第12話

俺は触手に乗り駆ける、俺は死に戻りを駆使する。2本の触手がなぎ払いをしてきた為、俺は前方に飛び込み前転の様に2本の触手の間を躱す。


そして、飛ぶ。

腕を伸ばしイレアを掴もうとするがイレアは消えた。



「はっ!?」

俺は地面に打ち付けられる。


触手の郡がエルナの屋敷に向かって街中を壊していく、


エルナが…やばい!!

俺は急いでエルナに電話をかける。

もうこの際、隠す気は毛頭無い。

「エルナ!! 早く屋敷から逃げろ!」


「え?」

そう素っ頓狂な声が聞こえる。


「早く!」

そう俺は言って電話を切る。


そして全速力で俺は走り出す。


―――――――――――――――――


私は非通知の電話が来てから少し怖くなって外に出てみる。

すると巨大な触手みたいなのが屋敷の目の前までやってきていた。

当たる直前に止まり上から1人の男が降りてくる。

その男は、私の知人であり戦友の


「イレア…?」


「やぁやぁ…エルナ……こんばんは。 唐突だけど死んでもらおうか」

そう言って触手が横から猛スピードでなぎ払いを放った。


私は気づくのに遅く、感じたのは

【死】だった。

恵やフタレインは手を伸ばし叫んでいた。


何故かゆっくりに感じる。


私はギュッと目を瞑ってしまう。


「またせたな」


そんな声が聞こえた。

恐る恐る目を開ける其処に映ったのは


黒く男にしては長い髪を風に靡かせ、今の季節にしては少し早いパーカーを着ており、ナイフを片手に持っている奴だった。

私の友人を刺した憎い男……

なのに何で私は泣いているのだろうか。

懐かしい気分になるのだろうか。

不思議だ。まるでかのように。


私はいつの間にか恵とフタレインの傍に置かれていた。


彼は触手をどんどん躱していく。

当たる。そう感じる直後に彼は避ける。

まるでその攻撃がどこに来るかわかっているように。


―――――――――――――――――

俺は心臓が高鳴るのを感じた。

やっとここまで来たんだ。

俺はナイフを握る力を強める。


死んでも痛くない。

エルナをもうすぐで守れる。そうわかっているからアドレナリンがでているのだろう。


俺は走る。


俺がイレアの首を掴むその瞬間、イレアは無数の弾丸に貫かれる。


俺は咄嗟に躱すが、数発の弾丸が俺の腹をかすめる。


エルナ達は、と思い俺は少し見るが、恵が守っていた。

俺はホッとし、その弾丸を飛ばした張本人を向く。


「どういうことだ? 冥」


「……」


何も喋らない。

そして能力である具現化された女の人が冥を止めようとしているが、能力の主導権は冥な為、何も出来ない。


そしてその女の人がこちらを見て、

『助けて』

そんな口の動きをした。


恐らく冥は洗脳されている。

誰かによって。

多分、イアンが居る組織の奴らのせいだろう。






俺はエルナを守る。それだけでいい。

何度死のうが、もう怖くもない。

痛みも涙も、全部置いてきた。

だから、だから今さら躊躇う理由なんてない。


「逃げろ、エルナ。俺はまだ終われない」


静かにそう告げて、ナイフを構える。

冷たい風が頬を撫でる。

心臓は心拍数が高いが、不思議と心は凪でいる


守るために死ぬ。

それが俺の役目だ。

誰が相手でも構わない。

世界すら敵に回っても。

ただ一度だけでいい、あいつの笑顔を残せるなら。



「かかってこい、冥」

そう言って俺はナイフを構えるのだった。

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