第6話 半端な人
子供向けの活動は大切なことだ。
なぜなら、幼少期は学びの時期だから。
しかし、どんな一歩も大人の目が届く範囲でなければならない。
僕たちの物語は、僕がまだ子供だった頃に始まる。
キャンプ活動は、僕たちのようなやんちゃな子たちが待ちに待ったイベントだった。
外で泊まるなんて、ワクワクするに決まっている。
目的地は、田舎の遠く離れた小さな学校。
僕たち小さな子供たちは、列を組んで歌いながら、疲れ知らずで歩いた。
道中ずっと歌い続けた。
宿泊先は小さな学校。
学校側はすべてを準備してくれていた。
僕たちは浴室で水浴びをし、食事をとり、活動をした。
夕方になるとみんな疲れ果て、すぐに眠りについた。
僕たちは建物の二階で寝た。
古い木造の建物で、ベランダはなかった。
深夜、午後9時頃。
先生がホイッスルを吹いた。
僕たちを呼び出した。
「コンパスを使った活動をするぞ」
先生はそう言った。
僕たちは10人ずつのグループに分かれ、縦列に並んだ。
全員が懐中電灯を持っていた。
他のグループは次々と歩き出した。
僕のグループは最後。
先生について歩き始めた。
やがて、先生がコンパスを立てた地点に着いた。
先生は紙を一枚渡した。
懐中電灯で照らす。
先生は、正しい方角に従って歩けと言った。
コンパスを頼りに、他の先生を探せと。
だが、後ろの席にいるような僕たちは、
一斉に散らばって走り出した。
先生は慌てて追いかけた。
結局、活動は無事に終わった。
竹の鞭で罰を受け、
予定より早く部屋に戻された。
戻る前、僕たちは縦列に並んだ。
先頭から数えると10人。
最後尾から数えると10人。
先生自身が数えても10人。
人数が揃ったところで、先生は僕たちを部屋に閉じ込め、
鍵をかけた。
誰も口を開かなかった。
叩かれて痛いし、悔しいし、すぐに寝た。
翌朝。
先生が部屋を開け、僕たちは縦列に並んだ。
先頭から数えると9人。
最後尾から数えると9人。
先生が数えても9人。
一人がいなくなっていた。
先生は急いで部屋に入った。
誰もいない。
先生は緊急会議を開き、大々的に捜索を始めた。
近隣のコミュニティにも協力を呼びかけた。
別の先生が防犯カメラを確認した。
当時はビデオテープだった。
何時間も画面を見つめ続けた。
だが、部屋のドアは開かれていない。
外側から鍵がかかっていた。
窓から登るのも不可能だ。
二階は子供には高すぎる。
三日後。
その子は、活動場所の近くの森で見つかった。
幸い、果実のなる木があった。
なければ死んでいただろう。
水は小さな水たまりから飲んだと言っていた。
不潔だった。
だが、残る疑問は——
余分だった一人は誰だったのか?
その答えは、十数年後にわかった。
活動場所は、かつて魚を飼っていた池を埋めた跡だった。
以前、キャンプに来た子が水に落ちて死んだ。
考えてみれば、
その子はただ、帰りたかっただけかもしれない。
大人が連れて帰るのを待っていたのかもしれない。
だが、それは先生が油断して
もう一人を置き去りにしたことを許すものではない。
さもなくば、次は
余分な子が二人になるかもしれない。
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