土食ってた小学生、ゲームにハマる

ぴよぴよ

第1話 どうぶつの森にハマる小学生

私はあんまりゲームをしない子供だった。

というより、ゲーム依存になると言われてやらせてもらえなかった。だからゲームの思い出はあんまりない。日本人がやるであろう、ドラクエやポケモンに触れたことが一度もないのだ。

DSは持っていたが、都道府県や英語を覚える勉強系のソフトをよくやっていた。


そんな環境で育った私が、両親にプレイを許されたゲームがある。

どうぶつの森と牧場物語だ。

どちらもゲームの中で生活を行う内容であり、スローライフが楽しめる。


幼い私はこれらにハマってしまった。毎日普通の生活と合わせて、ゲーム内で生活する暮らしが始まった。


どうぶつの森なんて特にハマった。ご存知の方も多いと思うが、説明する。


簡単に言うと、たぬきに金を渡しながら、家をひたすら増築していくゲームだ。


一体そんなに部屋を増やして何になるのか。

ローンを払い続けたその先に、プレイヤーは何を見るのか。そんなものはどうでも良い。

とにかくたぬきに金を渡すのだ。


どうぶつの森は、なかなか良く出来たゲームだった。ほんの一部ではあるが、社会の厳しさを子供に教えてくれる。


保険会社の人が家の前にいて、無理やり契約を迫ってくるのはリアルだった。ホンマさんとか言う、恐ろしい登場人物である。

彼はとてもしつこく、一度話しかけてしまうと、契約するまで逃げられない。

うっかり操作ミスで話しかけてしまった時には、本当に悔しかった。


大人になってから、保険の契約を勧められたことは何度もあった。いくら勧められても、ノーと言えるようになったのは、どうぶつの森のおかげかもしれない。


蜂に刺されたり、落とし穴に落ちたり、どうぶつの森ではいろんな出来事に会った。

当時小学生だった私は、毎日ローンの支払いに追われながら、このゲームに夢中になっていった。


どうぶつの森ライフは、楽しく過ぎていった。

楽しかったが、同時に大変なこともあった。


忙しい小学校生活に加えて、ローンまで払わないといけない。私の生活は多忙を極めたのだ。

村を綺麗にしないといけないし、家具もたくさん揃えたい。

慈善活動、清掃活動、そして金儲けなどやることが沢山ある。

当時塾にも行っていたし、一人で全てをこなすのは無理だと判断した。


私は早速母にゲームを渡した。そして村の草むしりとローンの返済を頼んだ。


母は「何で私があんたのローンを返さないといけないんだ」と至極普通のことを言った。


いいではないか。協力してもらわないと困る。私は塾の宿題や漢字の書き取りで忙しいのだ。

嫌がる母にDSを渡して、勉強に向かった。

いつも適当な母であったが、ゲームくらいはちゃんとしてくれるだろう。


勉強から戻り、DSを返してもらった。

村の草は綺麗さっぱりと抜かれており、金はたんまりある。実に良い。母はきちんと仕事をしてくれたのだ。


しかし村には異変が起こっていた。それにじわじわと気付かされることになる。

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