第7話 ダンジョンに住んでいた少年

ジョンのダンジョンの名前は特に決まってはなくはじまりの悪魔の洞窟と呼ばれる程度なのであるが、そこで産み出されるダンジョン産の品物はすばらしい。いわゆるドロップアイテムという奴だ。


ジョンが自由に産み出しているのでドロップ回数も比較的多い。修練度の高い冒険者がはいるべきダンジョンではあるが、それでも人気が高い。


どんな内容かは基本的に冒険者が話すものであるので、そこまで内容は記さないが、まあ想像以上の内容のダンジョンであることは言えるだろう。


基本的にジョン自身も創り出してはどんな内容のダンジョンか忘れるし、自動生成のダンジョンにしてしまうので、たいしてどんなものかは考えてはないが、そんな高難度のダンジョンの中を高頻度でクリアして旅人になった少年がいる。


今年10歳のダリアと呼ばれる栗色髪の少年だ。


身長は小柄で110センチほど、体重もそんななくどこか軽め。

大人になればきっと美青年になりそうな美しい顔をしていて、どこか優し気な雰囲気をしている。


獲物は黒い鞘にいれた小刀。


ジョンが戯れに作った小刀なのだが、ジョンの加護と、神々の加護がかけられている。そう気まぐれに作ったジョンの小刀があまりにも美しく素晴らしい作品だったので、ジョンを友と呼ぶ神達も戯れに加護を与えた。


そもそもダリアと呼ばれる少年は生まれつき英雄の資質もあったようで、ジョンが戯れに稽古をしたらみるみるうちに魔法や剣を覚え高レベルの冒険者達と遜色ない実力をもってしまった。


それこそ一人でドラゴンを圧倒できるような。


少年特有の傲慢さもなく謙虚に自分の能力を上げていくダリアに神々や精霊も力を与えていく。


元々ジョンのダンジョンにある村の出身であることから能力自体高く、成人前でありながらも素晴らしい。


幼さの中にある凶悪さは多くの神や精霊を唸らせる。

彼は悪魔を師にして神と精霊の加護を得る特異な勇者として注目されている。


ジョンの作った小刀はすでに刀霊が宿り多くの魔や聖の者を斬ってきた。必ずしも多くの者がこの世界に味方するものではなく、戦うために敵対するもの、自らの思想で戦う者も多く、被害を産み出す者もいる。


だからこそ英雄や勇者という存在も産まれるのではあるんだろうが、まあ神も精霊も悪魔も天使も思考があり思惑があれば俗物に近い者もいるわけだから、自分達が合う者と関わればいいだけであり、この世界ではそれが戦うという選択もあるというだけの話だ。



魔法も剣もあり、能力もある世界、まあステータスもあればまた違うのだろうが、この世界の都合上ない。


まあある程度戦えばそれなりに能力値の上昇は体感でわかるので、把握はできる。ジョンに至っては基本的に自分の力は抑えているのがデフォルトなので元々の能力値を知るものは自分しかいない。


彼自身の能力も彼にしかわからないが、ダリア自身はこれからも多くの事を学び得る事も多いだろう。


まだ成人前であり、今だダンジョンから出たばかりだが、ジョンの加護を得て注目をされているそんなダリアの物語はどうなるだろうか。


ダンジョンに住んでいた少年は大人になるときにきっと勇者か英雄として世の中に出るだろう。


出自としてはじまりの悪魔のダンジョン出身者は極めて特異な者として見られる傾向がある。


それほどジョンのダンジョンは素晴らしく凶悪という事なのだろうが、ジョン自体は性質的には優しいので滅多なことで人を死なせるようなダンジョンは造らないが、たまにどうでもいい悪党が来た時くらいは死も呼び込むような難易度にはするが、基本的には命に優しい悪魔ではある。



育てることに興味あるときと見守る時に興味があることがまばらなので基本は気まぐれ、むしろダリアを育てるのは珍しいくらいだ。


自分の子供は育てたりはしたが、基本的に最低限のことをすれば成長していたし、どちらかというと妻になる存在の女性達が面倒をみていたのもある。


ジョンは子供は好きだがそこまで育てる技能があるわけでもない。だがそれでも一通りの事はできるので出来ている風には見えている。


どんな世界も子供を育てるというのは労力のいることで、簡単に育てられるという発言はよくないというのはあるので、ジョンもまた歴代の妻のためには尽力はした。


まあそれでも根は善人なので、ダリアに関しても育てたくなったので自分のできる限りの事はしている。


ジョンはノリと勢いで生きてもいるので時々自分の苦手な事もする。

だが大概好転するのでそれはそれでよいのかもしれない。


よく考えたら自分の意見をいって勝手に曲げて伝わって叩かれたという世界もあったなあとおもう。ネットなんていうものもあったし、伝わらない事に関して労力を費やすより関わった人達が信じてくれたらそれでいいというのもあったので、まあある意味ダリアは成長すれば素敵な未来を運んでくれるという風にみんな信じたのかもしれない。


この世界も魔道の力でネットに近い事もできるが、こちらの世界も世界で自分の信じた言葉や行動で人を追いつめる人達もいる。


そんな中で健全な事をするならばそこにある情報をきちんと選択したうえで与えるべき人間に与えるというのが大事なんだろうなあとおもう。


少なくともダリアに関しても少年のうちは情報制限はかけてはいる、大人になるときに知るべき情報もあるわけだから。


便利なものは時に人を追いつめて死なせるものであるし、ダリア自身も身にしてわかるものはこれからあるだろう。



その時にジョンを含めて教える大人達がどうするかは考えなければいけないね。


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