地獄の顔は何度まで?
安達夷三郎
第1話
「起きろよー」
切実に問いたい。
朝起きると、家族でも何でもない友達が部屋にいた時の対処法を。
殴るか、悲鳴を上げるか、はたまた見惚れるか。
とりあえず私は夢の中だろうと判断し、目を閉じた。
それが、普通を知らない私の出した答えだった。
「......十秒以内に起きないと
「うわぁぁぁ!!」
ガバッと布団から飛び起きた。
畳の上にあぐらをかきながら座っているのは、同じく十王の仲間でサイコパスな
ちなみに私は
笑顔で殴ってくるから、サイコパスとか言われている。
十王や獄卒の暗黙のルールで、『変成王が怒ったら、すぐ逃げよう』なんてものもある。
「おはよう」なんて言う余裕はない。布団を蹴飛ばしたまま私は仰向けにのけ反り、目の前の変成くんを凝視した。
「脅されて起きるの、目覚めが悪いからやめて......」
「お前が起きないからでしょ」
にこやかな笑みでとんでもないこと言ったぞ、おい。
とりあえず変成くんを追い出して、のそのそと着替え始める。
私が生まれ育ったのは『地獄』と呼ばれる場所だ。
そして私達は悪行をして死後地獄に落とされた亡者達を裁いて管理するのが仕事......なんだけど、地獄の王でり、私達の上司でもある閻魔大王はポンコツすぎて笑えない。
人道には『嘘をつくと閻魔大王に舌を抜かれる』という迷信があるらしいが、全然そんなことはない。嘘をつくだけで舌を抜くようものなら、ほとんどの死者からの反発を受けて、逆に閻魔が三日くらい寝込む。
思い出しただけで頭が痛くなる。あの時の閻魔――地獄の王たる
(あ、元からなかったわ......)
部下である十王や獄卒からは『馬鹿』だの『馬鹿閻魔』とか言われている。少なくとも変成くんには言われている。
今日は閻魔に呼ばれているので、閻魔庁に向かう。昨日連絡がきて、絶対来て!とのことで理由は『とっても大事な用事』なんだって。
今までそれで呼ばれることはあっても、まともな用事じゃなかった。
『仕事めんどい、ぴえん』とか、『仕事多すぎて、ぴえん』とか......上げだしたらキリがない。
「秦広王、来てくれたんだね!」
「......」
えーっと、変成くん達に土下座されられているのは......閻魔だよね?
「え、何してんの......?」
「いやぁね〜、地獄の扉を開けっ放しにしながら寝ていたら
「秦!今夜はバーベキューだ!!」
「え、僕、焼かれる?」
「炭火焼きが良いですか?」
「あーん、めっちゃキレてるー」
ぎゅうぎゅうと無惨にも縄で縛られている閻魔。
それを囲みながら「おめーら今日はバーベキューだ!!」と、はしゃいでいる十王と獄卒のみんな。
(よーし、私は焼肉のタレを買って来ようかな!)
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