普通じゃない生き方2
アニメード。大ヒットアニメを中心とするグッズを専門的に取り扱う雑貨屋であり、今絶大なアニメヲタク達から人気の店舗。
アニメや今話題の漫画、ライトノベルやオリジナルゲームやDVDが勢揃いし、vtuber達もコラボする程である。しかもこのお店限定のアニメコラボグッズもあるらしく、ハズレなしの特大の大当たりのA賞から一番小さい景品が当たるE賞、そしてラストワン賞まで揃った一番くじも置いてある。
勿論vtuberのグッズも置いてあり、先程デジタルサイネージに映っていたvtuberのグッズも入荷しているらしく、今や海外のお客も集まって来るらしい。
このアニメードはSNSでも話題になっており、最新アニメコラボ情報の宣伝はアニメファンならチェック必須らしい。
それにしても、先程このアニメードから茜が出てきたのを確かに映士は見た。幻ではない筈。
映士はアニメードなど縁がないと思っていたが、茜が出てきた入り口から店舗内を伺う。
目の前のアニメグッズ棚からどれを選ぶか迷っている若者、少なくとも映士と同じくらいの年齢層の人達が集まっていた。商品を両手に抱えるお客で賑わっている。もう店の籠に入りきらない程商品を詰めている人もいる。
映士には未知の世界だ。申し訳ないがこう言う所は苦手な映士。特撮ヲタクとは違う層だからなかなか足を踏み入れにくかった。しかし、映士は固唾を飲んで恐る恐る店内に入った。
いざ入ってみると、謎の張り詰めた空気感で押しつぶされそうになる。アニメの世界など無縁だった為、やはり一人で入るのは怖かった。
特撮関連のホビーショップなら余裕で入る事ができる。なんなら住みたいくらいだ。家賃はちゃんと払うから。しかし、この空間は耐えていられるのも時間の問題だろう。
この店に入る目的は、あくまで茜が出てきた為、彼女が好きなのはこう言う世界なのかと見物する為だ。
映士は周りを見回す。商品を手にしながらあちこちを彷徨くお客が映士の横を通り過ぎていく。黙って映士は入り口横にあったDVDコーナーから、その隣のライトノベルコーナーへ何も見ずに早歩きで移動する。
『うっ…ちょっと外に…』
ギブアップだ。店内全てを回るのはきつかった。急いで出入り口に向かって走り出す。
やっと外に出れた映士は異常な汗を額から流れ出ていたので軽く拭う。そして、店内をもう一度振り返る。
茜はつまりはアニヲタと呼ばれる人種なのか?よくこんな所を余裕でいられるもんだ…
茜という人物は、見た目からして誰にでもあんな風な陽気に振る舞う女の子というイメージだったが、以外にもアニヲタである事にギャップを感じた。映士は、人間は見た目判断してはいけないと学んだ。
とりあえず息を整わせる為に大きく深呼吸してみる。何度も何度も深呼吸を繰り返し、もう帰ろうとした時だった。
『映士君だ!』
先程アニメードから出てきた茜が突然目の前に現れたのだ。
『あ、茜ちゃんじゃん。や、やぁ』
『映士君、なんか顔色おかしいけど?』
『え?あ、なんでもないよ。ってか…あれ?三限…』
『え?……あ、いやまぁ、サボっ…ちゃった。えへ』
『え?あ、サボった…あ、あぁ。そうなのね。まぁ、俺もそんな事した事あるよ』
サボるかぁ。映士も前期の講義で何度かやった事あった。とにかく教授がうるさい人だったから我慢するのが嫌で、単位を落とさない程度に休んだり誠と巧谷でゲームセンターで遊び呆けてたなぁと思い出す。
『まぁ、単位が取れりゃ別にサボるくらい誰でもあるよね。俺もそんな感じで前期ズル休みとかしてた』
『へぇー。映士君もそういうのした事あるんだ。なんか講義は真面目に取り組む人だと思ってた』
『ううん。違う違う。そんなエリートじゃないから俺。あくまで俺の大学生活は遊びが6割。勉強が4割だから』
と映士が袋を手にした方で四の数字を表すように示した。
そな袋に反応する茜は不思議そうに黒い袋を見つめる。
『それは?』
『え?あ!こ、これは…』
もう遅いとわかっているが、袋を後ろに隠す映士。その袋の中身を見られないようしっかり後ろで抱え込む。
『え?もしかして映士君』
うわ!もしかして…と嫌な予感が来そうだった。
(いやいやいや!これだけは見せたくない!これはもう完全に中身知られたらアウト!俺がこういうの好きだってバレたらもう同じ屋根の下の
関係で詰むって!)
じーっと袋の方を見つめる茜は答えた。
『ゲームセンターでまた何か取ったの?』
『え?あ…えーっとね』
今回はゲームセンターではない。しかし、ゲームセンターの景品と嘘でこの場を逃れるかもしれなあと思った。だが、もしかしたら茜が興味を持ってしまい見せてもらおうと寄って来るかもしれない。
悩んだ末に映士は。
『あー、これ実は…サプライズのプレゼントで用意するものなんだ…。もうすぐ親が誕生日で。これは父親へのサプライズだから中身が見されないんだ。だから、ごめんね!』
映士は無茶苦茶な事言ってるなと自分で感じているが、それしか思いつかなかった。
父親がエクストラマンのグッズを誕生日に欲しがる!?ありえない話だ。
まずウチにこれを持って帰れば即両親から雷が落とされる。次に捨てろと言われるだろう。
何せウチはこういうのが幼稚な人が買うと認識しているから、絶対に持ち帰れない。そして誕生日に渡すなど親不孝と言われるに違いない。
また嘘で誤魔化したが、果たして茜は信じてくれるだろうか?
『へぇー。やっぱり映士君、家族思いだね。素敵!』
(よかったぁー!上手く誤魔化せたぁ!しかも褒められたぁ!でも俺の親に対する認識が更に自分の意思にそぐわない方向になったぁ。どうしよう。親なんて嫌いなのに…)
とりあえず誤魔化せたみたいだ。
すると茜が、急にスンッと表情を曇らせながら俯いた。そして沈黙が始まった。
『あ、茜ちゃん?』
『映士君。今ちょっと時間ある?』
『え?あ、うん。…どうかしたの?』
『ううん。大した事じゃないよ。大した事じゃ…』
だんだんと彼女の様子が沈んでいくのが伝わった。
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