第7章 クリスマス直前 のクリスマス

第34話 祭りの前の賑わい。ふたりだけの気の早いクリスマスデート。「みんな見てるから、マズいって……」

 十二月十八日、日曜日。

 クリスマスを翌週に控えた本日。

 僕たちのクリスマスウィークイヴデート当日だ。


 和奏のマンションで、本日の衣装へと着替える。

 本日はクリスマス記念にと、いちばん最初のデートで着た、なりきり制服に身を包んだ。

 気合を入れるためにも、和奏からもらったピンクのリップでくちびるを彩る。

 鏡を見る。ラメで輝く僕の唇。

 かつての、女装がばれるかもという杞憂も、今の自分にはない。

  

「和奏、準備は大丈夫?」

「……ええ。行きましょ」


 ポーチを肩に掛ける和奏。

 彼女が僕の腕に抱きつく。ぴたりとつく彼女の体。

 扉を開ける。


 僕と和奏は、ふたりだけのクリスマスデートへの第一歩を踏み出した。


◆◆◆◆


「……制服着てデートしてたら補導されないかな?」


 身に着けた制服へと視線を落とす。


「平日だったら、呼び止められるかもしれないけど、休日だから多分大丈夫じゃない……? そもそもこれ、ホントの制服じゃないしね。それに、女子同士なら変な勘繰りもされないんじゃないかしら……?」

  

 言ったそばから、腕を組んでくる。


「だから、みんな見てるから、マズいって……」

「ふふっ……、平気よ……」


 街は翌週に控えた一大イベントに向けて沸き立っている。


 しかし、そんな中。

 今日が僕たちにとっては、

 本番のクリスマスデートなのだ。


 ──ヒュうぅーー……


  強く風が吹く。

  路上をカランコロンと空き缶が転がっていく。


(──そう言えば、校舎裏で和奏に告白した日も、こんな感じに風の強い日だったな……)


「僕たちって付き合い始めてから、まだ三ヶ月も経ってないんだよね……」

 

 ──僕が和奏に告白したのが十月中旬。

 そして今は、十二月中旬……。


 告白して、女装デートするようになってから、約二ヶ月程度しか経過していない……。


「──付き合った期間の長さは関係ないわよ……それに、去年からおたがい、意識はしてたんだもの……」


「……たしかにね……」


  ──僕たちはふたり、クリスマスムードに染まる街を、肩を寄せ合い進んでいく。

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