第8話

アカリのその話を聞いた私達は、衝撃を受けた。

アカリの親の離婚は、まるで未来の私達の姿のようだったから。


この関係を変えなければならない。そう突きつけられたのだ。


「私は嫌だよ。花菜がいなくなって、香りまで奪うの?」

不安そうな声でエマが言うと、アカリがこう諭した。

「違うよ。奪うんじゃなくて、私達と違う関係になるの」

もうこの時には私たちの心を許せる友達になっていたアカリがそう言うと、エマは表情を和らげた。


「みんな、香りに囚われてる」

私は祖母に。エマは友達に。アカリは母親に。

そう私は皆に告げた。自身にも言い聞かせるように。その言葉を、二人とも真摯に受け止めてくれた。


 「少しずつ変えていこう。私達の、記憶の香りを」

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