第2話 部屋に高校生が2人きり何も起きないはずがなく
あまり気が進まない俺とは対照的にその横にいるこの黒髪美少女こと碧の機嫌は、久しぶりに会った俺でも一目で分かるくらいに上機嫌だった。
「本当に上がっていくの?」
「何?春くん私のことそんなに家に入れたくないの?何か私に隠し事でもあるの?」
その偶に目のハイライト消すのやめて!怖いから
「そ、そう言う訳じゃないけど」
「じゃあ良いじゃん早く開けてよー」
しぶりながらも、そう言う碧のふくれっ面をみて根負けし家の扉を開けた。可愛いなクソォ
「ただいまぁ」
「お邪魔しまーす!」
玄関に入ると奥からドタドタと足音を立てて何かが駆け寄り、その勢いのまま飛びついてきた。
「おかえりー!お兄ちゃんー!」
「──ゴフッ!」
「あれ、大丈夫?お兄ちゃん」
「……うん」
このラグビー部顔負けのタックル毎日かましてくるのが、俺の自慢の妹である
柏村夏樹(かしむら なつき)中学三年生俺と同じく少し茶色がかった髪で、いつも元気でそのポニテを振り乱している。
「お兄ちゃん、今日も世界一かっこいいよ!」
グリグリ
「そっかぁ、ありがとう」
こんな調子でめっちゃ褒めてくれるし、小さい時の努力のおかげがめっちゃ懐いている。まぁ人懐っこいのは大体全員に対してで、どんな人でも仲良くできる性格だ。昔はよく碧ちゃんを含め3人で遊んでいた。
グリグリ
てかいつまでぐりぐりしてるのこの子……さっきもこんなの見た気がするな。あ、碧ちゃんのこと言うの忘れてた
「夏樹、こちら永乃碧、碧ちゃんで分かるかな、よく一緒に遊んでただろ?」
「久しぶり、夏樹ちゃん!」
「誰、この女?わたし知らない」
「……ん?」
いつもの夏樹からは考えられない程の冷たい目と言葉遣い、おかしいな仲良かったよね?君たち
「な、夏樹?碧ちゃんだよ、覚えてなくてもそんなきつい言葉使っちゃだ、だめだぞ?」
怖いけどちゃんと注意する。これが兄の在るべき姿、てか妹に怯える日が来るとは
「いいよ春くん、それにそっちがそう来るなら
私も容赦しないよ?夏樹ちゃん」
バチバチと火花を散らす2人、
いやホントどういう事なんだ……
「いったん部屋かリビングとかで話さない?
ここじゃ話しにくいしさ」
「じゃあ部屋がいいな、もちろん春くんの!」
「別にいいけど」
「ダメだってお兄ちゃん!こいつお兄ちゃんの
優しさにつけ込んで何するかわからないよ?」
いや、何するか分からないって言っても何もされないでしょ……しないよね?
碧ちゃんの方を向いたらいつも通り…いやいつもよりちょっとニコニコ度が上がっている。なんか心配になってきた
とりあえず夏樹を説得して部屋に来たのはいいけど見られてやばいものないよな?自分のことながら今になって気になってしまう。
「ここが春くんの部屋?」
「そうだよ、適当にくつろいでて」
一度飲み物やらお菓子やらを取りに下に降りた。昔の友達とはいえ、いきなり部屋に連れ込むのはやばいかな?
久しぶりに家に人来たしお菓子の量がわからん、こんくらいで良いかな?
階段を登る時少し部屋から物音が聞こえた。え、なに?
何気なく変な感じがしたのですぐに入らず覗いてみた。
「春くん、はるぅ、スンスン」
おいおい、そこに俺はいないぞ碧。どうやら枕に顔を埋めて……嗅いでいる?それもかなり激しくちなみに枕はもちろん俺の
「ああ、春くんもうやっちゃってもいいよね?
部屋に入れてくれたんだもんこれっていいって事だよね?」
良くないです。何かを許可した覚えないし、このままだとナニが始まるか分かったもんじゃない。
夏樹が正しかったのか
とりあえず、このまま入るとゲームオーバー確定なので碧に気付かせつつ見てない事が証明できる
この手に限る!
「あ、碧ちゃん?お菓子とジュース持ってきたんだけど両手塞がっててさ開けてくれない?」
「──っ!うん、今開けるね」
よしひとまず大丈夫だよな?安心し、碧が開けるのを待った
「ありが…とう?」
扉を開けてくれた碧を見た。エロい……違う!
断じて違う、久々にあった友人にそんな感想出るわけない。でも枕に顔を埋めていたせいか髪は乱れ
なぜか目はとろんと蕩けている。うん…えちいな
「ど、どうかした?春くん」
「ううん、何でもない」
それからは驚くほど何ともなかった。偶に
めっちゃ触ってくるけど、碧も俺も昔の話が
出来て楽しめた。ナニもなかったよ?うん
話によると碧は最近ここら辺に帰ってきたばかりらしくもうすぐ俺と同じ高校に通うつもりらしい
来たら来たで学校で話す人が増えて俺からすればとても嬉しいことだ。
でもこんなにザ美少女みたいな子が来て、俺に
ヘイト向くなんて事があったらたまったもん
じゃない。
いちおうお昼とかは一緒に食べるのはいいけど、あまり今日みたいな距離感で来ないようには
言った。…たぶん分かってない
□
「なんか昨日は色々あったなぁ」
土曜の朝、そうやって1人で昨日のことを振り返っていた。なんか今日は碧も来なさそうだったから
昨日こと
「春くん、ごめん!明日は一緒にいられないの」
「別に聞いてないよ?それに忙しいなら無理しなくていいから」
うーん、学校行こうかな?土曜に一般生徒が学校に行くことはほぼないだろう。でも俺には行かなきゃいけない理由があった。
「仕事…溜まってるんだろうな」
そう、仕事。俺は生徒会に所属しているため色々と業務がある。かなりサボっているが、なんか許されている。
◾️
学校には着いた。でも、まだ心と身体が業務を
拒絶している。帰ろうかな、そう思った瞬間
「柏村君?」
「あ、会長」
振り返った先には俺の先輩、てか生徒会長がいた
とんでもなく整った美しくも少し幼さを残す顔に女性にしては長身でスラッと伸びた足。加えて 抜群のプロポーション、そうスタイルが良い
そんな先輩の名前は宮前雫(みやまえ しずく)
この人は男子女子問わず人気というか憧れが
すごい。一見近づき難いように見えるが、一度
話してみればとても話しやすい。まぁ俺は生徒会のサボり枠として煙たがられている。
「何してるの?やっと仕事する気になった?」
節々に怒りを感じる。…いやホントすみません
「は、はい、いちおう?」
「そう、なら早くきて、仕事溜まってるわよ?」
案外あっさりだった。俺がいうのも何だけど
もう少し怒られるかと思ってた。
久しぶりに生徒会室に入った。当たり前だが
俺以外は皆んな揃っていて、そこに一緒に生徒会に入った川島立喜(かわしま たつき)もいた
爽やかな感じでいかにもモテそうな男だ。…何で俺の周りこんなのばっかなんだろう
入ってすぐは全員机に向かっていて気付かず
生徒会長が帰ってきたんだなぐらいにしか
思っていなかったのだろう。
席に着くと横の立喜が驚いたのか大声を出した
「ん?て、ええええ!」
「何だようるさいぞ立喜、集中しろって、
はああ⁉︎」
色々失礼だろこいつらとも思ったけど、悪いのはどう考えても俺だったので何も言えなかった。
その後生徒会のメンバーにぺこぺこ頭を下げまくり、一時的に場を収めることができた。
「でも、驚いたよもう来ないもんだと思ってたし」
そう笑ってくれているのは立喜、俺と違って部活があるのに生徒会との掛け持ちを成立させているヤバいやつ。前と比べて少し茶髪になっていた。まぁうちの学校は地元では有名な進学校だが校則は緩めで倍率が高い理由でもある。
「俺も、もう席ないかと思ってたよ」
「無くしてもよかったんだぞ」
冗談を含んで笑う俺を岩瀬先輩が睨みつける。この人顔怖いし厳しいし苦手なんだよな
「はは、すいません」
「とりあえず、やろーぜ色々教えてやるよ」
こんな時にも気を使って助け舟を出してくれるなんて、なんて良い友を持ったんだ俺は
「ありがとうマジで」
そう返事するとなんだか会長に睨まれた気がする。ちゃんと仕事するか見張っているんだろうか。
──────────
1話目を見てくれた人本当にありがとうございます
フォローやハート、星を付けてくれた人いてまじで
嬉しかったです!コメントもお待ちしてます!
2話目です!
今回はちょっと碧ちゃんでヤンデレ風味出たかな?
こっからどんどん濃いめマシマシにしていきたい
悩んでるんですけど妹はレースに参加させた方がいいかな?純妹は許されるんか?
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