星屑のソフィア
海猫ほたる
001 アークブレイカー
※冒頭は作者執筆。
俺の名前はレイ。
俺の仕事は、古代遺跡を漁って金になりそうな物を探してくる、いわゆる
この宇宙の辺境には、かつては栄華を誇っていたらしいが、今では完全に滅びてしまった星がある。
それはの星には、俺たちの知らない古代遺跡があって、そこに俺たちの知らないお宝があるんた。
まあ、当たりが出る事はあまり無いけど。
実際、良い星はみんな軍に抑えられてしまっていて、立ち入り禁止だったりする。
俺たち廃品業者が入っていい星にあるのは、もう動かない古代文明のガラクタばかり。
その中から、少しでもマシな部品を回収できたら、多少の日銭が稼げるかもしれない……ってくらいだ。
俺だってこんな生活早く抜け出して、もっとマシな仕事に就きたいものだ。
せめて、オンボロじゃない、もう少しマシな性能の宇宙船が手に入れば、星間長距離輸送の運送屋を始められるんだが。
とかぼやいていたら、目的の星に着いたみたいだ。
この星、RQT-GBH00654はもう何度も来ているから、遺跡という遺跡は既に掘り尽くされている。
滅びる前の文明レベルもそれほど高くなかったみたいで、宇宙船のパーツになる様な物すら見つからないから、もう同業者もあまり来なくなっている。
だからこそ、なんとかワンチャン……っていかないかと思う。
ま、無理なんだけどさ。
じゃあなんで来たかのというと、他の星に行けるほどの燃料がないってのが本音。
だが、全く何もないわけじゃない。
この星で見つかるカードが、カードコレクターの間で取り引きされていたりする。カードの入ったコレクションボックスなんて出て来たりしないかと思っている。
あと、この星の果実はなかなかうまくて、俺が個人的に食べたいというのもある。
めぼしい成果が何もなかったら、果実を手土産にするつもりなのた。
さて……と、今日はどこに降下するかな。
※以下AIが執筆
スラスターの唸りが弱まり、船体が微かに揺れた。
視界の外壁に、黄土色の砂嵐が映り込む。視界の奥、地表の陰影に、古代都市の骨のような塔が突き出ているのが見えた。風に削られ、輪郭を失った遺構。もう何度も見た光景だ。
俺は操縦桿を握り、降下角を調整する。
「よし、着陸シーケンス、開始」
低く唸る音。船体が重力に引かれて沈む。
ホバースラスターが吹き荒ぶ砂を巻き上げ、視界が白茶ける。
機体のセンサーが警告音を発し、キャビンの中に微かに焼けた電子の匂いが漂った。
いつも通りだ。
ハッチを開けると、乾いた風が一気に吹き込んできた。
砂が頬を叩く。ヘルメットを被り、フィルターを起動する。視界に青白いHUDが立ち上がった。
外は地平まで砂と瓦礫。かつて都市だった場所の残骸が、波のように連なっている。
「……さて、どこから掘るか」
軽装のスーツに工具バッグを担ぎ、崩れた通りを歩き出す。
崩壊したビルの影で、機械の骸骨みたいな清掃ロボットが横倒しになっている。脚部の合金を見てみたが、腐食が進みすぎていて使い物にならない。
やはりこの星も、もう寿命が近い。大気中の酸化成分が強すぎて、金属が長持ちしない。
瓦礫の奥を覗き込み、ライトを照らす。
かつての研究施設の一角だ。壁面に埋もれた文字列がかすかに読める。
《ARCHIVE》
その単語を見た瞬間、手が止まった。
この文明で英語表記を使っていた例は少ない。軍用か、あるいは外部由来の研究所。
少し胸が高鳴る。俺は瓦礫を掻き分けて、奥に進んだ。
通路は狭く、空気は重い。酸化臭とオゾンの混じった匂いが鼻を刺す。
足元には割れたコンソールパネル、崩れたガラス。
ライトを前方に向けた瞬間、反射する光が返ってきた。
床の中央に、奇妙な円盤状の装置が鎮座している。
直径は二メートルほど。金属でもなく、樹脂でもない。見たことのない素材だ。表面に薄く光が走っている。
「……お宝ってのは、こういう時に限って出るのか」
口元が緩む。足を止め、慎重に近づく。
装置の縁に、まだ稼働中らしきインジケータが淡く点滅している。
この星で、まだ電力が生きている? あり得ない。
携帯端末を取り出し、簡易スキャナを起動。
画面に走る未知のコード列。データ形式が全く一致しない。
端末が過熱し、警告が出た。
「チッ、こいつ……」
仕方なく電源を切り、工具バッグから電磁カッターを取り出す。
外装を剥がしてみようと刃を近づけた瞬間、
光が走った。
耳を貫くような高周波音。
装置の表面が裂け、光の線が渦を巻くように空間に浮かび上がる。
目を細めた俺の前で、その光は徐々に人の形を成していった。
足。腕。長い髪。
そして、瞳。
青い光がこちらを見つめていた。
いや、見ているというより、確かめている。
自分が“存在している”ことを確認するように、ゆっくりと瞬きをした。
声が響いた。
「——あなたは、誰?」
その声は不思議だった。
金属的な響きを帯びているのに、どこか柔らかい。
目の前の少女の輪郭は、まだ光子の粒で構成されているようで、半透明だった。
髪は白銀というより、光そのもの。空気を撫でるたびにきらめく。
顔立ちは人間そのものだが、どこか整いすぎている。
人工的に設計された美しさ。
「……おい。誰の仕掛けだ、これは」
後ずさりしながら、腰のハンドガンを抜いた。
少女は首をかしげた。
「攻撃の意図を感知。防御モード、解除します」
足元から淡い光の膜が広がり、空気が震えた。
次の瞬間、カッターが手から弾かれ、壁に叩きつけられた。
「ちょ、待てっ! 俺は敵じゃねぇ!」
反射的に叫ぶと、少女は一瞬だけ動きを止めた。
瞳の光が揺らぐ。
「敵……ではない?」
「ああ、ただの
数秒の沈黙。
やがて光の膜がゆっくりと収束していった。
少女は両手を胸の前で組み、わずかに俯いた。
「——確認。あなたの生命反応、脅威レベル低。攻撃意図なし。誤認識、訂正します」
「誤認識、ね……そりゃ助かる」
銃を下ろす。心臓の鼓動がまだ早い。
光の粒が薄れ、少女の体がより明確な輪郭を帯びていく。
白いスーツのような装束。全身に走る細い回路のような紋様が、心臓の鼓動に合わせて点滅していた。
「……名前は?」
気づけば、そう尋ねていた。
少女は目を閉じ、静かに答える。
「識別名コード:
「AI、だと?」
「はい。あなたの言語体系で言うなら——人工知性」
言葉の響きに、喉が乾いた。
この遺跡にAIが残っていた? 冗談だろ。
少女——いや、ソフィアは辺りを見回し、瓦礫をじっと見つめた。
「……ここは、崩壊している。アーカイブ文明の末期記録、存在しません。長い時間が経過したようです」
「長いって、どれくらいだ」
「計測できません。内部クロックが破損しています」
その言葉とともに、ほんの一瞬だけ寂しそうな表情をした気がした。
気のせいかもしれない。AIに感情なんてあるわけがない。
「ここに残ってた電源はお前が生かしてたのか?」
「はい。自己維持モードで稼働していました。しかし、限界です。あなたの接触によって、再起動が完了しました」
「……つまり、俺がスイッチを押しちまったってわけか」
「その通りです。あなたの生体信号を識別、起動条件を満たしました」
ソフィアはゆっくりと顔を上げ、俺の方を見た。
その瞳の奥で光が波打つ。
「——あなたの目的を教えてください。私は、それに従います」
まるでそれが当然のように言った。
命令を待つ犬のようでもなく、冷たい機械でもない。
ただ、純粋に「在り方」としてそう告げたようだった。
「目的……ねぇ」
肩をすくめる。
「金だよ。俺は
「了解。目的、資源回収。私は支援可能です」
「支援って……おい、まさか」
ソフィアの背後の空間が光り、遺跡の壁面が震えた。
崩壊した天井から砂が落ち、外で風が唸りを上げる。
次の瞬間、地面が割れ、巨大な影が現れた。
長年砂に埋もれていた艦体。
鈍い光を放つ装甲板が姿を現す。
「……なんだ……これは……船?」
「はい。艦名、アークブレイカー。私の躯体です」
砂塵の中、朽ちた巨体がゆっくりと目を覚ますように動き出した。
風が止み、空の色が一瞬だけ変わった気がした。
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