第6話 今までで1番緊張する夜 その3

朋美さんがキッチンで料理を作り出してから数十分後。キッチンから漂う物凄く良い香りが俺の鼻腔を擽った。


​「雄二さん、お待たせ致しました。出来ましたよ。青椒肉絲と唐揚げと卵スープです。ご飯はレンチンで申し訳ありませんが、ビールもお持ちしましたよ♪」


​朋美さんがキッチンから青椒肉絲が入った白くて小洒落たお皿(こんな洒落た皿、俺の殺風景な部屋にあったっけ?)と唐揚げ、そして卵スープ(スープ迄付けてくれるとはありがたいです)を俺が居る部屋まで運んで来てくれた。 後、キンキンに冷えたビールも。物凄く良い香りが部屋中に充満する。


その香りを嗅いでいると


​"グゥゥゥゥゥッ!!"


​と俺の腹の虫が盛大に鳴り響いた。


うわぁ……めっちゃ恥ずかしい//////。


俺は顔を真っ赤にして俯いてしまった。


​そんな俺の姿を見て朋美さんはクスッと笑った。朋美さんの笑う姿や仕草も可愛いなぁ。


​「……お恥ずかしい限りです……」


​「いいえ、恥ずかしい事なんてありませんよ♪ むしろ私が作ったお料理で雄二さんのお腹の虫さんが鳴いたのは嬉しいです♪ 雄二さんのお腹の虫さんが待ちきれないみたいですので、早速食べましょうね♪」


​「はい。では、ありがたく戴きます!」


​「どうぞ召し上がって下さいね♪」


俺は青椒肉絲を一口戴く。

んっ!ピーマンや筍の食感がしゃきしゃきとしている。豚肉にも味もしっかりとついていて物凄く美味しい!! …俺…青椒肉絲なんて普段食べないからなぁ。作ってくれて凄く嬉しい。


​レンチンご飯(茶碗が無いので、パックそのままを手に持つ。朋美さん、呆れたかも知れないな。今度茶碗買おう。それと炊飯器も)を口に入れて青椒肉絲と一緒に咀嚼。うん!ご飯に合う!めっちゃ美味しい!


​次に唐揚げを一口。……ん?何だかいつもの唐揚げとは違う様な……?何か物凄く美味しいのだが?


​俺は唐揚げを咀嚼しながらそう思っていると


​「ちょっとだけ唐揚げをアレンジしてみました。甘酢を作って鶏南蛮にしてみたんですが…お嫌いでした…か?」


​不安そうな顔をした朋美さんがそう言ってきた。


俺は急いで口の中の鶏南蛮を飲み込み


​「最高に美味しいです! 唐揚げの概念が変わりました! 嫌いだなんてとんでもない!」


​「良かった~。余計な事をしてしまったかと思いました~。心底安心しました~」


​と胸を撫で下ろす仕草をする朋美さん。うっ!その仕草は俺にクリティカルヒット!なんですが。


​目の前の美味しい料理を無我夢中で食べる俺をニコニコしながら見てくる朋美さん。


……そんなに見られると恥ずかしいんですが……。


​全部の料理を食べ終わり、俺は自分の腹を擦りながら満足感で一杯になっていた。


​「御馳走様でした! 滅茶苦茶美味しかったです!」


​「ふふ。お粗末様でした。気に入って頂いた様で何よりです♪」


​そう言って朋美さんはテキパキと食べ終わった食器等を片付けだした。


​……朋美さんって家庭的で素敵な女性だよなぁ。手際良いし、作る料理は滅茶苦茶美味しいし、そして超絶綺麗だし。朋美さんが俺の彼女だったらどんなに幸せだろうか……。


​いやいや、いかんいかん!朋美さんはただ俺へのお礼の為に仕方なく料理を作りに来てくれているだけなんだから。連絡先は交換したが、絶対に友達止まりで終わる。彼女になってくれる事は天地がひっくり返ってもあり得ない。決して叶わない妄想はしない様にしなくては!


​俺は余計な妄想を振り払う様に頭をブンブンと振る。


​「? 雄二さん? 何故そんなに頭を振っているんですか?」


​するといつの間にか片付けを終えた朋美さんが不思議そうに俺に問い掛けてきた。


​「あ、いや、何でもないです。気にしないで下さい」


​「? 変な雄二さん」


​そう言いながら朋美さんは缶ビールとグラス(どこから見つけてきたのか、普段使っていないはずのグラスだ。知らなかったなぁ……)を持ちながら座ってきた。何故か俺の横に。膝と膝が触れ合うか触れ合わないか、という距離感で。


​「ビール飲まれますよね? お注ぎしますよ♡」


​「な、なななっ! 何故俺の横に座るんですか!?」


​「? だって雄二さんの横に座らないとビールがお注ぎ出来ないじゃないですか。(わざとですけどね♡)」


​「し、正面からでもビールは注げるのでは!?」


​そう。うちにあるテーブルは小さく(一人暮らし様だから)正面からでも十分ビールのお酌は出来るのだ。でも朋美さんはそれを無視して俺の横に座ってきた。俺の今居る部屋は畳が敷いてある場所なので、横に座られると、すぐにでも肩や腕が触れてしまいそうな距離だ。


こ、これは非常に不味い状態なのだ!彼女から漂う甘く柔らかな香りが、鼻腔だけではなく、意識まで支配してくる……って、変態か俺は!!


「正面からビールを注ぐのは失礼ですよね?」


​そう言って朋美さんはグラスを俺に持たせてビールをグラスに注いできた。そして自分もグラスを持って


​「雄二さん、私もビールを戴いても良いですか? 雄二さんと一緒にビールを飲んでみたいんです♡」


​と可愛らしく俺におねだりしてきた。 当然断れる筈もなく


​「ど、どうぞ!」


​俺は持っていたグラスをテーブルの上に置き、缶ビールを持って朋美さんが持っているグラスにビールを慎重に注いだ。


缶ビールを持つ俺の手が震えている。そりゃそうだろう。人生で初めてこんな超絶綺麗な女性にビールを注ぐのだから。


​「ありがとうございます♡  では乾~杯♡」


​「か、乾杯」


​俺と朋美さんはグラスを合わせて乾杯をした。




ここまで読んで頂きありがとうございます。


もし宜しければ コメント レビュー ♡ ☆評価を宜しくお願い致します。


今後とも拙作を宜しくお願い致します。

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