第8話 炎魔法が使えても
盗んできてしまった
「返さなかったこと、後悔してる?」
「ごめんなさい」
「いいんだよ。散々傷つけた罰だと思えばさ」
罰を与えたいとは言え、盗むのは違う気が……。
「今頃反省してりゃいいのにな。無理か。ごめんね、共犯にしちゃって。でも、嬉しかった。俺の味方をしてくれたから。さぁさぁ、食べようぜ。あいつは嫌なやつだけど、
「あ、そうだった、背中向けるから、気にせず食べて」
「ありがとう。いただきます」
ひとくちぱくっと食べると、あまりの美味しさに涙がぽろぽろ
私は、今、こんなにも美味しいものを食べて、綺麗な
けれども、両親や村の人たちは、私の隣で笑ってくれることも、一緒に同じ景色を見て、思いを共有して、美味しいものを食べることもないのだと思ったら、私は独りだと思い知らされた。
独りではない。隣に彼が居る。分かってはいても、独りだ。そう、独り。鬼という秘密を隠し通さなければ、きっと優しい彼でも手のひらを返すだろう。
もしも鬼族がこの町を襲ったら? 私はまた立ち
私の魔法は戦闘に不向きだ。
それだけではなく、
寒い時は
「泣かないで。俺が守るよ」
ふわっと、優しく抱き締められて、その優しい
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