20話

俺は、しばらく寝室に待機した。


「ねぇ、私お姉ちゃんの様子見に行ってほしいんだけど。」


セレフィーネが俺の肩を揺らす。


おい。酔うからやめろ。


「そうすると、セレフィーネママに伝えとかないとな。今、この場から去ったらセレフィーネママとの接続が切れるから。あとで探すのは、結構辛いからな。」


「もうセレフィーネママっていうのやめない?ママの名前は、ミリアナ・エリュシアだから。」


うん、実は俺も呼び方に困ってた。


ミリアナさんに呼びかけた。


「ミリアナさん。セレフィーネがルネさん様子を見に行きたいようなので、何か用があればルネさんの寝室?で会いましょう。」


「ええ、わかったわ。」


おお、案外話がスムーズに進んで少し見直した。


仕事する時は、スイッチを入れ替えるタイプの人かな?


「んじゃ、伝えたし行くか。セレフィーネ、案内頼むわ。」

「まかセロリ!」

「何言ってんだお前?」


セレフィーネの奇行を無視して、ルネさんの部屋に向かった。


「なぁ、疑問に思ったんだが。そもそも、なぜエリクサーを作らなかったんだ?探すよりも早いと思うんだが。」


 材料は知らないが、エリクサーを作る技術はあるはずだ。あるよね?一国の姫が病に伏せたんだ、他国から買うって方法もある。


「それがねー、どこもエリクサーと引き換えにママとの婚姻を迫ってきたの!流石にこれには引いた。しかも、国を乗っ取るきマンマンだったからお断りした。私は、ほら、お姉ちゃんに比べたらそこまで綺麗じゃないから。」


ごめん。一気にあり得ない情報が流れてきて困惑しているんだが!


 エリクサーと引き換えに女王様と婚姻!?どんなメンタルだよ、俺でもドン引きだよ。

 確かに、ミリアナさんは絶世の美女に恥じない美貌を持っているが、いくら未亡人でもそれはやりすぎだわ。親子丼狙いか?


セレフィーネが無視されるほどのルネさんってどんな美貌だよ!?

流石に、俺でも想像できないんだが。


いや、あのミリアナさんの娘さんだ。きっと、凡人とは遺伝子の格が違うんだろう。


「とりあえず、間に合ってよかったな。後で、その婚姻をほざいた国を教えてね。

天罰を下しとく。」

「うん!一緒に滅ぼそ!」


セレフィーネとの熱い絆を感じた。


俺は、親子百合と姉妹百合が見たいからな。それを汚す者は全て消毒するのみ。


「この部屋がお姉ちゃんの部屋だよ。」

「だろうな、さっきからメイドさん達の出入りが激しいし。」


 メイド喫茶には行ったことはないから、知識はかなり偏っているが本職のメイドはどんな感じかな?


「さっきから、メイドに目がいっているけど、そんなに可愛い子いたかな?」

「いててててて、爪!爪が肩に食い込んでる!」


視界を共有しているから、メイドを目で追っていたのがバレてしまった。


「初めて、メイド見たんだからしょうがないだろ。」

「「ふーん」」

「いや、エレナさんも混ざる理由がわからないんだが?ほら、入るぞ。」


話を変えるために、ルネさんの部屋に入っていた。





「これは、、、、」

「うそ」

「ひどい」




そこには、完全に痩せ細っていたエルフがベッドに横たわっていた。

セレフィーネより美しいと言われている面影が全くない。


ここまで、酷いとはさすがに予想外だ。


「おしろいのに含まれる有毒物質の濃度が高かったのか、体に免疫が全くないのか。」


「ね、ねぇ。ジュンイチならなんとか出来たりしない?」


震える手が肩から伝わってくる。


「手はあるにはあるが、正直気が進まない。これを使うとおそらく暫く動けない。しかも制約がでかい。使ったことがないから、反動がどうくるか想像できない。」

「う、うう、ご、ごめん。」


見えないが、泣いていることが分かる。


女の子が家族を救えないことに泣いている?



己の無力さに悔しさが勝っているのだろう。











・・・・・・・・・・・・・・・・




あああああああああ!もう、俺ってとことん涙には弱いな。


「おい、今回だけだからな。あと、これから起きることは他言無用だからな。」


「え?」

「できるのですか?ここから、ルネ様を助ける方法が。」


「その前に、ミリアナさんとお別れの挨拶をしないとな。この遠隔千里眼は一度切ると暫く使えないから。事情を説明してから、ルネさんを救う。」




ーーーーーーーーーー作者コメントーーーーーーーーーーーー


テスト完全に始まった(絶望)


普通にだるい。テストなんて滅んでしまえ!


さて、次回はルネさんと触れ合い機会があるので乞うご期待!






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