〇SNS

 ・発言力を高めるための方法

→ユーチューバーになってバズる

→SNSでバズる

→インフルエンサーとしてバズる

→評論家になる


「…何考えてるんだ俺」

 自分で書き出してみたことに対して自分で呆れてしまった。しかし、現状これくらいしか思いつかないのも事実であった。

「…出来そうなものからやってみるか」

 一番手っ取り早いのはSNSで何かしらでバズるという方法だ。しかしそうそう狙ってできるようなことであろうか。

「バズるネタ…バズるネタ…そんなの急に思いついたら苦労しないっての…」

 インターネットで検索し、過去にバズったネタを探す。いくつも出てくるが、同じことをしても二番煎じでしかない。そもそもこういうものはタイミングも重要だ。たまたまそのタイミングに多くの人の目に触れたというだけの話なのだ。

「狙って出来るようなことじゃねえよなあ。でもとりあえず何かやってみないと…」

 SNSを起動し書き込みを始める

「そうだ、スタンディングマンをネタにすれば注目されるんじゃないか?ハッシュタグとかつけて…」

 均は部屋着のパーカーを目深に被り家の外に出て自撮りの写真を急いで撮ってきた。

「よし、これで」

#スタンディングチャレンジ

 深夜に立っているだけで都市伝説になれるってマジ?


 このような書き込みと一緒に先ほどの自撮り写真を添付して投稿した。

「これで反応が来てくれれば…」

 3時間後、閲覧数は13、いいね等は一つも付かなかった。

「ですよね!知ってた!くそう…」

「次だ次!ええと…そうだ料理、料理系は見てくれる人も多いだろうしいける」

 言うや否や均は台所に向かいフライパンを取り出した。

「スタンディングマン風オムライスとか作ればバズるだろ。くまさんオムライスとかいろいろ出てるし」

 一件手際よく作業しているようにみえるがすべてが雑であり、完成したものはお世辞にも「フードをかぶった男」を模したようには見えなかった。

「できた!よしこれを写真撮って投稿してっと…」

1時間後、閲覧数113、いいね1、コメント一件。

『きったないオムライスで草』

「くそが!見えるだろスタンディングマンに!」

「次は…そうだショート動画、これなら見てくれる人も多いはず。もともとスタンディングマンは俺がかんがえたものだし、これの解説系の動画を作ればいいんだ」

 スマホを三脚に固定し自分を映しながら均はまくし立てた。

「スタンディングマンって怪異が今バズってると思うんですけど、既に被害も出ています。でもあれ実際は居ないんですよ。というのも僕が学生時代に考えたもので、都市伝説を自分で作りたいなっていう安易な動機でやっただけのもので…」

 録画を終えた均は編集もせずに動画投稿サイトにショート動画として投稿した。

2時間後、閲覧数48。コメント一件。

『何言ってんのかわかんね』

「…」

 数時間を費やし行ったことは全てなんの成果も上がられなかった。

「そもそもなんで俺こんなことしているんだっけ…そうだ、スタンディングマンを止めるためだ。ダメだ目的と手段がごっちゃになってきてる」

「落ち着け、まずはそもそもスタンディングマンについてもう一度まとめて、その有効な対策から考えないと」

 均がつぶやいた時、つけっぱなしにしていたテレビでニュース速報が流れた。

「速報です。ただいま入りました情報によりますと、新宿区下落合駅前にて変死体が発見されました。状況は詳しく分かっていませんが、目撃者の証言ではフードを被った人が近くに居た、被害者の首が折れ曲がっていたとのことで…」

「え」

※※※


【都市伝説】スタンディングマン、二件目の犠牲者が出た【新宿・下落合】

1:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:41:12.34 ID:abcd1234

新宿区の下落合駅前で、また“倒れていた人”が発見された。

状況が前回(世田谷の件)と似すぎてて、スタンディングマンの仕業って噂になってる。

現場近くで「フードを被った男が立ってた」って目撃証言も出てる。

警察は「病死の可能性」って言ってるけど、これ偶然か?

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2:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:43:55.67 ID:efgh5678

世田谷の時も「事件性なし」って言ってたよな。

でも今回で二件目だぞ? これもう都市伝説じゃ済まされないだろ。

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3:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:45:22.11 ID:ijkl9012

≫1

下落合の人、倒れる前に「夢に出てきた」って言ってたらしい。

しかも「覗き込まれて顔が見えそうだった」って。

これ、例の“顔が見えたら終わり”説と一致してる。

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4:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:47:10.44 ID:mnop3456

「夢に出る → 顔が近づく → 現実で倒れる」って流れ、完全にパターン化してきてる。

これ、誰かが意図的にやってるのか?それとも本物の怪異なのか?

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5:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:49:33.22 ID:qrst7890

現場写真、SNSで出回ってるけど、遠くにフード男っぽい影が写ってる。

しかも、撮った人のスマホ、撮影後にフリーズしたらしい。

※画像は削除済み

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6:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:52:01.88 ID:uvwx1122

均ってやつ、前に「俺がスタンディングマンの元ネタ」って言ってたよな。

あれ、マジだったんじゃね?

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7:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:54:44.22 ID:yzab3344

≫6

あいつ、最近SNSでスタンディングマンネタ連投してたけど、全部スベってたぞw

でも、もし本当に“生みの親”だったら、今どんな気持ちなんだろうな…

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8:本当にあった怖い名無し:2025/10/25(金) 23:57:33.10 ID:cdef5566

そいつて、今どこにいるんだ?

まさか、次に“狙われる”のって…

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9:本当にあった怖い名無し:2025/10/26(土) 00:01:12.22 ID:ghij7788

「信じるほどに近づいてくる」って言うけど、

もう“信じなくても”来るようになってないか?

これ、誰かが止めないとマジでヤバい。

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10:本当にあった怖い名無し:2025/10/26(土) 00:04:55.44 ID:ijkl3344

次は誰だ?

もう“都市伝説”じゃなくて、“災厄”になってる気がする。



※※※


 翌日、職場へと向かう均の足取りは重かった。昨日のニュースを見てからのことはあまり記憶になかった。自分がバカなことをしている間にさらに犠牲者が出た。それで頭がいっぱいだった。


「おはようございます…」

 力ない挨拶と共に自席に座り込む。しかしそんな状況でも目を引くものがあった。高嶺華だ。いつもは挨拶を返してくれる彼女が、今日は自席でうつむいている。心なしか顔色が悪そうであった。

「どうしたの?具合悪い?」

 同僚の女性職員が彼女に声をかける。

「いいえ…なんでもないです。大丈夫です…」

「そう?無理しちゃだめよ?」

「はい、ありがとうございます…」

 そのやりとりを見るだけでも彼女が大丈夫でないことは明白であった。

「あの、高嶺さん、大丈夫ですか」

 思わず均も声を掛けた。

「あ、平君。具合大丈夫なの?」

「俺は大丈夫です。それより高嶺さんの方が」

「…私死んじゃうかもしれない」

「え」

「…スタンディングマンって、知ってる?」

 彼女の口から出た言葉に心臓が跳ねた。もしかして彼女はスタンディングマンを目撃してしまったのではないか。

「もしかして高嶺さん、スタンディングマンを」

「…うん。前に仕事の帰りに変な人が居るなって思って。それからちょくちょく見かけることがあったんだけど、この前夢にも出て来て…これって、フェーズ2ってやつでしょ。テレビのニュースでも変な死に方した人が報道されてたし…」

「…」

 その後のことは覚えていない。仕事が手につかずミスを繰り返したのは覚えているが正直それどころではなかった。

 自分の憧れの人が、自分の生み出した怪異によって死ぬかもしれない。

 どうにかしてスタンディングマンを止めなければいけない。均の頭にはそのことしかなかった。

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