第7話 どうしようかな

目を覚ますと、ぎゅーとされていた。まあ、ぎゅーと押しつぶられてるほうだけどね。


俺は今の状況は、部屋の大きさが五畳も満たないぐらいの大きさに5、6人の男達が寝ている。


昨日、俺は宿屋を探しまわって、見つけたのがこのボロそうな宿屋だった。もちろん値段は安く、朝ご飯なしで500デルだった。この宿屋の場合は先にお金を払うようになっている。


この宿屋に来た時は、俺しか居なかったが、後から、1人入って来たと思ったら、どんどん人数が増えていき、5、6人になって居た。


さらに、筋肉もりもりの人ばかりで、お酒の匂いが臭くてさらに動くので、全然寝れなかった……。


起きていると、リーア達の事がどうなってるのかが気になってしまう。


そもそも、運び屋になったからって今後のことは一切何も考えていない。ならばリーアの仲間になっても良かったのかもしれないと今頃思ってしまった。


その後俺はこの部屋から、頑張って抜け出した。


「はぁー、疲れた……外で寝た方がましだったかも知れない」


俺は外に出た後に真っ先に温泉に向かった。


俺がゆったりとお湯に浸かっていると、知っている話し声が聞こえて来た。


「あのさ朝風呂って体に悪くないのか?」

「短時間なら、入っても大丈夫らしい、逆に体に良いらしいぞ」

「へーそうなだな、ヒゥーは色々知ってるよな」


そして、入って来た2人は俺に気づいたようだ。


「ラーメンじゃないか!」

「また会ったな」


昨日も偶然会ったけど、よく会うなと思って、お湯に浸かってると……


「昨日、リーアとニアが一緒に居たから、声を掛けようとしたんだけど……」


あの後、また会ったのか。


「2人共ショボンとしてたから、何かあったのか?」

「確かにそれは、私も気になっていた」

「そうだったのか、俺はその後別れたから知らないな」


俺はなんとなく、知らない振りをする事にした。


「そうだったのか、てっきり知ってると思ったぜ」


ライドは全く気付いてそうにないが、ヒゥーは俺が嘘をついた事に気づいている様子だった。





ーー


「ヒゥーそろそろ出ようぜ」

「ライドは先に出ておけ、私はもう少しお湯に浸かっておく」

「あ、あぁ分かった」


ヒゥーはライドが出た後に俺を見た。


「どうしたんだ?」

「いや……ラーメンさっき嘘をついただろ」


やっぱりバレていたか。俺は言い訳をしたところで意味はないので正直に話す事にした。


「確かにさっき嘘はついたよ」

「やっぱりか、でもどうして?」

「どうしてて言われてもな、なんとなく……」

「じゃあ、リーア達に何をしたんだ」


ヒゥーのやつ、なんか誤解してないか?


「いやー、あれだよ、仲間にならない?って言われて断ったんだよ」

「そういうことだったのか、でもどうして?なんとなく、じゃあないよな?」


正直、実際は運び屋になるから、なんとなく断ったんだけどな……どしよう。


「あ、あれだよ、なんとなく……だよ」

「……」


そうしたら、ライドがまだかよと言ってきたので、ヒゥーが立ち上がり、「リーア達とちゃんと話しを付けておいた方がいいぞ」と言って去って行った。


そうだな、まだリーア達は街に居ると思うから見つけたらなんか言うか……。


俺は温泉に出た後に、朝ご飯を食べに行った。


朝ご飯を食べて思ったのだが、この世界の食べ物って普通美味しい。ハズレもあるが……。


そして、男達の話しが耳に入った。


「昨日さぁ、女2人が男達に捕まってるところを見たんだよ」

「まじか、いつだ!」


あの二人じゃないよな、そう思って聞いてると、


「昨日の夜ぐらいかな、確か1人は水色の髪の色でもう1人は猫の少女だったな、どっちも結構可愛かったぞ」


た、確か……リーアは水色の髪だよな、猫の少女まさかニアじゃ無いよな?


「まじかよ、助けに行っちゃう?俺たちに惚れるかも知れないぞ」

「いや、やめときな」

「どうして?」

「それが、連れて行った奴がさあの噂のブラックキャットだぞ」


ブラックキャット?


「ブラックキャットなんだそれ」

「お前知らないのか?」

「なんだよ」

「しょうがないな、ブラックキャットとはな、簡単にいうと、猫系の種族を襲う集団だよ、噂では結構強いらしいぞ」

「まじかよ、じゃあなんで、普通の女が捕まってんだ?」

「その猫の少女と一緒に居たからじゃね?」


まさか、リーアとニアがブラックキャットという奴らに捕まったのか。


「あの、その二人どこに行ったか知ってる」

「はぁ?そんなの知るわけないだろう?」


俺はそいつの胸ぐら掴んだ。


「方向でもいいから!」


俺は必死だった。


「な、なんだよ」

「なんでもいいかさ!」

「え、えーと、確か森の方だった気がする」


俺は急いで走り出した。


「大丈夫か」

「なんだ、あいつ……」

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