新約陰謀論 -A Conspiracy: The New Testament-

haru

まえがき -Opening Note-

世の中に、不条理さを感じたことはありませんか?


どれだけ頑張っても報われない。

正直に生きた人が損をする。

悪いことをした者が、のうのうと笑っている。

格差は広がり、努力の意味も薄れていく。

——どうして私だけ、こんなにも不幸なのだろう。

そんなふうに感じたことが、誰にでも一度はあるはずです。


そうした不条理の理由として、「この世界の裏には巨大な陰謀がある」と語る人たちがいます。

一部の権力者が闇で世界を操り、善良な人々を搾取している。

その支配者たちは、古代から地球に潜む“異星の存在(レプティリアン)”に仕え、

人口削減を進め、人類を奴隷化しようとしている——。

しかし、絶望の中にも希望はある。

彼らに対抗する“善なる宇宙の仲間”が存在し、

いまも人類を救うために戦っているのだ、と。


……そんな話、どこかで耳にしたことがあるかもしれません。

確かに、筋は通っています。けれど、よく考えてみると、

少しばかり都合が良すぎるようにも思いませんか?


本当に、悪い者たちは一枚岩で結束できるのだろうか?

それほど狡猾な宇宙人が、なぜ未だに地球人を支配できないのだろうか?

どうして、彼らはいつまでも姿を現さないのか?


そして——味方だとされる存在は、なぜ私たちを戦いに巻き込むのか?

もし正義であるなら、どうして直接救いに来ないのか?

神はいないのか? それとも、すでに沈黙してしまったのか?


……不思議ですね。

物語としては魅力的でも、現実に照らすとどこか辻褄が合わない。

それでも、私たちはどこかで「信じたい」と思ってしまうのです。

世界の不条理を“説明できる理由”が、そこにあるような気がするから。


ここで、ひとつ私の仮説をお話ししましょう。

これはあくまでフィクション——私の創作です。

けれど、もしかしたら世の中のどの説よりも“あり得る”かもしれません。

そんなふうに感じていただけたら嬉しい。


この物語が、あなたにとって「信じるとは何か」「真実とは何か」を考える小さなきっかけになれば——それが何よりの願いです。


それでは、物語を始めましょう。

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