私の部屋なのに

睡眠厨

私の部屋なのに


よく聞く話だと思う。

心霊スポットに行った後に金縛りに遭うという話を。


私は医学や看護学、生物学が好きでたくさん学んだ。

だから知っていた。金縛りなんて所詮それらの知識で説明できると。

インターネットで調べてもすぐに出てくるだろう。


今調べてもらったかもしれないがそのとおり、簡単に言うと寝ているときに頭は覚醒しているのに体はついてきていないという状態が金縛りと言われる。


そこで、私が金縛りにあった実例をいくつか挙げようと思う。

まず初めに、中学生のころ

友達の家に泊まりに行ったとき、友達とふざけて玄関の盛り塩を水に溶かしたその夜だった。友達もうなされていたけど、どうしたのという声すらでない。友達を起こそうとする手も動かない。

何かが体の上に乗っかるような感覚があった。ただ頭を左右に動かして何かに抵抗するだけの時間があった。そのうちに手足も動くようになり、友達を起こすことができた。

そこで驚いたことが、その友達は同じ体験をしているどころか、その何かがこう言っていたと言っていた。

『おまえみえてるな、みえてるわかってる』と。


今はその友達も元気にしていますが、この時の話はあんまり覚えていないようです。

震えながら話を聞いていた私が鮮明に覚えてしまいました。



次は、高校入学の初日。

朝起きると、体が動かないという感覚だけがあった。

中学のころ、友達は頭だけ動かせたというのを覚えていたので、辺りを見回してみた。私の部屋だった。けれど異様に物がない。漫画とかをその辺に積んでいたはずなのに。

ここでおかしいと思ったことがもうひとつあった。

私は最近引っ越した後で、部屋にはまだ段ボールが積まれていた状態だった。

それなのに扉の外の廊下、階段の様子が前に住んでいた家の構造だったからだ。

この瞬間に、明晰夢に加え悪夢をみているんだということに気づいた。

しばらくして、影のような黒い人型のものが近づいてきた。

なぜかとてつもない恐怖を感じる存在だった。心臓の鼓動も呼吸もはげしくなる。

それは寝ているふりをしている私を舐めまわすように観察したあと、部屋の外に向かっていった

その後、部屋から出ていき部屋の目の前の階段を下りて行った。

私がほっとした瞬間に階段を駆け上がり、部屋に迫ってくる足音が聞こえた。

それに目が合ってしまった。目の前でそれがこう言った「やっぱりね。」

動かないと思っていたのに、なぜか動いた腕を振るとそれは消えていた。



最後に、大学入学し一人暮らしの生活を満喫していた時のお話だ。

友人もでき、数名グループで隣の県の有名な心霊スポットに行ってみないかという誘いがあり、快諾した。絶対楽しいじゃん!という軽い気持ちだった。

その心霊スポットは廃墟となった建物で、幽霊よりも生きてる人間がいたら怖いほどの建物だった。

私たちはこわがりながらも、記念写真などを撮りつつ帰宅した。

その写真に何か得体のしれないものが映っているなんてこともなく。「拍子抜けしたな」なんて軽口をたたきながら帰った。

その夜だった。

とにかく体が重く、熱でも出たかと体温計を探すも目に見える範囲にはなかった。

当時、はやり病の確認の第一歩として枕元あたりにはあったのだ。

まあ探すかと体を起こそうと思うと動かない。この瞬間に金縛りだと気づいた。

タイミングが悪いのかいいのか、スマホの着信音がした。

常にマナーモードにしているので、ブブブ、ブブブという音に助けられた思いだった。しかし手は伸ばせない。もどかしく思っていると通話は切れてしまった。

相手には不在着信となったんだろうなと思っていたら、もう一度かけてくれたようだ。ぶぶぶ、いや、んをこもらせたような音がする。

ヴヴヴっヴヴヴヴっヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ

布団の上から床に落ちてしまったんだと思い、探そうと思ったがその時に気づいた。

その音は、重たい体の上から鳴っている。

うなり声に聞こえないか?と脳裏によぎってしまい、恐怖を感じてしまった。

しかしそんなわけないだろうと自分を落ち着かせ、そっと目線を下にやると、布団がこんもりと山になっている。

布団と私の間には、黒い、影というしかないが絶対にこの世のものではない、なぜか女だと認識できるものが、うううううとうなっていた。

それを見たとき、恐怖で思い切り右手を振り上げ、抵抗した。

気付いたらその影はいなくなっていた。今でも鮮明に覚えている。

その後何もないことを願って寝たら、寝過ごし二限目にさえ間に合わなかった。

連れてきたのか、あるいは最初からいたのか、私には知る由もない




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