君の瞳は100カラット
夏凪 茶月
第1話 始まり
私は宝石が大好きな高校生、「瀬戸 アリス」です。
今日は高校の入学式。
中学に宝石の美しさにハマって3年間ずっと宝石のことだけ考えてきた。
もちろん高校生になってもそれを変えるつもりはないし、中学からもそうだった。
なので、高校に宝石について研究する、「宝石部」という部活がある学校を発見し、猛勉強し、そして見事合格したことによって東京へ上京した。
私がこれから3年間宝石を研究する学校の名前は「都立三井学園」
我ながらよく偏差値51から名門と言われるこの学校に入学出来たなと思っている。
そんなことを思っていたら校門に着いた。
とても美しい門だ。
ルビーのような赤い門で、思わず見とれてしまった。
気を取り直して入学式会場へ足を運ばせようと足を踏み出した瞬間、人溜まりが見えた。
入学式まで時間がまだあるので、少し見に行こうと思い、そこへ向かった。
そこは、誰かが人々に囲まれているようで、なんとか中心に居る人を見るためにその人混みに入り、ついにその人の顔を見た。
そこには1人の女の子が居た。
彼女は見た人全てを見とれさせるようなアクアマリン色のロングヘア、そして、ブラックダイヤモンドの瞳を持った可愛らしい女の子だった。
こんな人混みが出来るのも納得だ。
周りの人達を見てみると、
「何年生?」
やら
「こんな綺麗な人初めて見た」
やら言っていたので、おそらく私と同級生だろう。
私は入学式にこんな人混みの中心になるなんて耐えられないなと思い彼女の顔を見ると、案の定少し困ってそうな顔をしていた。
そこで助け舟でも出そうか考えていたら、1人の男の子(おそらく先輩だろう)が彼女に詰め寄り
「初対面だが、俺と付き合って欲しい」
となんと告白。
彼女は困ってる顔しながらあたふたしているような感じだ。
困っている彼女も可愛いですが、可哀想なので助けてあげることにした。
「あなた新入生ですよね?そろそろ入学式が始まりますよ。」
「え、あ、確かに...」
「おい!まだ返事を聞いてないぞ」
という初対面で告白する変人は放っておいて、私は彼女の手を掴み、入学式会場である講堂へ走った。
あの変人も撒いたところで、彼女は
「あの!手...」
と言ったので、強く握り過ぎたのかなと思い、
「ああ、ごめん。強く握りすぎちゃったかな?」
と慌てて手を離した。
「いえ、違くて。少し恥ずかしかったんです。」
と彼女はいい、少し顔を赤らめて言いました。
可愛い!と思ったが、平常心平常心。
「それで、どうしてあんな人混みに居たんですかね?まぁ十中八九あなたのせいではないと思いますが。」
「いえ、私が悪いんです。私がしっかりとあの告白を断っていれば良かったんです。」
「十中八九あなたのせいではないと言いましたが、あれは嘘です。やっぱりあなたも1割くらい悪いですね。」
「えぇ、そんなぁ。」
「しっかりと断らないと。それとも顔しか見ていない初めて交わす会話が告白のあの人と付き合いたいとかですか?」
「いえ、断るつもりはあったんですが、私人見知りであまり人とは話せないので...」
「そうですか。そういや名前を聞いてませんでしたね。私の名前は瀬戸アリスです。」
「 私は楠木ミカです。」
そんな会話をしながら、腕時計を見ると、そろそろ時間が怪しくなってきた。
「ではミカちゃん。そろそろ時間なので行きましょう。」
といい、私たちは、講堂へ足を踏み出した。
1度ミカちゃんとは離れ、名前順の席に案内された。
そして、私の席に座り、少し時間が経つと、隣に見覚えがある人物が座った。
「アリスちゃん。さっきぶりだね。」
「あ、ミカちゃんですか。隣とは偶然ですね。」
と、口では言ったが、私の心では「せ」と「く」はめっちゃ離れてるだろと思った。
今年は「と」から「き」まで居ないのかよ...
そして、校長の長ったらしい生産性が無い話を終え、ミカちゃんと一緒にクラスの人達を見に行った。
まぁ知ってる人はミカちゃん以外居ないのですが。
そして、クラスを見ると、なんと偶然にも同じクラスになれた。
「やったねアリスちゃん!」
「そうですね。では1年間よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
今日は入学式だけなので、もう終わりだが、部活の布教なるものがあるので、宝石部を見に行き、入部届けでも出そうかなと思い、
「私は今かは部活届けを出しに行きますが、あなたはどうします?」
「部活届けってアリスちゃん早いね。何部に入るの?」
「宝石部です。」
「宝石部?」
「ええ。私宝石を愛しているので。宝石部に入るためにこの学校に入ったと言っても過言ではありません。」
「ええと、アリスちゃん。私、あなたに言わなくちゃいけないことがあるの。」
「何でしょうか?早く入部届けを出したいので早めに終わらせて欲しいのですが。」
「実はこの学校、去年で宝石部は廃部しちゃったらしいの。」
今日、私の学園生活が幕を閉じた。
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