第2話 悪魔は嗤う
とりあえず少年の術を解き、配下に預けたあと、僕はとりあえず葉巻を吸う事にした。前世も数少ない趣味で銘柄を気にせず葉巻を吸っていた。
まあ前世の記憶や地球の技術を再現できる能力もあるからそれなりにチートという風には仲間内からは言われていたが、まあそれもそれで今を有意義に過ごせるからそれはそれでいい。
与えられた能力とはいえ宝の持ち腐れというのは嫌なのできちんと修業をし研磨をし十全に扱えるようにしてきた。
今も尚自分の能力は増大していると感じている。
神に与えられたとて今は自分の力、ならば高めるには越したことはない。永き、不老不死という時間の中で大切なものも増え、時に亡くしもしてきた。
だがいずれも関わった者達は煌めきがあり誇るべき者が多かった。
中には記憶に残らないどうにもならない者もいたが、故に自身の悪魔としての矜持としては幸せになるべき者は幸せにならねばならない。
別に思想や理念などどうでもいい、自分が救いたいと願えばそれでいいのだ。そのための力を磨いてきた。
故に最強を常に求めるのだ。
理不尽であり最凶でありあらゆる世界を壊せるほどの矛であればいい。
過去の多くの苦難や悲しみ、出会いと別れを経て自分の在り方を見つけた。時に変えることもあるが、それでも他者を幸福にするための自分は捨ててはいない。
安全圏で幼子に剣を持たせ自分に相対させる屑に慈悲はない。
「さあはじめようか」
ジョン=ドゥは嗤うと同時に姿を消した。
とある王国
教団と呼ばれるある聖女が産み出した教団、すでに教団の教義は歪曲され幹部達のよいようにされている。
多くの人の悲しみの上に快楽は産み出されどうしようもない世界になっている。そんな中悪魔は舞い降りた。
悪魔は歌いながら目の前の幹部達の頭を撃ち抜いていく。それは拳銃というものだ。悪魔は銃の種類を知る事はないが、なんとなく選んだ銃の種類がしっくりきているのであとはどうでもよかった。
洗練された黒い銃、コレクターが見たら骨董品とでも言うような6連発撃てる銃。この世界では魔力があるので銃弾の代わりに魔力を込めて撃つので実質弾切れはない。
教団の中で悲鳴が起きた。まさか本当に来るとは思ってなかったのだ。そう悪魔は戯れていた。悪魔らしく自らの拠点に微睡ながら、彼は観察していたのだ。
いつ一線を越えるだろうと、そう思いながら、観察していた。まだ逆鱗に触れるような事はしてなかったのだ。
だが今回少年を派遣した事によって逆鱗に触れてしまった。
恐らく教団は優しい悪魔であるから子供には何もできずに終わるだろうという短絡的な考えを持っていたと思ってもいいだろう。
何より悪魔であるジョン=ドゥは教団と相対するとき能力の一割も使っていなかった。初代聖女とは友人であったし、二代目も一応娘の立ち位置だったので仕置き程度に収めていた。
だが悪魔は前世は人である、永遠の時を経ても根本的には善良であった人である。感覚としては現代日本人の感覚に等しいものをもっている。それも性善説を信じるような優しき人だった。
だがこの世界に転生して時を経るごとに自身の価値も変化していく、よりよく悪魔らしく自由な感性で自身の行動を強引に示す事ができる。
ジョン=ドゥはこの世界が生まれた時より居た悪魔、創造神の加護を受け、使命はなくとも使徒として選ばれている。
故にだ。
「僕はこの世界の全てに許されている」
そうこの世界で行う全てを免罪されているのだ。
ありとあらゆる欲望やありとあらゆる選択を許されている。
故に彼が裁くといえばそれは通るのだ。
この世界に発生した神や精霊、はたまた様々な種族すらも気にせず、だが彼はそんな力があっても無理に通そうとはしない。
自分もまたこの世界に生きる生命と認識しているからだ。
だからこそ懸命に生きる命を軽々しく隷属するような人間達に関しては無慈悲である。教団の良心にも期待したがそれも期待すべきではないと感じたので、教団を壊滅させることにした。
とりあえずまた歌いながら教団の敷地内へと歩く、多くの信者からかき集めたとされるお金で作ったとされる悪趣味な成金の館。
自分達の銅像やら宝石やらが散乱している。
聖女達はまだ教団の悪辣な者達に染まってはいないものの、行動を制限されているらしい。
まあそれもどうでもいい、理由も想像するだけ無駄だ。幼子を自分のよこすだけの外道というだけでいい。
面倒なので、教団内に対して命を刈り取る魔法を行使した。
この魔法はジョン=ドゥが暇つぶしに命を刈り取るには如何したらいいかという思想の元に開発した魔法で、命という概念ごと消失させる禁忌魔法だ。
膨大な魔力と概念を破壊する思念がなければ行使できない禁術。
ただの人間が扱えば廃人になるだろう。
故にこの魔法は秘匿とし、ジョン=ドゥが自身で扱う程度でしか扱ってない。
命というものを消失させるのは本来なれば神の領域ではあるが、ジョン自身も永き時を経て与えられた神性を更なる高みへと昇華したので、神以上の存在とでも言えるのだ。
神を越えた概念を持つ存在であり、今は創造神をも超える潜在能力がある、それでも彼は創造神に感謝をし今も尚友のように家族のように付き合っている。
まあそんなこんなで教団は壊滅し、幽閉された少年の母親である聖女も救い、まともな信者達も救いだし、適当に自己処理もした。
一応配下も全世界にいるので、荒事や何かある場合はなんにでもなるのだ。
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