第2話 第1章 目覚めの時

🕯『黒き封印』


第1章「目覚めの刻」



🔹Scene 3:レジスタンスの朝


山間の拠点――それは、かつて魔術帝国の圧政から逃れた者たちが築いた、ささやかな自由の砦だった。


ゼファーリアに抗い続けるガロウが中心となり結成されたこのレジスタンスは、

武力と魔法によって支配される世界に、一筋の光を灯そうとしていた。


そして今、ゼファーリアの影が再び忍び寄るなか、

若き戦士たちもまた、剣を握っている。


朝露が残る訓練場に、鳥のさえずりが響く。

焚き火の名残が微かに煙り、静かな息遣いとともに、

一人の青年が剣を振っていた。


革の装備に身を包み、無駄のない動作で木人形へ斬撃を繰り返す――シン。

額から汗が流れ、呼吸が徐々に荒くなる。


シン「……まだ、遅いな。」


呟いた声に、背後から豪快な笑いが重なる。


ガロウ「おいおい、朝っぱらから修行かよ。ちっとは寝てもバチ当たらねぇぞ?」


声の主は、筋骨隆々の戦士――ガロウ。

元はゼファーリア騎士団に籍を置いていたが、ある事件をきっかけに反旗を翻し、

レジスタンスのリーダーとなった。

今では若者たちに、剣と信念を教える兄貴分でもある。


シン「寝てたら……鈍る。」


シンは手を止めずに答える。

彼は故郷をゼファーリアに滅ぼされ、この拠点に身を寄せて以来、剣を手放すことはなかった。


ガロウは肩をすくめて笑い、ふと意味ありげな視線を拠点の奥へ向ける。


ガロウ「ま、その真面目さがアイツには――」


ガキィンッ。

シンの剣が木柱を弾き、鋭い目線が返る。

ガロウが思わず口をつぐんだ。


ガロウ「……なんでもねぇって。ったく、わかりやすいぜ。」


シンが汗を拭って額のバンダナを外すと、肩口の革がずれた。

その下に――淡く光る、模様のようなアザがちらりと浮かぶ。


だが、誰もそれに気づくことはない。

まだ、“誰も”。



🔹Scene 4:ふたりの任務


昼下がり。

シンとミサキは補給任務のため、山を下りて村へ向かっていた。


穏やかな森道に、笑い声が響く。


ミサキ「ほら、これ。意外と美味しいんだから。」


串を差し出すミサキ。

シンとは幼馴染。明るく勝ち気な性格で、レジスタンスの中心的存在でもある。


彼女もまた、ゼファーリアの圧政で家族を失い、

自らの意志でこの戦いに身を投じていた。


シン「……口の端に飯粒ついてる。」


ミサキ「うっさい。見てなくていい!」


シン「見てるよ。」


不意の一言にミサキが口を閉じ、顔をそらす。

ごまかすようにポニーテールを結い直すと、肩口から上着がずれた。


そこに――シンと同じ位置、同じ模様のアザが、そっと覗いていた。


二人は、まだ知らない。



🔹Scene 5:襲撃、そして戦い


拠点へ戻る途中の森で、突如、異様な気配が立ち込める。


ミサキ「……止まって。なにか……いる。山賊?」

シン「いや、違う!」

ミサキ「えっ、何?」


ミサキの声と同時に、黒衣の兵士たちが木立の影から現れた。

その肌は灰色にただれ、目は赤く濁って光っている。


シン「来るぞ!」


シンが即座に剣を抜いた瞬間、戦闘が始まった。


ミサキが駆け出す――


ミサキ「てやっ!」


鋭く一回転して放たれたのは、高速の回し蹴り。

敵の仮面が砕け、黒い瘴気が弾け飛ぶ。


ミサキ「うぇっ……なにこれ……!」


その隙に、もう一体が背後から迫る。

ミサキが振り返る――間に合わない。


ミサキ「しま――!」


シン「ミサキ‼︎」


鋼が火花を散らす。

シンが間に入り、剣で敵の刃を受け止めていた。


ミサキ「……ありがとう。」

シン「動けるか?」

ミサキ「もちろん。」


二人は背中合わせに立ち、周囲の敵を見据える。


シン「こっち三体。」

ミサキ「こっちは四体。――行くよ!」


瞬間、左右に散り、それぞれの敵へ飛び込んだ。


ミサキは再びローリングソバットで敵の膝を蹴り崩し、

シンは剣で次々と斬り伏せていく。

シン「これで終わりだ‼︎」


最後の一体が消え、辺りは静まり返る。


シン「……消えた? 一体、なんだったんだ……」

ミサキ「わからない、でも普通じゃなかった。人じゃないみたいな……」

シン「まるで、何かに操られてるみたいな、そんな感じだった……」

ミサキ「何か、気味悪いね……」


二人はアジトへの帰路を急ぐのだった。



🔹Scene 6:夜の空、忍び寄る崩壊


夜。

拠点の灯りが揺れ、仲間たちは眠りにつく。


シンは一人、丘の上に立ち、空を見上げていた。


シン「……」


先程の戦いを反芻していた。


星々が静かにまたたく。

その中に、一瞬だけ――黒い“滲み”のようなものが揺れる。


シンは目を細め、静かに息を吐いた。


まだ、歯車が狂い始めていることに誰も気づいていない。

そして、運命に翻弄されていくことにも……


誰も、まだ知らない。

この夜、静かに始まった“異変”が――

やがて、世界を呑み込む“混沌”の扉を開くことを。



※本作はAIアシスタントの助言を受けつつ、作者自身の手で執筆しています。(世界観・物語は全て作者オリジナルです)


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