元"最強"の俺と6人の仲間

ちくわ天

元"最強"

俺はアズエル。元"最強"だ。

今は訳あって最強ではないが、最強の力を取り戻すための旅の途中だ。


俺がその町に立ち寄ったのは偶然だった。偶然その小さな町に寄り、偶然その客の少ない小さな料理屋に入った。


その料理屋は店主らしき男と赤髪の青年の2人で営業していた。どうやらカウンターの奥で何かを揉めているようだ。


「なんでまた無理に包丁を使った!ベント!」

店主が赤髪の青年に怒声を浴びせる。


「ごめんじいちゃん…」


と言い、ベントと呼ばれた青年は頭をペコペコと下げた。


「まあいいじゃねぇか、そんなに怒らなくたって。厨房に入れてるんだし包丁くらい握らせてやれよ」


俺が口を挟むと店主はこっちを振り返り言った。


「お客さん、こいつはねぇ包丁が使えねぇんですよ」


「へぇ、包丁が使えないのに料理人やってるのかあんた。大した根性だ。」

俺が言った瞬間、店主が口を開いた。


「料理人にとって包丁は命さ。包丁がなかったら木偶の坊と一緒。」

ベントはしゅんと顔を下に向ける。


「厳しい教育だな」

俺が思ったことを呟いた刹那、


「じいちゃんコカトリスの卵が品切れだよ」

ベントが店主を見て言った。


「それは困るなぁ…ウチの看板メニューにも使う…」


「コカトリス程度の魔物なら俺が狩ってきてやるよ」

俺がそういうと


「ほんとですかい?じゃあお言葉に甘えて…ベント!お前も一緒に行ってこい!」


「いいけど…店はどうするの?」


「どうせ客はここからふえねぇよ!俺一人で十分だ!」

俺が黙ってる間に勝手に話が進んでいるがまあいいだろう。


「でもベント、お前は戦えんのか?」

俺の問いかけにベントではなく店主の方が答える。


「こいつは一丁前に槍術と火魔法はなかなかのもんですよ。足手まといにはならないはずです。」


「了解した。じゃあ行ってくる。」

「行ってきます!」


それから町を出て、20分ほど歩くと森に着いた。

「ここの奥にコカトリスは居るはずだよ」

俺は軽く返事をして、その奥へと向かう。

「そういえばよ、なんでベントは包丁が使えねぇんだ?」


歩いている途中、暇だったので素朴な疑問を投げかけた。

「その…」

ベントが口ごもる。

「昔…両親がナイフを持った奴に襲われて…そこからナイフとか包丁が怖くなったんだ。」


「そうか…悪いことを聞いたな。」

俺は頭を下げた。


「いやいや大丈夫!気にしないで!」

そういうベントの手は震えていた。


少し気まずい空気になったところに、うるさいほど賑やかな鳴き声が聞こえた。

「コケェェエ!」


そこにいたのは、目の焦点が合っていない、体は鶏、尻尾は蛇の魔物だった

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