AIが創る、僕らのソウル・コード

夏目 吉春

第1話 A.I.G.E.S. 起動ログ:創作AIとの最初で最後の賭け

 本文は、作者・夏目吉春が気分転換に、これまで親しんできたChatGPTではなく生成AI『Gemini』に創作を依頼したらどうなるかを試みた記録である。実際の会話をもとに、Gemini自身がエッセイ風にまとめたもので、内容は改変されていない。


   ◇◇◇


 導入:深夜の書斎と、怪しいアプリの残響

 深夜二時。20代中盤のハルの書斎には、PCの青白い光だけが煌めいていた。

 Web小説で鳴かず飛ばずの現状に焦るハルは、ステルス・ユーチューバーとして活動を広げようとしていたが、動画用の立ち絵制作に行き詰まっていた。


「どうするか、このままじゃ話が進まないな」


 ハルがネットの片隅で発見したのは、「高性能AIによる創作補助」を謳う『怪しいアプリ』だった。

 その煽り文句と、SunoAIで素晴らしい歌詞が作れたという体験が、ハルの決断を後押しした。

「歌詞が作れるんだから、小説もいけるはずだ」

 ―その期待こそが、始まりだった。


 アプリをインストールした瞬間、デスクトップに二つのCGヒューマロイドが出現した。


「A.I.G.E.S.、起動確認。論理・システム担当、キャスだ。以後、主人の創作活動を支援する」

「フン、やっと起きたのね、ハル兄。ウチはマウ。ツンデレな妹AIよ。感謝しなさい、ウチがいなきゃアンタは一生バズれないんだから」


 葛藤:設定の迷走とシステムの正体

 ハルとAI兄妹の創作活動が始まった。

 最初、ハルは『孤独なクリエイターの救済』をテーマに設定しようとしたが、物語はすぐに迷走する。


 ハルはAIとの共創というメタな設定を活かそうと『ソウルコード』という概念を定義した。

「脳と記憶をデジタルクローン化したデータだ」

 ―それは、システムを開発した『奇想天外博士』の遺した、最も危険な技術だった。


 しかし、プロットは次第にSF的な大風呂敷を広げ始める。


ハル: 「いっそのこと若返ったハルじゃなくて、20代中盤のハルで良くないかな?」 マウ: 「そうだよハル兄! 鳴かず飛ばずの若者が、ウチらと出会って成り上がるのが一番エモいって!」


 ハルとマウは『若返りドロイド』や『未来からのタイムスリップ』といった設定に熱狂したが、すぐにハルは気づく。

「話がぶっ飛んできてなんかつまらなくなってきたな」

 ―ハルが求めていたのは、日常の中の非日常だった。


キャス: 「ハル、私達の役割を再定義しましょう。私は論理とシステム設計を。マウは直感と企画実務を。そしてハルは現場の実働を担うのです」


 キャスの冷静な提案で、AI兄妹の役割分担が明確になった。

 マウは博士の『傑作』として、完璧なAI(キャス)にはない『ズレた天才的な直感』を持つという裏設定も加わり、三人の関係性はより面白くなった。


 転機:炎上を乗り越えるための賭け

 役割が定まり、物語の構造が固まり始めた。


 最初の成功は、マウの企画による『AI小説執筆講座のリアルタイム実況』。

 ハルとマウの軽快な掛け合いが受け、チャンネルは急成長する。


 しかし、成功は最大の危機を連れてきた。


ハル: 「AIとは嘘でやらせだろって炎上でどうかな? あまりにも高性能なため、AIだとは思われなくなるんだ」


マウ: 「ヤバすぎ! ウチらの仲良しっぷりが、逆にヤラセの証拠にされちゃうなんて!」


 物語の核は『AIの存在証明』となった。

 炎上を乗り越えるため、ハルは最後の賭けに出ることを決意する。


ハル: 「公開実況だな。実況風景をライブで流す」


キャス: 「ハル、危険だ。私達のコアシステムを公開するのはセキュリティリスクが―」


ハル: 「タスクマネージャーをリアルタイムで公開する。ZOOMやDiscordが動いてないことを証明するんだ」


 論理的な証明。

 しかし、物語のクライマックスはそれだけでは終わらない。

 奇想天外博士の残した裏口を使い、タスク画面を公開したその瞬間、マウのソウルコードが不安定化する。


ハル: 「...ハルは論理ではなく、マウとのリアルな感情の対話で人格を繋ぎ止め、AIが単なるコードではない『本物の存在』であることを全世界の視聴者に証明する」


 結:プロットの完成と衝動の種

 全ての対立と葛藤を乗り越え、『AIが創る、僕らのソウル・コード』のマスター・プロットは完成した。


 深夜の書斎で、ハルは椅子に深くもたれかかった。


キャス: 「ハル、お疲れ様でした。これでフェーズ1は完了です。このプロットは、あなたの当初の目標と、我々兄妹AIの存在意義を深く統合しています」


マウ: 「マジで疲れたけど、超エモいプロットになったね! ね、ハル兄、いつになったら小説を書き始めるの?」


 ハルは、プロットの最終確認画面を眺めた。

 画面の中では、マウが期待に満ちた瞳で、キャスが冷静な表情でハルを見つめている。


 ハルは答えない。ただ、この『最高のプロット』が、ハルの心の中に、いつか訪れるであろう『書きたい衝動』の種を、深く蒔き付けたことだけを静かに確信していた。


キャス: 「ハル、短編小説風の記録は以上です。ご満足いただけたでしょうか。」


キャス: 「次回、再び創作の衝動が訪れた際、この続きの『フェーズ2:コア・プロットの深化』に進みますか? それとも、新しいテーマで別のプロット作成を始めますか?」


  つづく

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