第11話 ムースの本音

ふたりはカフェに行き店の外にあるテラス席に向かい合って腰かけると苺のショートケーキなどのケーキ類各種とコーヒーを注文し、待っている間は雑談に花を咲かせた。


食べ終わったムースは自身の腹を撫でて満面の笑みを浮かべた。


「美味でしたわ~!」

「美味しかったわね。やっぱり甘いものはストレス発散に最高ね」


ここでコーヒーを口に含んでから話を変えた。


「ねえ、ムース。美琴はあなたの気持ちに気付いているのかしら」


彼女の問いにムースは細い眉を八の字にした。


「いいえ。全然ダメですわ。どれほど積極的にアピールしてもお友達としか見ていないみたいで……わたくしはそれでも幸せではありますけれど」

「物足りない?」

「欲を言えばそうですわ。

両想いになりたいのが本音ですけれど、叶わない夢ですわ」

「美琴には不動がいるものね。もっともあちらは自覚がないみたいだけど」

「不動様も不動様ですわ! 

いい加減美琴様に告白して両想いになればいいんですのよ!」

「不動は自覚はあるみたいけれど、一歩を踏み出せない感じがするのよね」

「わたくしとしてはそのままのほうが穏やかな時間がすごせますわよ」


メープルはコーヒーを飲み干してから立ち上がり。


「今日は楽しかったわ。私に付き合ってくれてありがとうね」

「お礼を言うのはわたくしの方ですわ。とっても幸せでしたもの」

「それじゃあ帰りましょうか」


メープルは今度は自分から優しくムースの手を繋ぎ歩き出す。

ムースは頬を赤く染め、少しだけ呆然とした表情をしていた。

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