37 ちんちんついてる
【まえがき】
今回は3話に登場した番台ギャルが再登場します!
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「ん。こっち……ん。たいようの、負け」
「がー! また負けたー!」
手元に残ったジョーカーを畳の上に放り投げながら、俺は不貞腐れるように畳の上に倒れ込む。
レストランシェフにも引けを取らない昼食が終わると、ルカが押入れからトランプを持ってきたものだから、俺達はトランプゲームに興じていた。
今やってるのはババ抜きだ。
トランプゲームは2人でもできないことはないが、戦略性や盛り上がりは3人以上になると一気に広がるよな。
「ん。たいよう、顔に出やすい」
「そういうルカは本気出すと全然表情変わらんよな……」
素のルカは感情と表情が直結してるタイプだ。
しかしポーカーフェイスされると状況は一転。
眠たげな瞳も手伝って、全然表情が読めなくなる。
「(ていうか俺、ルカと1VS1になったら絶対負けるな……)」
もしかしてこっそり透視の魔法とか使ってるんじゃないだろうな?
しかし――ギャンブル漫画の掟に
かくして俺は連敗を喫しているのであった。
ちなみに今のルカの首には、魔力を抑制する首輪はない。
日本での生活で大量の魔力を貯蔵したまま生活するのにも馴れ、首輪がなくても魔力が暴走する心配がなくなったからだ。
故に魔法を使いたい放題である。
「って……そろそろ夕陽が帰る時間か。結構長く遊んでたな」
秋分も過ぎ去って久しい10月半ば。
窓の外を見れば、既に太陽は地平線に触れており、窓ガラスの向こうをオレンジ色に染めていた。
「それがね、叔父さんと交渉して、門限1時間伸ばして貰ったんだ。もうちょっと一緒にいられるよ」
「でも暗くなる前に家に着いた方がいいんじゃないか?」
「お兄ちゃんまでそういうこという。お兄ちゃんが高校生の頃は夜10時過ぎまで帰ってこなかったじゃん」
「そ、それはバイトをしてたからでな……」
「ん。ゆーひお姉ちゃんと、もっと一緒にいたい」
「ほら、ルカちゃんも言ってるし」
「しゃーねーなぁ」
ルカもすっかり夕陽にべったりだ。
最初の猫のような警戒心は微塵も残っていない。
まぁ――トランプやってる時、常に薄っすらとぽわぽわしてたからな。
夕陽にちょっとでも長くいて貰えれば、それだけルカの世界を復興するのにも得策か。
それに、夕陽と会えるのは月に1度だけ。
最愛の妹と、少しでも一緒にいたいという気持ちは俺も同じだ。
「それじゃあさ、銭湯行こうよ銭湯! いつもこれくらいの時間に行ってるんでしょ? 私も広いお風呂入りたい!」
「んじゃそうすっか」
かくして、夕陽とルカを連れて銭湯へ行くことになるのであった。
しかしこの時の俺は失念していた。
ルカに関する爆弾が、まだ1つ残っていることに――
***
「しゃせー。あっ❤ ルカきゅん❤」
https://kakuyomu.jp/users/nasubi163183/news/822139843107541191
――10数分後。
下町風情漂う銭湯の暖簾をくぐると、下町風情を一切感じないイマドキギャルが、猫なで声でルカを迎えた。
他の客にはダルそうな塩対応なのに、ルカに対してだけは、一瞬たりとも目を離さないと言わんばかりに丁寧な態度で接客してくるショタコンJKである(3話参照)。
「高校生って子供料金で入れたっけ?」
「は? 大人料金だけど」
猫なで声から一変。
氷のような冷たい目が向けられる。
塩対応と氷の視線――凝固点降下現象で更に心が冷たくなるのを感じる……。
あの手この手でルカにセクハラしようとしてくる番台ギャルからルカを守っているせいで、俺にだけめちゃくちゃ当たりが強い。
高校時代のトラウマが蘇るからマジで勘弁してほしいです。
「えっと……おじさんが
「パパ活じゃねーよ! 妹だ妹!」
あとおじさんって呼ばないで。
まだ20代だから。
一応君と同じZ世代に分類される世代だから。
「いや、全然顔似てないじゃん」
「それはそうだけども!」
「ふーん、お兄ちゃん、若い女の子と仲良しじゃんね」
「「仲良くない!!」」
「ん。息ぴったし」
蔑むような目を向けてくる夕陽の言葉を必死に否定する。
番台ギャルと夕陽――ダブルJKの冷たい視線でサンドイッチされる。
「ほら金だ。大人2人と子供1人。早く用意してくれ」
――チャリン。
財布から金を取り出してカウンターに叩きつける。
これ以上若者から冷たい視線を浴びせられると、俺のメンタルが持たない。
おじさんってさ――若者からそういう目で見られるとめちゃくちゃ胸が苦しくなる生き物なんだわ(いや、おじさんじゃないけどね?)。
「んじゃまた後でな」
「はーい。それじゃあルカちゃん、一緒に入ろうね。頭洗うの手伝ってあげるよ。ルカちゃん髪の毛長くて洗うの大変でしょー?」
……。
…………。
………………あっ!?
「(やばいっ!?)」
「ん。たいように洗って貰うから、平気」
「何言ってるの!? ルカちゃんは女の子なんだから女湯でしょ!?」
「ん。違う。ぼく、男」
「…………え?」
し、しまったああああぁぁぁぁ~~~~!?!?
夕陽には、ルカが男であることを伝えていなかったのを、今思い出した!!
夕陽がウチに来るたびに、あらぬ誤解を受けて通報寸前の状況に追い込まれてしまっているので、なかなかルカの秘密を明かすタイミングが見つからなかったのだ。
ただでさえ――
――児童を家に連れ込んでいる。
――パンツを履いてない。
――少年なのに少女の恰好をしている。
――という、本来であれば犯罪者のそしりを免れない爆弾を3つも抱え込んでいる。
いや――実際はルカが勝手に異世界から押しかけてきただけだし、パンツはルカが頑なに履こうとしないだけだし、女児服(に見えるポンチョ)を着てるのもルカの意思なんだけども。
「あはは~。面白い冗談だね。こんなに可愛い男の子がいる訳ないじゃんね」
「ん。ちんちんついてる」
――ペロン。
ルカはそんな夕陽に自分の性別を証明すべく、躊躇なくポンチョの裾を持ち上げる。
「ちんちんついてる~~~~~~~~!?!?!?」
お兄ちゃん絶対絶命!
果たしてお兄ちゃんは無事、このピンチを乗り越えることが出来るのか!?
次回――妹再来編最終回!
お楽しみに!
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【あとがき】
今回のおまけAIイラストは、ルカと喋ってる時の番台ギャルです。
太陽との差が……(涙
https://kakuyomu.jp/users/nasubi163183/news/822139843107551921
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