモンの握りのみを食べて満面の笑みを浮かべていた。(そして、茶碗蒸しは葵が1人で全員分食べきった。)
「「「「「御馳走様でした!!」」」」」
今晩の夕飯は大満足な飯になったな♪
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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今後とも拙作を宜しくお願い致します。
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