第13話 ヨハネスとメープルの対話

レストランでヨハネスとメープルは対峙した。

相変わらずというべきかヨハネスは机に食べ終わった皿を何枚も重ねている。

痩せの大食いという言葉は彼が最も体現しているだろう。


ヨハネスは口元を拭い碧眼を半弧にして口角を上げた魅力的な笑みを作る。

メープルはすこしだけ冷や汗をかきながら。


「それにしても、あなたは本当によく食べるわね」

「頭脳を使うには糖分が必要だからね。特に未来予知は体力を消耗するから」

「ジャドウが嫌がるのもわかる気がするわ」

「その分僕はスター流に貢献しているからね。色々と」


未来予知。様々な発明の開発担当。情報収集。

余裕ある振る舞いに反してヨハネスに課せられた仕事は多い。

持ち前の天才的な頭脳で美琴の攻撃反射を一時的に止める薬さえも開発したほどだ。


「ヨハネス。あなたも苦労しているわね」

「まあね。この外見だから苦労してるよ」

「その割には嬉しそうだけど」

「嬉しさ半分、苦労半分かな。容姿を褒められるのはやっぱり嬉しいからね」


風が吹きヨハネスの亜麻色の髪を靡かせる。

ヨハネスは本当に美しい容姿をしている。妖精のような美貌というべきか。

テーブルの下で足を組み、ストローでジュースを飲んでから口を開く。


「君は怪盗カメレオンが復活したことを知ってる?」

「カイザーから聞いたわ。あなたは楽しみにしているそうね」

「探偵と怪盗は避けられない宿命があるからね」

「期待してる」

「どういたしまして」

「夜に本部に集合だから忘れないようにね」

「僕の辞書に忘れるという言葉はないよ」

「それもそうね」


メープルはさりげない形で私にヒントをくれた。

夜までに間に合わせてパンを作らねばならぬ。

残るは李だが、彼女の心の面もメープルに任せるとしよう。


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