第16話 カメレオンの増援とカイザーの宣言
ヨハネスの問いかけにカメレオンは口角を上げた。
「約束を破って何の得がある? おれが卑怯者扱いされるだけだ。誰が好き好んでそんなバカなことをする? おれは約束を守るよ。君たちが勝てればの話だが」
目をぐるぐると動かしながらカメレオンが言った。表情がよく変わる奴だ。
カメレオンを約束を必ず守る。問題は私たちが勝てなかった場合だ。
「万が一私たちが負けたらどうなる。世界を崩壊させるつもりか」
「違う。おれは君たちを倒して希望を奪ってみたい。君たちが全滅すれば世界から希望が奪えるからね。希望がなくなったらどうなるのか、おれは見てみたい」
「大層な野望だけど、君だけで僕たちに勝てるつもりかな」
ヨハネスの言い分はもっともだ。こちらは七人に対し彼はひとりだ。
「その気になれば全員倒せるけど……その前に君たちは六人だろう。
彼女は回復役だ」
ニッと笑ってエリザベスを指差す。
初対面にもかかわらず、そこまで見抜いてきた。
「正解です……」
少し俯くエリザベスをカメレオンは高らかに笑い飛ばす。
「頑張ってくれたまえよ。今日は負傷者が続出するだろうから。
ひょっとすると手遅れになるかも」
「ヒッ……」
陽気さの中に冷淡さを漂わせた緑の瞳でカメレオンが一瞥するとエリザベスは息を飲む。
「六対一。ああ、おれが不利だねえ。今にも逃げ出したいぐらい不利だ」
両腕で肩を抱きしめて震える。
もちろんただの演技であり顔には満面の笑みが広がる。
「仲間がいるのは君たちだけじゃないよ」
彼が指を鳴らすと濃い緑のフードを目深に被った五人組が現れた。
「これで六対五だねえ。さて、どうする?」
「戦うに決まっているだろう」
「それでおれを封印するって?」
挑発的に笑う怪盗カメレオンに私は宣言した。
「違う。君を地獄監獄送りにする」
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