占いうらら

矢芝フルカ

前編 誕生日はクリスマスの翌日

「お前が生まれる時は大変だったのよー。クリスマスだからタクシーがつかまらなくて、お父さん、その時はまだ車が無かったから……」


 母がよく言っていたこと。


 でも、私には何ら責任は無いと思うし、年内に生まれたんだから、むしろ親孝行だと思う。


 私の誕生日は、12月26日。


 エッセイ「やしばフルカラー」にも書いたが、クリスマス翌日の生まれなんて、あんまり良かったことが無い。


 誕生日占いによると、徳川家康と同じ誕生日だそうで、持統天皇が夫の天武天皇陵に合葬された日でもあるそうな。

 どっちも太陰暦の出来事だけど、太陽暦に換算したのかは、謎。


 西洋占星術では山羊座。

 そしてホロスコープによると、月が蟹座に位置するらしい。

 満月の生まれ。

 自分で調べて作ったホロスコープだから自信は無いし、他の星の位置は全く忘れてしまったけど。


 太陽が山羊座で、月が蟹座。

 ちょうど真反対に位置するオポジション、凶座相とも言われている。

 相反する社会性と心情。

 内面的な葛藤。

 ハードな人生を送りやすい。


 そして六星占術によると、

 金星の霊合星人。

 複雑な運命で、波乱や紆余曲折の多い人生だそうな。


 西洋占星術でも六星占星術でも、どうも複雑で波乱の多い人生だと言われている。

 Wダブル波乱。


 それは確かに当たっていて、とにかく本人は穏やかに落ち着きたいのだが、どうも星がそうさせてはくれない。


 特に結婚してからは、崖っぷち綱渡りのオートリバース。

 選択肢の無い選択を、ずっとさせられて来たように思う。

 

 「ここを過ぎれば楽になる」と思い続けて頑張って、どうにか切り抜けても、また先に難所が待ち構えている構造。


 結婚後の姓名判断も、どうやら良くないらしい。

 これは母が勝手に鑑定に出したらしく、「あんまり良くない」と言うだけで、詳しい話しは聞けずじまいだけど。

 

 楽になりたい。

 ずっとそう思ってきた。

 楽をしたい、じゃない。

 楽になりたい。

 もういい加減、人生に疲れた。



 それでも……と、思い直す。


 それでも、崖っぷちの綱渡りだけど、崖から落ちたことは無い。

 ギリギリでもどうにか持ちこたえて、今がある。


 経済的には恵まれなかった。

 けれど、人には恵まれている。


 大変な人生だけど、この道じゃなかったら巡り会えなかった人たちが居る。

 この道だったからこそ、世界の広さと深さ、そして優しく生きることを教えてもらった。



 私は、とても厄介な星の下に生まれてしまった。


 でも、不幸では無い。


 誕生日占いも、山羊座の運勢も、努力と忍耐を強いられる星だけど、その先に成功が待っている、と、ある。

 晩年は恵まれるらしい。


 晩年を楽しみに待ちたい。


 それまで生きてないとな。

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