呪い?

休憩が終わり、僕たちは再び試合会場へ戻った。


僕とロークはすぐに座る場所を探した。

「よし、ここに座ろう、シン」

ロークは椅子にどかっと腰を下ろしながら言った。


下の方では、チームEとチームFが戦闘準備を整えている。


「ふーん…面白くなりそうだな」

僕は彼らを観察しながらつぶやいた。


ロークは感心したように振り返って笑う。

「おお、でもさ、さっきはお前もカッコよかったぜ、シン」


僕は試合に集中しながら答えた。

「あれは相手が油断してて調子に乗ってただけだから。だから負けただけだ」


ロークは小さく笑った。

「いやあ、お前は謙虚だな。でもそれで調子に乗らないのはいいことだ」


僕はほんの少し微笑む。


しかし、試合が始まって数分後――


ドゴォォン!!!


大きな爆発がアリーナを揺るがした。爆風が観客席まで吹き抜け、何人かの生徒が驚いて叫んだ。


「な、何だあれ!?」 「あれは後ろのクラスのやつだ!!」 「マジか、いったい何してんだ!?」


僕は爆発の源を見つめた。

そこには……カエルが立っていた。黒い霧のような暗いオーラが渦巻き、目は悪魔のように赤い。


(……呪いか?まさに呪いのオーラだ)


カエルは憎悪に満ちた鋭い視線で僕を睨んだ。


「シン!! お前を殺す!!」


僕は答えず、ただ見つめ返した。


ロークはすぐに立ち上がり、カエルに向かって跳んだ。

「ふざけんな! 試合の邪魔をするな!!」


だが攻撃が当たる前に――


ドン!

カエルは手を振る。黒いオーラが爆発し、ロークを人形のように吹き飛ばした。


バキッ!

地面にひびが入り、ロークはうめき声を上げて倒れ、そのまま意識を失った。


「うっ…クソ……なんだこの力は…」

ロークは力なくつぶやいて、意識を失う。


カエルのオーラは濃くなり、黒い霧が揺れ動き、紫の小さな雷が周囲で踊っている。


(普通の力じゃない……無理やりその力を使わされている)


僕たちの先生が観客席から慌てて叫ぶ。

「全員、後退しろ!! 試合は中止だ!!」


先生は鋭い目で僕を睨む。

「おい、お前! 死にたいのか!? 余計な真似をするな!」


僕は一歩踏み出した。

「違う。僕があいつを止める。」


降りようとしたその時――


無音で隣に現れたのは赤髪リオだった。


落ち着いた鋭いオーラをまとい、彼女の目はカエルを見つめ、次に僕に向いた。


「手伝ってもいい?」と彼女は静かに言った。


僕は返す。

「うん。君は…リオだよね?」


リオは頷く。

「そう。そして…君が好きになりそうだ、シン」


「えっ!?」僕は思わず後ずさる。


リオは小さく息を吐く。

「そういう意味じゃない。戦い方が好き。魅力的だ」


僕は首の後ろをかきながら戸惑う。

「さっきはそうじゃなかったのかよ…まあいいや」


リオは薄く笑うが、その目は戦闘態勢のままだった。

「さあ、あいつを止めよう」


僕は頷いた。

「うん、行こう」


リオは落ち着いて自信たっぷりの視線で僕を見て言う。

「シン、先に行くね。私が最初に攻撃する」


僕は戸惑って瞬きをした。

「え?じゃあ…僕は何すれば?」


リオは僕の後ろの椅子を指す。

「座ってなさい。隊長は先に戦うものよ」


(逆じゃない?隊長ってリーダーじゃないの?)


妙な違和感に気づく。

「え?いつから君が俺の隊長に?」


「さっきからよ」とリオは涼しげに答えた。


「ふざけんな…」と僕は鼻で笑う。


だが抗議する前に、リオは光の速さで消えた。


シュッ!


「光眼…」彼女は囁いた。


白い光がリオの身体を包み、一瞬でカエルの前に現れた。

彼女の剣がカエルの黒いオーラに包まれた手とぶつかる。


ガシャン!!


黒いエネルギーと白い光が火花を散らす。


リオは鼻で笑った。

「何?弱すぎ。後ろのクラスに戻って寝てなさい」


(こいつ、冷静かと思ったら意外と生意気だな…)


カエルは激しく吠えた。呪いのオーラはさらに濃くなり、黒い煙のように渦巻く。


「黙れ、クソガキが!! シンだけ引き裂けばいいんだ!! ここで騒ぐな、豚野郎!!」


リオは急に観客席の僕を見て真剣な顔で叫ぶ。


「シン!! 今、あんたのこと豚って言ったよ!!」


僕はポカンとした。

(…兄弟、それお前に言ってるだろ。なぜ俺に振るんだ?)


自分の顔を叩く。

「違う、俺じゃない――」


言い終わらぬうちに、カエルは再び叫び、呪いのオーラが黒い嵐のように炸裂した。


ドカン!!


地面が割れ、埃が舞い、生徒たちが慌てて叫ぶ。


その間もリオは僕を指さし続けた。

「でもホントよ!あいつ、あんたにひどいこと言ってる!」


(なんだよ、こいつちょっとおかしいぞ…)


※※※


僕は深く息を吸った。

「くっ、俺がやる。」と静かに言う。


(動きを見れば、カエルはもう戻れないみたいだ……だから、今できるのは――止めることだけだ…)


そう決めた。


皮膚を冷たくし、存在を消すスキルを再び使う。


ジィィィン!!!


身体が視界から消え……すぐにカエルの頭上に現れた。

迷わず強烈な蹴りを繰り出し、彼の頭を地面に叩きつけ、亀裂の入った地面に沈めた。


彼が起き上がる間もなく、青い炎の魔法の雨を降らせる。

小さな火球が唸り、彼の身体を包み込み、服を焼き、黒いオーラを焦がした。


フッ…フッ…フッ…


炎が身体を打ち止め、彼は立ち上がれなかった。


(……死んだか?)


ぼんやりそう思ったその時、遠くから姉の叫び声が聞こえた。


「シン!!大丈夫!?!」

ルシアが慌てて駆け寄る。恐怖に満ちた顔。


その瞬間、背後から鋭い刃が背中を貫いた。

カエルの黒い剣が突き刺さり、肉を切り裂き、口から血が噴き出る。


熱さと冷たさが混ざり、世界がゆっくり回転する。


ルシアは凍りつき、目を見開いた。

リオも驚きの表情で僕を見る。


喧騒の中、カエルの冷酷な笑い声が背後から響いた。

「とうとう……やつを倒したか、下民よ……」


「シン!!!」

ルシアの叫びとともに、息が詰まるようだった。

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