第39話オルデント魔国

「貴殿が報告のあった、未開地にある国の王か。交易を継続してくれているのは感謝している。必要なものだったことは、言うまでもない」


「何、こちらも余っているものを売らせてもらっていただけだ。気にする事ではない」


 オルデント魔国から使節団がやってきた。まあ、色々と言いたいこともあるんだろうが、まずは物資の件について、色々と話をしていた。交易をしていた事も解っている様子。今回の事で、どんどんと交易をして、仲良くしましょうねってことなのかもしれないが、仲良くは出来るのだろうか。そもそも大陸の統一まで考えているのだから、仲良くは出来ないとは思うんだけどな。そんな事は言わないが。言う必要も無い事だからな。


「それで、今後も交易を続けてもよろしいか? 色々とあるとは思う。こちらも必要な物を提供できるはずだ。今までよりも大規模に交易を行いたいと思っている。国の規模から考えるに、貴殿の国は大きくなった。だが、まだまだ足りないものが多くあるだろう。それをこちらからも提供する用意がある。どうだろうか?」


「それは願っても無い事だな。物資は足りないとなってはいけない。無限に物資が出てくる訳でもないのだから、交易を大切にしていくこともあるだろう。今のところは、交易を重視しつつ、互いに発展をしていければなと思っている」


「それでは、こちらも出せるものは出していこうとは思います。今後とも、良き関係でいられればと思いますので」


「今後は今後だからな。何が起きるのかは解らない。未開地もまだまだあることだからな。未開地の開発をしつつ、国が大きくなっていけば良いとは思っている。最大の懸念事項は食料問題だが、これに関しては、聖ルクレイア国を落としたことで、ある程度は解消されると睨んでいる。まあ、今後の事は俺にも解らん。何がどうなっていくのか、それを見届ける必要があるとは思う」


「それはそうでしょう。未来を見ることは出来ませんからね。未来は明るいのか暗いのか。それは誰にも解らない事でしょう。こちらの希望としましては、国が存続できればそれで良いという感じです。今のところは、それ以上には望みませんので」


「国が存続できれば、か。最終的には無くなるだろうが、今はまだ友好関係を続けていければとは思っている」


「……最終的には無くなるのですか?」


「そうだ。最終的には無くなる。俺たちの国が、大陸を制覇するつもりだからな」


「大陸を……。これはまた、大きく出ましたね」


「そんな事は無いだろう。数千年はかかるだろうが、些細な問題だ。まだまだ未開地もあることだし、そちらの開発をしつつだな。国を大きくしていかなければならない」


 結局は言うのかよって感じではあるが、大陸の統一はするからな。仲良くできるのは始めのうちだけだ。その後は、国としては残らない。貴族制も廃止するし、王も辞めてもらう必要があるとは思うが、それで良いのであれば、併合する準備はあるんだ。併合されてもメリットはあると思うんだがな。君主として、有能であれば、そのまま町を治めることは出来ると思う。まあ、平民になるんだけどさ。それは許容してもらわないと困る。一応は民主主義国になるんだ。その方が良いだろうと言う事で、そういう風になっている。ちゃんと選挙はするぞ。不正なんかは出来てしまうが。まあ、その辺は追々考えていけばいいとは思っているからな。


「大陸を統べるのであれば、我が国とも敵対すると、そう言う事ですか?」


「必ずしもそうなるとは思わないが。穏便に併合されてくれれば、問題は無いだろう? 貴族としての特権が無くなったり、王が王で無くなったりはするが、それは仕方がない事だからな。国が残るというよりかは、地域が残ると言った方がいいかもしれない。だが、何も残らないよりは良いだろう?決して無碍にはしないつもりだ。その辺はしっかりと考えてある」


「民のためにも、併合を選べと、そう言う事ですか?」


「どちらを選んだとしても、結果は変わらない。民には手出しはしない。別に聖ルクレイア国のように、宗教に染まっている訳ではないと言う事は解っている。そうでないのであれば、考え方の違いだ。王が王で無くなるだけだ。まあ、俺の国では、民主主義を掲げている。統治者は、民衆が選ぶことになっている。それで選ばれれば、統治者としては残ることが出来るんだ。そこまで悪い事だとは思わないがね。難しい事は何も言っていないはずだ。結局は、大陸を統一してしまう。それが出来れば問題はない訳なんだからな」


「……大陸を統一して、何がしたいのかを教えて貰えますか?」


「そうだな。大陸を統一出来れば、別の大陸に渡るというのも1つの手段だとは思っている。海の魔物の件は、俺も聞き及んでいる所だ。だが、知能もそれだけあると言う事でもある。ある程度の犠牲を払えば、不干渉にする事は出来ると思う。種族ごとに特性はあるとは思うが、話し合いは不可能だろうからな。結局は、武力での解決になるとは思う。しかし、それは不可能ではないと思う訳だ」


「……何とも、判断に困る所ではありますね。こちらとしても、仲良くはしたい所なのですが、大陸の統一の話を聞いて、仲良くできるのかというのは、疑問があります。今の体制を捨て、新たな国の下で生きることになるというのは、受け入れられないという人も多いでしょう。特に貴族であれば、ですね。友好関係は続けていきたいとは思いますが、過度に入れ込むことは、飲み込まれることを示唆していると言う事でもありますので」


「結論を先延ばしにすることは可能だ。こちらも急いで併合するなんて考えては居ない。まだまだ未開地は残っているからな。その開発が終われば、順次国にどうやって組み込むのかの話し合いをする必要があるとは思っている。決裂するようであれば、戦争の道しか残っていないだろうな」


 戦争は最終手段だ。何というか、戦争をしなければ、ならない状況にはなって欲しくない訳なんだよな。そんな面倒な事は止めて欲しいと思っている。出来るのであれば、併合していきたいと思っているんだよ。何をするにしても、まずは未開地の開発からなんだけどな。未開地を開発しなければ、併合の話なんて出来ない。戦争をするのは、これ以上発展が望めないとなってからで十分なんだ。今はまだ、する必要は無いと思っている。最後の最後の手段だ。出来れば、併合で飲んでもらいたいとは思う所である。その時には、国力から変わっている訳だ。普通に戦えば、勝てないような国力差になっているものと思われる。


 持ち帰って検討をしてくれると助かる。今後の方針について、しっかりと話し合っておくべきだとは思うぞ。それと、近隣の国とも話し合っておいてくれ。共通の話題になるはずだ。敵として戦わなければならないって状況になるのであれば、纏めての方が助かるからな。是非とも話し合いをしておいてくれ。それで、全部併合するという形で終わって欲しいと思う。それだけ戦争をする事が無駄だからな。まだ見ぬ大国があるかもしれないんだ。その時のために、戦力を置いておくことは重要だからな。


 なんにしても、これで、隣接3国との使節団との話し合いは終わった。まあ、隣接している国はまだあるんだけど、公式には繋がっていないことになっているからな。スタルバ王国とも、未開地で隣接しているんだが、まだ向こうは認識していないだろうし。見つかっていないのであれば、まだ国交は良いだろうとは思うんだよ。

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