第3話


「はぁ……。」


 そうまた呟いても次は誰の声も聞こえてこない。ここは放課後の学校ではなく、私の部屋でベットの上だから当然だ。

 今日の樋口さんは変だった……と言いたいけれど、私はそうやって語れるほどに彼女の事をあまり知らない。


「はぁ……なんなの。」


 彼女の気まぐれにはあの日以来、ずっと私の心をかき乱される。

 今日も、そしてきっと明日も。

 そう思っているとスマホの通知が来る。

 もしかしてっと期待しながら、スマホを見るがソシャゲのガチャ情報だ。

 じたばたして、ため息をつきふと気づいた。

 ――これ、ライン追加してもいいんじゃない?


「バレちゃったし、もういいよね。」


 少し勇気を出してラインを開いて、クラスラインを開き、メンバーを開く、樋口さんの名前を探す。


「いた。」


 でも、追加して何を話せばいいんだろう。

「明日のデート楽しみだね!」いや違う。

「こんばんは瀬戸です。これからよろしくお願いします。」これはなんかに違う。

「」もういい。


「はぁ……やっぱりやめよ。」


 スマホをそっと布団に置いて、自分も後ろにバタンと大の字になる。ふと思い出す。


「はぁ……明日どうしよ。」


 別に、明日が楽しみじゃない訳ではないけど、予定を決めてと言われると、一気にきが重くなる。

 こんな気持ちを晴らすために予定を立てようと思うが、そもそもこういう時にどこに行けばいいのか分からない。それに樋口さんが冗談でもデートなんて言うから気になってしまう。

 そうだググろう!私たち現代人には初期装備にグーグルという完璧な武器が積まれているのだから、それを使わない手はない。

 "高校生デート 何する"

 映画館、ショッピングモール、カラオケ、水族館、動物園……。


「……まず、何時かも約束してないし。」


 気づいてしまった。

 でもこれでラインを追加する口実もできた。

 理由が出来たらそれはスムーズだった。

 次は慣れた手つきでさっきの手順を踏み、

 ラインを追加して、トークに移る。


「樋口さん、明日のデート何時からどこ集合にする?」


 数分後に樋口さんからラインが来る。


「瀬戸さんライン追加してくれたんだね!」

「ありがとう!」

「じゃあ駅前に9時集合で!」


 はぁ……こんなに悩んでる私がバカに思えてくる。本来これくらいの感じでいいんだろうけど、そう思っていると追加のラインが来る。


「デートの予定考えた?」


 ため息が出そうな文面を見てため息をつく。


「はぁ……。」


 確かに当日に予定を伝えるっていいのかな、とは言え予定なんて何も決まってないし……。

 またため息が出る。

 仕方ない、素直に相談しよう。


「考えたけど決まってない。」

「樋口さんどこか行きたいところある?」


「うーん」

「別にないかなー」

「瀬戸さんが決めてくれるんじゃないの?」


「そうだけど。」

「どこ行けばいいのかわかんないから、樋口さんも考えてよ。」


「じゃあ午前はショッピングモール行って」

「そこでお昼食べて」

「それからはカラオケでも行こ」

「そこからは適当に」

「瀬戸さんはそれでいい?」


「うん、いいよ。」

「ありがとう、樋口さん。」


 すごい、こんなに早く事が進むならすぐに相談すればよかったも思う。


「はぁーあとは楽しむだけだ〜」


 今日にため息は置いて明日はしっかり楽しもうと思う。

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