1話 静桜学園入学

「ご入学おめでとうございます。皆さまが本日より通われることになるこの学校『私立静桜学園』では皆様が行う活動に対して全力でご支援をさせていただきます。」


教壇に立っている女性がこの教室にいる20名の生徒に対して一番最初に言ったことはこの一言だった。

東京にある私立静桜学園、日本にある私立校の中で様々な分野で1位を叩き出す。

他校とは比にならないレベルでの成績を世間にへと見せつけている。

だが今年はそんな生徒たちを世間にへと送り出してきたとしてもここにいる

20人はレベルが格段に違う。


「今回、ここにいる20名のうち18名は学校側が招待をして入学してもらいました。

招待したからこそ我々学園は皆さんが活動することに対して全力で後方支援をさせていただくと改めてここに表明いたします。」


教壇に立っている女性は俺たちに対してはっきりと宣言をした。

特別な生徒たちが今回入学するという子は世間でも噂にはなっていた、それがまさか招待として入学をしているとは思ってもいなかったけど。


「あの、一つお聞きしたいことがあるのですけどよろしいですか?」

「大丈夫ですよ。さかき未海みうさんですね。」


『榊未海』日本で最多数の数学オリンピック優勝者であり日本国内でも様々な教科分野で入賞を取っている、国の未来を支える一人として期待されている子だ。


「先ほど、20人中18人は招待されたといわれました、なら残りの二人は何なのですか?」

「そうですね、残りの二人は招待ではありませんが一人は入学試験の際に今までに学園史上初記録の成績をたたき出したのでこのクラスにへと入りました。もう一人は、学園長によるただのわがままです。」

「なるほど、成績でですか。そちらは分かりました、でももう一人の学園長のわがままって何ですか!理解できません!」


それに反応するように教室にいる何人かはうなずいている、俺だってうなずいてしまった。


「そうですね、理解できませんか。正直なことを言うと我々教員も理解ができないのです。本当に学園長のわがままで決まったようなものなので。」

「それってただの職権乱用じゃないですか。その学園長頭おかしいんじゃないんですか?」

「同意見ですね。」

「意味が分からない。」


榊未海と呼ばれていた子は本当にあり得ないという顔をしながら席に座った。

どうやら聞きたいことが終わったようだ。


「他に何か聞きたいことはある人はいますか?ありましたら今のこの場でこたえられることなら答えますけど。」


その問いに対しまたさっきとは違った子が手を挙げた。


「あなたは初瀬はつせ紫音しおんさんですね。何でしょう。」


『初瀬紫音』日本のピアノ界にその演奏で圧倒的な驚きを与えた、テレビにも出演しておりその演奏の魅力は日本国内だけでなく世界のピアニストも注目している。


「…さっき私たちのことを全力で支援してくれるって言ってたけど、…実際どんなことをやってくれるの?」


確かにここまで彼女らは支援はするといっても実際にどんなことをしてくれるのかは俺たちに伝えてない、その問いにどうこたえるのかを他の人たちも気にしているようだ。


「そうですね、基本的にはなんでも。と答えるのが一番いいでしょうか?」

「なんでも…?」

「はい、基本的に我々はあなたたちにこれを用意しろと言われたらすべて用意しますし、学校の勉強なんて意味ないからしないと言われても別に文句も言いませんし。」

「…私がピアノを練習するために部屋をひとつ貸してといっても?」

「そうですね。というかもうすでに準備してあるので後で鍵をお渡しいたしますね。」

「…わかった。」


どうやら、ここにいる人たちは気が付いたようだ。この学園はある意味狂っていると。

本来学校というところは社会に出るための基本を学んだり、人間関係を学ぶところだ。だがこの学園はというよりこのクラスだけは違う、自分が持っているさせるための環境だからだ。

本来それもいいと考えるだろうが才能をフル活用するということは自分の他の部分を成長させないのと同意義だろう。

だからこそこの学園は狂っている、才能を持っているからこそここにいる天才たちはそれに気が付いてしまった。天才が故のある意味の恐怖だ。


「さて、ここまで色々と話させていただいてて今更ですが私の自己紹介をさせていただきます。」


そういいながら彼女は姿勢を綺麗に正し俺たちに向かって自分について紹介し始めた。


「私の名前は羽星はぼしゆうと申します。あなた方のクラスの担任で一応この学園の教頭を務めています。分からないことやってほしいことなどがありましたら遠慮なく申し付けてください。本日より3年間皆さんの才能を最大限発揮できるよう支援してまいりますのでよろしくお願いいたします。」


彼女-羽星夕は俺たちに向けて綺麗な一礼をした。それだけ自分たちは本気なのだと示してきているんだろう。

ならば俺たちもこの示しに答えなければならない。

俺たちの静桜学園での生活は幕を開けた。


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皆さんどうも水永有軌です。

今回は『表裏の孤高 ~表に生きる天才たちは裏に生きる天才を見逃さない~』をご覧くださり誠にありがとうございます。

この作品はカクヨムコンテスト11に出させていただくことにしました。

初めてコンテストというものに出すのでとても緊張をしていますが楽しんで読んでくれると嬉しいです。

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それではどうぞこの『表裏の孤高』をよろしくお願いいたします。

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表裏の孤高 ~表に生きる天才たちは裏に生きる天才を見逃さない~ 水永有軌 @suieiyuki

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