新聞記事アーカイブ
世界中で不明脅威との交戦開始
【ジュネーブ=本紙特派員】
先週末、南米・欧州・アジアを中心に「正体不明の敵性勢力」との交戦が確認された。
米中央軍は「全地球的多発事案」と表現。欧州連合軍は通信網崩壊後、主要都市の防衛線を放棄。ロンドン、ベルリン、モスクワはいずれも一時的に停電と通信途絶を経験した。
国連安全保障理事会は緊急会合を開催し、「未知の知的脅威による同時侵攻」との見解で一致した。
各国軍の損害は膨大で、国際災害対策機構(IRDC)は世界人口の約12%が消失、もしくは交戦地帯に取り残されている」と暫定発表。
国際金融市場は事実上の機能不全に陥っており、二十一世紀最大の“人類損失期”として記録される見通しだ。
【NEW YORK, LONDON, TOKYO】 世界同時株安、市場崩壊 サーキットブレーカー連発
《境界消失日》からの一週間で、世界中の金融市場が歴史的な暴落に見舞われた。 ニューヨーク、ロンドン、東京の各市場は取引開始直後から売り注文が殺到し、サーキットブレーカーが連日発動。市場機能は実質的に停止した。
「これはパニック売りではない。世界の“前提”が崩壊したことによる価値の再定義だ」と市場アナリストは語る。 特に、物流、保険、不動産セクターは壊滅的な打撃を受け、世界有数の大手投資ファンドを含む数十社が破産申請を行ったと報じられている。 各国中央銀行は流動性供給を表明しているが、市場の混乱は未だ収束の兆しを見せていない。
日本政府、北海道北部の勢力とコンタクト
【東京】
政府は昨日、北海道北部“融合圏”で確認された人類型勢力との初接触に成功したと発表。
内閣官房によれば、彼らは「交渉に応じ、明確な敵意を示していない」という。
交渉班は国土保安局特務課、言語解析官、心理交渉官らで構成。
通信は断続的ながら、「共通の敵(魔王軍)への防衛意識が存在する」との報告がある。
一方、北海道北端の衛星画像では地形の再編が進行しており、専門家は「地球と異界の物理的融合は不可逆に達している」と指摘する。
【東京・ニューヨーク・ロンドン】
魔王軍侵攻下で世界市場崩壊 各国、無制限買い支えへ
魔王軍の侵攻により世界各地の通信・物流が途絶、金融市場は連日サーキットブレーカーが発動する異常事態となった。
主要指数は軒並み暴落し、取引停止が常態化。各国政府と中央銀行は本日、国際決済銀行(BIS)主導で“無制限の共同買い支え”に踏み切った。
声明では「市場の信頼回復まで、上限なく資産を購入する」と発表。
だが市場関係者の一人は語る――
「これはもはや経済政策ではない。世界を動いているように見せるための、延命措置だ」
異世界勢力、「アーヴェリス王国」と呼称 “魔法”の存在を公式確認
【稚内・特別通信】
確認された勢力は自らを「アーヴェリス王国」と称し、王政下に貴族・兵・魔導士を抱える独立国家であると主張している。
彼らの言語体系はインド・ヨーロッパ語族と共通点を持つが、音韻構造に高次の数理秩序が含まれており、通信省は「“音”そのものがエネルギー媒体として機能している可能性がある」と発表。
王国側の資料では、現象を「魔法」と称している。
政府関係者は「物理法則の逸脱ではなく、異なる体系による秩序」とコメント。
この“アーヴェリス”という名は、今や国際報道で一般化している。
米国、在日米軍の段階的撤退を発表 「パックス・アメリカーナの終焉」
【ワシントン=本紙特派員】
米国防総省は本日未明、在日米軍の九州・四国方面部隊を段階的に撤収する方針を発表。
同時に「異常空域での航空戦力喪失率八二%」を公表し、衛星軌道上での被害も確認された。
国際社会では「第二次世界体制の崩壊」とも呼ばれ、戦略拠点の再構築が急がれている。
米本土では各都市の避難民が増加し、人口流出が続いている。国防長官は「これは戦争ではなく、生存競争だ」と語った。
国連、“魔将”を特定脅威として認定
【ニューヨーク】
国連安全保障理事会は本日、「魔将(Majou)」を特定脅威として公式認定した。
各地で確認されている敵性体の共通特徴として、「戦略的思考を持ち、詩的命令構造を発する」ことが挙げられた。
これらの個体は群体的に行動し、異世界・現実両方の戦場に干渉可能とされる。
報告書では、指令系統を「命令詩(Command Verse)」と呼称。
発声によって現実構造を変質させるとされ、専門家はこれを「言語兵器」と定義している。
ネット上のスラングだった“魔王軍(Maou Forces)”という語は、国連によって正式な敵勢力名として採用された。
人類、半年で20%減 国連、史上初の「全地球非常事態宣言」
【ニューヨーク=国連本部】
国連統計局は最新の報告で、境界消失以降の六か月間に世界人口が約二割減少したと発表した。
行方不明者の多くは魔王軍による侵攻エリア、そして浸透してきた魔物による偶発的被害によるもの。
更に今後は、飢餓や医療崩壊による死者の増加も予測されており、予断を許さない状況だ。
各国の行政機能は失われ、出生率は急落している。
国連事務総長(当時)は記者会見で次のように述べた。
「人類は、国家ではなく“種”としての存続を問われている。今こそ国境の意味を再定義すべき時だ」
これを受け、国連は史上初の“全地球非常事態宣言”を発令。
全加盟国に対し、軍事・宗教・学術の垣根を越えた連携を要請した。
国際通貨基金(IMF)は世界経済を「実質的に停止」とし、国際時間市場は前代未聞の“値付け不能状態”に陥っている。
【マーケット速報(半年後)】 「異世界銘柄」に妙味? 市場氷河期で日本企業が逆行高
《境界消失》から半年、日経平均株価が6000円台で低迷する「市場氷河期」が続く中、一部の日本企業が異常な逆行高を見せている。 いち早くアーヴェリス王国との共同研究を発表した化学・重工系企業や、北海道“融合圏”に拠点を置く「北海道銘柄」、さらに異世界からの鉱物資源や植物を独占的に扱う商社株に、世界中から投機的な買い注文が殺到。
市場関係者は「もはや従来のPERやPBRは意味をなさない。人類の“生存”に直結する技術、すなわち“魔法”や“異世界資源”に関連する企業だけが、唯一の希望として買われている」と分析。世界経済が停止する中で、日本市場の一部だけが局地的なバブルの様相を呈している。
魔将対策に異世界の「勇者」活用へ
【東京】
政府は本日、アーヴェリス王国における
第一陣の五名はすでに新国境経由で入国し、統合幕僚学校でのブリーフィングを完了。
彼らは魔法と現代兵器を併用できるとされ、「対魔将戦における戦略的要素」として期待されている。
内閣情報局によると、勇者らは国家所属ではなく“契約戦力”として扱われる予定。
専門家は「軍事と神話の境界が消えつつある」と指摘する。
九州陥落 国防軍最高司令部、撤退命令
【福岡】
防衛総省は昨夜、九州全域からの撤退を正式発表。
通信途絶・兵站断裂・魔導障害による損耗率が九割に達したためとしている。
「戦略的放棄」と説明するが、実際には防衛網の組織的崩壊に近い。
避難民の受け入れは本州西岸で続くが、政府関係者は「一部地域では統制が取れていない」と認めた。
国防軍最高司令官は記者会見で短く語った。
「前線は失われたが、希望はまだ失っていない」
魔王軍、攻勢停止か 世界各地で小康状態続く
【札幌】
五月末から続いた魔王軍の侵攻が停止。
各地で“裂け目”の光度が低下し、魔素濃度が安定化している。
国土保安局によると、現在は「準平時対応」へ移行中。
しかし、突発的な再侵攻の兆候も複数報告されており、専門家は「嵐の前の静けさ」と警告する。
【東京=NIPPON NOW】
政府は本日、国防軍隷下の「国土保全軍」を百万人体制へ拡充すると正式発表した。
首相は「治安維持と復興を両立する常設部隊として国家再建の柱とする」と述べた。
だが関係筋によると、この数字には自警団や復興ボランティア、企業警備隊などを含めた“名目上の編入”が多数含まれており、実戦力は半数以下にとどまるという。
国防軍幹部は「数字は政治的メッセージ。現場はまだ形になっていない」と語った。
街では「やっと国が動いた」と安堵する声がある一方、SNSでは
「制服だけ配られて中身がない」「やってる感だけ」と冷笑も広がっている。
政府は“百万人”を国家再生の象徴として掲げ続ける構えだが、
その数が現実を支える力になるかは、依然として不透明だ。
【コラム】道でゴブリンに出会ったら
防犯アドバイザー・天野正(特別寄稿)
近年、都市部でも“低級魔物”との遭遇報告が相次いでいる。
まず落ち着こう。走って逃げるのは逆効果だ。
視線を逸らさず、ゆっくりと後退すること。
ゴブリンは光と音に敏感。スマートフォンの通知音を切り、静かに建物の中へ避難する。
もし攻撃された場合、携帯型防魔スプレー(市販)や魔導警棒の使用が推奨されている。
警察庁は「個人での捕獲・撮影は危険」と注意喚起を続けている。
――彼らは、もはや物語の住人ではない。
現実の“隣人”なのだ。
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