貞操逆転世界にTS転生した俺は咲き乱れる百合の花を眺めたかっただけのに、王子様系女子に猛アプローチをかけられてメス堕ち路線に乗りかけて理性を失いかけている(白目)

まちかぜ レオン

第1話 貞操逆転世界のお嬢様にTS転生

 目が覚めて、すぐに「おかしい」と思った。


 俺の身体から、「男のシンボル」がなくなっていた。


 朝になったのに元気にならないなぁ、と思い、いじくろうと試みたところ。


 そもそも、「男のシンボル」そのものが消えていた。ヘソから下に手を伸ばしても、あるべき膨らみがなく、逆にへこんでいる。


 おかしいのは、それだけじゃない。


 覚えのない女物を着ている。ミルク色の上下であわせた、シルク素材のさらりとした素材のパジャマだ。


 パジャマの上衣を押し上げるように、メロンのような爆乳が激しく主張している。


 脂肪の塊が、重力に負けて、ずっしりとぶら下がっている。


 肩が重く、首がうまく動かない。完全に凝っている。巨乳の代償というやつだろう。


 パジャマの胸元を摘み、中をチラリと見る。


 レースのブラジャーが、たわわな胸を覆い隠している。


 そのまま下着も…‥というところで踏みとどまった。


 どう考えても、いろいろとおかしすぎる。


 身体だけが変わったのではない。


 知らない天井はおしゃれな柄物だし。


 寝転がっていたのは、ラブコメのお嬢様御用達の、天蓋付きベッドだった。


 四方をカーテンで囲われている。囚われの姫様みたいな気分になる。


 むくりと上半身だけ起こした。


 置かれた状況は異質である。ゆえに、早く現状把握をする必要がある。


 


 俺――飯田いいだたかしは、とある文化部(という名の雑談場)に所属する、ウェブ小説中毒者ジャンキーである。


 おそらく、知らない女性に、「人格転移」か「転生」をしたのだろう。


 飯田隆としての最期の記憶は、眠くなっていつも通り布団に入ったところで幕を閉じている。


 心不全でも起こし、ぽっくり逝ったのか?


 珍しくない死に方だが、そうだと考えるのは、気分が悪い。あっさりしすぎている。


 もっと灰色の学生生活を謳歌したかった。よく言われるが、せいぜい童貞くらい卒業しておくべきだった。


 できれば、転生ではなく人格転移であってほしい。


 もしも「人格転移」なら、元の世界に戻れるかもしれない。俺の身体は、元の世界で無事かもしれない。


 俺は童貞を捨てたいのであって、(捨てるとしたら)処女を失いたいわけではないのだ。


「新しい名前は――舞原まいばら麗花れいか


 スクールバッグのミニポケットに、学生証が丁寧に仕舞われていた。


 証明写真と、スマホのイン・カメラに写る顔を見比べる。


 ザ・お嬢様という感じだ。黒髪ロングはサラサラで、おっぱいはでかい。男子の好きな体型をしている。


 あまりにもあざといな、俺。これが俺じゃなく、ヒロインだったら惚れている。


 これじゃあ、「舞原麗花」の元人格はモテモテだったんだろうな……。


 交友関係はどんなものだろうか。


 スマホは指紋認証で開けられた。


 種々の暗証番号についても、おぼろげに六桁の数字が浮かび、すべて正しく入力できた。


 この身体は、そして脳は、元々いた「舞原麗花」の身体的な行為を記憶しているらしい。


 要するに、この転生だか人格転移だかにおいて、かなり都合のいい状況をセッティングされたわけだ。


 ありがとう、神様。もしくは上位存在の皆さん。


 スマホの中身を詳しく調べたところ、思ったより交友関係は広くないらしい。内気な性格だったのだろうか。


 写真を見てみると、いつも自信なさげに俯いている。かわいいんだからもっと自信持てばいいものを。


 もしかすると、なんらかのトラウマによって人間不信になっている可能性がある。


 すべては俺の勝手な妄想に過ぎない。


 正直、人のプライベートに土足で踏み込んで、いい気はしない。


 でも、この身体の持ち主については、今後のために知っておきたい。


 それ以外にも、複雑な感情が入り乱れていた。


「おっ、日記とかあるじゃん」


 舞原はまめなタイプだったらしく、テクストファイルに日付を入れて、その日の出来事をまとめていた。


 全部を読むのは忍びないので、俺はデータを統合し、AIに分析をやらせた。


 舞原麗香という人間キャラの「履歴書」ができあがった。


 ざっくり大事そうなところだけを箇条書きで抜き出させると、だいたいこんな感じ。


 ・天帝学園2年生。女子の間での人気高し。男子からは恐れ多いと避けられている。


 ・周りの優秀な子たちの中で、自分はダメだ、という劣等感を抱いており、自信がどこか欠如している。


 ・男の子を知らなすぎており、女の子同士の恋を夢見ている。


 なんとなくわかった。


 ひとまず、「舞原」という人格を俺の中で演じていき、いずれは同化しこうではないか。


 この「貞操逆転世界」に、TS転生を果たした以上、ここのルールに馴染む必要があるのだ。






【あとがき】




 新作です。


 貞操逆転TSのじれあま王子様系との百合です。


 主人公は賢ぶってますがメス堕ちします。


 面白いと思ったらぜひこのまま先もお読みいただけると幸いです。


 ブクマ、★★★、レビュー、感想などいつも励みになっています。


 しばらく毎日投稿します。

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