受付嬢になりに来た女の子

 あれから10年が経った。

 成人となり、働くことができるようになった私は、いつも通り父を朝のトレーニングでねじ伏せ、湖岸に咲く太陽のように輝く花のように美しい母に抱きついて家を出た。

そう、憧れの冒険者ギルドへ受付嬢になりに来たのだ。

冒険者ギルドに入ると、視線が私に集まった。何見てんだこいつら、見世物じゃないんだが?あ、可愛い女の子もいる!あとで話しかけに行こう。

憧れの、受付嬢の所へと向かう。

やはり受付嬢というものは花のように美しい。


「すみません。登録をしに来たのですが。」

「え、あ、(冒険者)登録ですね!はい、もちろんです。あの『剛力』のマングスさんの娘であるダニエラさんのことはよくお聞きしております!」

「(何故父の話が……?)はあ、それで、どうしたらいいのでしょうか?」

「あ、失礼しました!こちらにご記入ください!」


 受付嬢、名札にはマリアンと書かれていた可愛らしい女の子に手渡された用紙には、名前、年齢、ステータス、職業、得意武器を書くようになっていた。

受付嬢になるのに、得意武器とは?と思うこともあったが、可愛らしいマリアンに出されたものに間違いがあるわけもないだろう、と書き始めた。

まさか、高所に咲く凛としつつも可憐で美しい母に恐れ多くもよく似た私が冒険者になりに来るなんて思われるわけもないだろうから。


(お、おい、あれって……)

(ああ、あのマングスさんの娘さんだぜ。)

(やっぱり!あのマングスさんが口々に褒めてたあの……!)

(あの子がここの冒険者になるとなりゃ、ここはもっとデカくなるぜ……!)

(おい、だれか話しかけにいけよ、あの子がしっかり育つように、導いてやろうぜ。)

(よせよみっともない!あのマングスさんの娘さんだぜ?マングスさん直々に教えこんでるだろうさ、むしろお前の方が教えてもらった方がいいんじゃねえか?)

(ぐ、それもそうだな。)


なにやら、後ろで冒険者たちがひそひそ話し始めたが、気にする事はない。男たちには興味なんてないのだ。

マリアンに提出するのだからと、速やかにかつ丁寧に記入を終え、提出する。


「はい、終わりました。それではよろしくお願いいたします。」

「はい!受け取りました!おぉ……これがあの伝説の『戦士』……!あ、失礼しました!」

「……?いえ、それで、採用の可否はどのようにして教えていただけるのでしょうか?」

「採用の可否?そんなの、即!採用!ですよ!」

「本当ですか!?ありがとうございます。」

「はい!これから、よろしくお願いいたします!」


晴れて受付嬢になれた、とても嬉しいそれでこの後はどうするのだろうか、研修などだと思うが。


「それでは、ダニエラさんにはこれから、座学を受けていただきます。あのマングスさんから教えてもらっていて、退屈かもしれませんが、重要な事ですので、あちらの部屋へお願いします。」

「わかりました。よろしくお願いします。」


やはり最初は研修か、勉強は大切だし、頑張って受けよう。



 座学の内容としては、ここ周辺の地理と、どんな魔獣が生息しているのか、薬草とか、1番近いダンジョンの位置だとかと、冒険者規則についてだった。

この辺は父が聞いてもいないのに散々話してくれていたし、この世のあらゆる宝石よりも美しい母に何度もせがんで聞いていたからよく覚えていた。

それでも、元冒険者だという綺麗なお姉さんのルイーゼさんが教えてくれたので、真剣に話を聞いた。

何度も(お姉さんについての)質問もした。


「ダニエラさん、その、貴方はもう十分だと思うから、実地で教えるわね。」

「はい!ルイーゼ先生!」


どうやらもう座学は終わりらしい。ルイーゼ先生にこれから手とり足とり、ぐへへ


「フィリップ!あとはお願い!」

「おう、任された!君がダニエラだね、よろしくな!」

「よろしくお願いいたします。」


爽やかなおじさんが来た、私のルイーゼ先生を返して欲しい。

ちなみに実地研修は雑魚を適当に薙ぎ払って父に教えられた通り解体したらもういい、もういいよと爽やかおじさんに言われて終わった。受付嬢の実地研修ってこんなものなのか。

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