王の護り人
傘帽子
第1話 王子の護り人 ―始まりの風―
【前書き】
火・水・風・土――
そして光と闇。
六つの力が世界を形づくる時代。
人はひとつの属性を持って生まれ、その力を糧に生きる。
だが、ときに二つ以上の力を併せ持つ者がいる。
彼らは“異才”と呼ばれ、畏れられ、称えられた。
ここ〈セレスティア王国〉は、
四大導士のひとり“風の導士”を生んだ地。
王と導士、そして軍が国を支える魔法国家である。
その王家を護るために選ばれた一人の少年。
アウリス・シュトラウス。
これは、彼が“王の護り人”となるまでの物語である。
⸻
【本文】
――六つの力の時代。
火、水、風、土の四大元素に、
光と闇が加わり、人々の生き方を決めていた。
誰もがひとつの力を持ち、それを磨きながら生活している。
だが、いくつもの力を扱える者は“異才”。
四つすべてを操る者は伝説とされた。
やがて、それぞれの力を極めた四人が現れ、
人々は彼らを〈四大導士〉と呼んだ。
彼らがいる限り、この世界の均衡は保たれる。
そう信じられていた。
***
昼下がりの王都。
石畳の通りを、少年が紙袋を抱えて歩いていた。
アウリス・シュトラウス。
風を操る魔法兵にして、第二王子の護衛を務める少年。
パン屋の女主人が、窓越しに声をかけた。
「一年続いた護衛はあんたが初めてだよ。」
「……そんなに大変なんですか?」
「前任なんて三日で逃げたって話さ。」
アウリスは苦笑し、紙袋を抱え直した。
「今日は学校かい? あのバカ王子は。」
「そんな言い方したら処分されますよ。」
「で、あんたいくつ? 学校行く年齢だろ?」
返答に迷い、アウリスは
「……また来ます。」
とだけ言って店を出た。
***
王立学院前。
白い石門の前で腕を組む少年がひとり。
レオナルド・アーク・セレスティア。
セレスティア王国の第二王子。
水と風の二属性を持ち、将来を期待される問題児。
「遅いぞ、アウリス。」
「申し訳ありません。道が混んでまして。」
「嘘だな。パンの匂いがする。」
見透かされ、アウリスはため息をつく。
「……さすがです、レオ様。」
「様はいらん! 外ではレオでいいって言ってるだろ!」
そのやり取りに、背後の二人が追いつく。
「また森に行くの? 許可は取ったの?」
水の癒し手リオナ。
「ほんとに親父さんが許可したのか?」
土魔法の使い手カイル。
アウリスの胸に微かな違和感が走る。
(――カイエル王は前線にいるはずだが……。)
馬車に揺られ、森へ向かう四人。
入り口に着くとアウリスは手綱を引いた。
「ここまでです。お気をつけて。」
「わかってる。何かあれば知らせる。」
レオは指輪を見せる。
アウリスもポケットのペンダントに触れた。
(――もしもの時はすぐ駆けつける。)
三人が森の奥へと進んでいく。
アウリスはその背中を見送り、静かに馬車を木陰に隠した。
「……帰ったふり、ってやつだな。」
風をまとい、三人のあとを追う。
木々の葉が揺れ、淡い風が流れる。
だが、その風の奥に――
かすかな“ざわめき”が混ざっていることに、
アウリスはまだ気づいていなかった。
森は静かに見えて、すでに何かが始まろうとしていた。
⸻
※この作品はAIアシスタントの文章構成協力を受けていますが、
設定・物語構成・監修は作者自身によるものです。
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