第7話 祝祭
床下の闇に静けさが漂う屋敷。襖の隙間越しに映るのは、絹世と吾郎が絡み合う姿──柔らかな肌と吐息が絡み、淫靡で妖艶な光景がそこにあった。
紗枝の瞳からひとすじの涙が零れる。だが、目は逸らせない。あまりにも美しく、命の気配すら切り裂く色香に、紗枝の指は震えながらも着物の衿をそっと開く。
その仕草を絹世は見逃さなかった。ふっと微笑み、しなやかに身体を揺らし、手をゆらりと動かして「おいで」と紗枝を誘う。
紗枝の心は揺れ、戸惑いと渇望が入り混じる。帯をゆるめ、そっと床下に忍び込むと、そこにはすでに熱に溶けた絹世と吾郎の身体があった。
「お願い……今度こそ抱いて、お願い……」
紗枝は絹世と重なりながら、吾郎に丁寧な口づけを捧げる。熱を帯びた吐息が三人の間に溢れ、絡み合う手と指先が互いの体温を探り合う。
絹世の指先が紗枝の肩をなぞり、腰に絡む。唇が重なり合い、吐息が混ざり合うたび、三人の熱はさらに深く、濃密になっていく。
「私たちだけの、誰にも触れさせたくない世界──」
絹世の囁きに応え、紗枝は唇を重ね、互いの息を感じ合う。
触れ合うたびに熱は増し、爪や指先が絡まり、夜の空気は妖しい香りに満ちていく。
「あなたはただの敵じゃない、私たちは運命の共犯者──奪い合い、溶け合う三つ巴の絆よ」
絹世の鋭い目に紗枝も応じ、互いの欲望を確かめ合う。
吾郎もまたその狭間で呼吸を荒げ、二人の間に深く溶け込み、三人だけの熱を深めていく。
床下の公造の亡骸は静かに眠る。
その真上で繰り広げられる密やかな交わりは、三人だけの勝利の証。嫉妬も欲望も、すべてが絡まり合い、夜は静かに、しかし濃密に燃え上がった――。
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