灰と光のあいだ
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灰と光のあいだ
わたしは、世界に溶けていた。
境界が崩れ、音が消え、
ただ、流れの一部として沈んでいた。
誰もいない場所で、
それを孤独と誤解していた。
深海の底で、
黒い静けさがゆらめく。
言葉は泡となり、
ひとつずつ、闇に吸い込まれていく。
世界は歪み、
わたしを巻き込みながら、
ゆっくりと渦を描いた。
それでも、
どこかで輪郭は残っていた。
名もない呼吸のように、
熱を手放さず、
灰の奥で、わたしはまだ燻っていた。
やがて、
その熱が形を押し上げる。
灰の粒が、光を思い出す。
わたしは息を吸い、
もう一度、世界の方へ歩き出す。
歪んだままの世界を、
わたしの輪郭でそっと包むように。
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