第27話 特訓完了!新たなる力の覚醒!!

朝日が、特別訓練場を照らし出した。


俺、エリシア、ミア、アレクシスの四人が、訓練場の入口に立っている。


そして、少し離れた場所に、モルドレッド、シグルーン、ガウェインの三人。


「全員、揃いましたね」


フレイヤ様が微笑んだ。


「今日は、全員で戦ってもらいます」


「全員で?」


俺は七人を見回した。


「はい。個々の力は素晴らしい。でも...」


フレイヤ様が訓練場の中央を指差した。


「それを一つにできなければ、真の力にはなりません」


訓練場の中央に、巨大なゴーレムが三体立っていた。


これまで見たこともないようなでかさや。


「うわ...めっちゃでかい...」


「ミア、ちょっと怖い...」


ミアが俺の袖を握った。


「大丈夫や。みんなでやれば、きっと何とかなる」


俺はミアの頭を撫でた。


「では、始めてください」


フレイヤ様が合図した。



――― ゴーレムたちが、一斉に動き出した。


地面が揺れる。


巨大な拳が、俺たちに向かって振り下ろされる。


「よっしゃ、行くで!」


俺は剣を抜いて突撃した。


「俺が先陣を切る!」


「待ってください、レナさん!」


エリシアの声が聞こえたけど、もう遅い。


俺は一体のゴーレムに斬りかかった。


「《光閃斬(リュクテ=ブリッツ)》!」


ガキィン!


ゴーレムが剣を弾く。


「くっ...硬い...!」


その時、別のゴーレムが横から攻撃してきた。


「危ない!」


「私も行きます!」


エリシアが駆け寄ってくる。


でも、エリシアの攻撃と俺の動きが重なって、お互いの邪魔になった。


「あっ...!」


「すみません!」


「ミアも攻撃する!《火炎弾(イグニス)》!」


ミアの魔法が飛んでくる。


でも、タイミングが悪い。


俺とエリシアの間を通り抜けて、明後日の方向へ。


「ミア、待って!」


「あ、ごめんなさい!」


アレクシスは防御に回ろうとしたけど、誰を守ればいいのかわからない様子。


「お前ら、散らばりすぎだ!」


モルドレッド、シグルーン、ガウェインも、それぞれバラバラに戦っている。


連携なんて、全くない。


気づけば、俺たちはゴーレムに囲まれていた。


「やばい...!」


「このままでは...!」


ガキィン、ドスン、バシッ!


四方八方から攻撃が来る。


「みんな、集まって...!」


俺が叫んだ瞬間――


「一旦、止めましょう」


フレイヤ様の声が響いた。


ゴーレムたちが、動きを止める。



――― 俺たちは、息を切らしながら地面に座り込んだ。


「全然...ダメやった...」


俺は悔しくて拳を握りしめた。


「何が問題だったと思いますか?」


フレイヤ様が静かに聞いた。


俺は黙って考えた。


(なんでや...?みんな一生懸命戦ってたのに...)


(でも、全然うまくいかへんかった...)


「...俺たち、バラバラやった」


俺は顔を上げた。


「お互いの動きを見てへんかった。自分のことだけ考えてた」


「その通りですね」


エリシアが頷いた。


「私も、自分の攻撃だけに集中していました」


「ミアも...レナお姉ちゃんを見てなかった...」


ミアが申し訳なさそうに俯いた。


「連携...できていませんでした」


アレクシスが言った。


「そうです」


フレイヤ様が頷いた。


「あなたたちは個々に強くなりました」


「でも、それだけでは足りないのです」


「チームとして戦わなければ、真の力は発揮できません」


「チームとして...」


俺は呟いた。


「もう一度、やらせてもらえますか?」


エリシアが立ち上がった。


「今度は、ちゃんと連携します」


「ええ、構いませんよ」


フレイヤ様が微笑んだ。



――― 「まず、作戦を立てよう」


エリシアが言った。


七人が円陣を組む。


「俺たち、それぞれ得意なことがある」


アレクシスが言った。


「それを活かした戦い方をすればいい」


「私は前衛で攻撃できます」


シグルーンが言った。


「僕は後方支援が得意だ」


モルドレッドが頷いた。


「僕は重装備で突撃できる」


ガウェインが胸を叩いた。


「ミアは魔法でサポートするね!」


ミアが元気よく言った。


「私はこの剣で!」


エリシアが剣を構えた。


「俺は...防御も攻撃もできる」


アレクシスが言った。


「ほな、俺は全体を見て、指示を出す」


俺が言った。


「よし、役割分担は決まったな」


「もう一度、行こう!」



――― ゴーレムたちが再び動き出した。


「シグルーン、前衛!」


俺が叫んだ。


「了解!」


シグルーンが前に出る。


「ガウェイン、突撃!」


「任せろ!」


ガウェインが突進する。


「ミア、魔法でサポート!」


「うん!《火炎弾(イグニス)》!」


炎がゴーレムを包む。


その隙に、エリシアとアレクシスが攻撃する。


「《自由剣舞(フライハイト=タンツ)》!」


「《双刃舞(ツヴァイ=クリンゲン)》!」


ガキィン、ガキィン!


ゴーレムに傷がつき始めた。


「よっしゃ、効いてる!」


俺も攻撃に加わる。


「《光閃斬(リュクテ=ブリッツ)》!」


今度は、さっきよりもうまくいってる。


連携が取れている。


でも――


「まだ、何か足りへん...」


俺は心の中で呟いた。


確かに連携は取れている。


でも、完璧やない。


動きがカチカチしてる。


まるで、機械みたいや。


「一旦、止めましょう」


またフレイヤ様の声が響いた。



――― 「さっきよりは良くなりました」


フレイヤ様が言った。


「でも、まだ何かが足りません」


「何が...足りないんでしょうか...」


エリシアが聞いた。


フレイヤ様は、優しく微笑んだ。


「それは、あなたたち自身で気づかなければなりません」


俺は考えた。


(さっきは連携が取れてた...役割分担もうまくいってた)


(でも、何かが違う...何が足りへんのや...?)


その時、ふと気づいた。


「...作戦通りに動いてただけや」


俺は呟いた。


「え?」


エリシアが振り返った。


「俺たち、作戦通りに動くことばっかり考えてた」


俺は全員を見回した。


「お互いを信じるってことを、忘れてた」


「信じる...?」


ミアが首を傾げた。


「せや」


俺は頷いた。


「作戦は大事や。でも、それだけやない」


「お互いを信じて、心を一つにすること」


「それが、本当のチームや」


「心を...一つに...」


エリシアが呟いた。


「そうか...」


アレクシスが拳を握りしめた。


「俺たちは、まだお互いを完全には信じきれてなかったんだ」


「作戦に頼ってた」


「でも、本当は...」


モルドレッドが立ち上がった。


「仲間を信じることが、一番大切なんだ」


「そうですね」


シグルーンが微笑んだ。


「もう一度、やりましょう」


エリシアが剣を構えた。


「今度は、作戦やなくて」


俺が言った。


「心を一つにして戦うんや」


全員が頷いた。


「みんな、手ぇ出してや」


俺たちは円陣を組んで、手を重ね合わせた。


「俺たちは、チームや」


「仲間や」


「家族や」


「信じ合おう」


「そして、勝とう」


「おう!」


全員の声が重なった。



――― 三度目の戦い。


ゴーレムたちが動き出す。


でも、今度は違った。


俺たちは、何も言わなくても動きが合う。


シグルーンが前に出る。


その動きを見て、ガウェインが横から支援する。


アレクシスが防御の位置に入る。


ミアの魔法が、ちょうどいいタイミングで飛んでくる。


エリシアと俺の攻撃が、完璧に噛み合う。


モルドレッドの支援が、すべてを繋げる。


「これや...!」


俺は笑顔になった。


「これが、本当のチームや!」


誰も指示を出してへん。


作戦もない。


でも、完璧に連携が取れてる。


お互いを信じてるから。


心が一つになってるから。


「みんな、最後や!」


俺が叫んだ。


「全員の力を、一つにするで!」


シグルーンが叫んだ。


「《指揮の光(フュール=リヒト)》!」


ガウェインが吠えた。


「《重撃の輝き(シュヴェーア=グランツ)》!」


アレクシスが構えた。


「《防護の盾(シュッツ=シルト)》!」


モルドレッドが技を放った。


「《暗黒の剣(ドゥンケル=シュヴェルト)》!」


ミアが魔法を唱えた。


「《火炎嵐(フォイヤー=シュトゥルム)》!」


エリシアが剣を振るった。


「《自由剣舞(フライハイト=タンツ)》!」


そして、俺が叫んだ。


「《真・光閃斬(シン・リュクテ=ブリッツ)》!」


七つの技が、一つに融合していく。


光の奔流が、ゴーレムたちを包む。


「《神光七星陣(ゴットリヒト=シュテルン)》!」


全員で叫んだ。


ズドォォォォン!


まばゆい光が、訓練場を満たした。


ゴーレムたちが、粉々に砕け散る。


光が消えた後、俺たちは立っていた。


息を切らしながら、でも笑顔で。


「やった...」


「勝った...!」


「やったあ!」


みんなが喜びの声を上げた。



――― 「素晴らしい」


フレイヤ様が拍手した。


「完璧でした」


「あなたたちは、本当のチームになりました」


「ありがとうございます!」


俺たちは深く頭を下げた。


「これで、ヴォルンドと戦う準備ができましたね」


フレイヤ様が微笑んだ。


「はい!」


俺は力強く答えた。


「次は、必ず勝ちます」


「ええ。信じています」


フレイヤ様が頷いた。


「では、今日はここまでにしましょう。明日からは、実戦準備に入ります」




――― 夜。俺は一人で神殿の屋上にいた。


「明日や...明日、ヴォルンドとの再戦や!」


胸がドキドキしている。


前回の戦闘が、頭の中でフラッシュバックする。


ヴォルンドの《天裂破(ヒンメル=ブルフ)》。


吹き飛ばされる仲間たち。


圧倒的な力の差。


俺たちは、まるで子供のように扱われた。


「また負けるんやないか...」


小さく呟く。


不安が、胸の中で膨らんでいく。



「眠れないのですか?」


声がして、振り返った。


エリシアが立っていた。


「エリシア...ちょっとな」


「私もです」


エリシアが隣に来た。


二人で、星空を見上げる。


「明日のこと、考えてました?」


「...せやな」


俺は正直に答えた。


「正直、めっちゃ不安や。前回、ボロ負けやったから、また同じことになるんやないかって」


エリシアが静かに微笑んだ。


「その気持ち、わかります...私も不安です」


「でも」


エリシアが俺を見た。


「今度は違います」


「俺たちは、前より強くなった」


「ええ。そうですね」


その時、また足音が聞こえた。


「レナお姉ちゃん!」


ミアが走ってきた。


「ミア、どうしたん?」


「眠れなくて...」


ミアが俺にしがみついてきた。


「明日、怖い...」


「大丈夫や」


俺はミアの頭を撫でた。


「俺たちがおる」


次々と、仲間たちが集まってきた。


アレクシス、モルドレッド、シグルーン、ガウェイン。


みんな、眠れなかったようだ。


「心配か?」


アレクシスが聞いた。


「...正直、めっちゃ不安や」


俺は素直に答えた。


「それでいい」


モルドレッドが言った。


「不安を感じるのは、真剣だからだ」


「逃げずに向き合おうとしているからだ」


シグルーンが優しく言った。


「でも、今度は違うわ」


「私たちは、前より強くなった」


ガウェインが拳を握った。


「そして、何より」


全員が俺を見た。


「俺たちは、一つやから」


みんなが頷いた。


「明日、絶対に勝とうな」


「おう!」


「はい!」


「うん!」


みんなの声が、夜空に響いた。


涙が出そうになった。


こんなに素晴らしい仲間がおる。


俺は、一人やない。


「ありがとう、みんな」


星空の下、俺たちは誓った。


明日、絶対に勝つ。


みんなと一緒に、必ず。




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こんにちは、こんばんは作者です!

いつも読んでくれてありがとうございます!


次回はいよいよヴォルンドとのリベンジ戦です!


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