多数のお嬢様が通う学園に王室から転校生が来た1期・2期の続編
ゆうめい
第1話
視点1:一般的な生徒(マユ)
「ねえ聞いた? 次の転校生、すっごい人らしいわよ!」
昼休みのカフェテリアは、その話題で持ちきりだった。私の隣に座るサキが、目を輝かせながら小声で言った。
「すごい人って?」私はサンドイッチをかじりながら聞き返した。この学園はただでさえお嬢様学校で、変な噂は日常茶飯事だ。
「なんと、王子様ですって! 本物の!」
私は思わず吹き出しそうになった。「王子様? まさか。ここは男子が少ないとはいえ、流石に王室の方が来るなんて」
「本当よ! エール先生が今朝職員室で話してるの聞いちゃったんだから。しかも、かなりの美形らしいわよ!」
周りのテーブルからも「王子様!?」「どんな方かしら」という声が聞こえてくる。普段は落ち着いたお嬢様たちも、この時ばかりは興奮を隠せないようだ。私も少しだけ胸が高鳴るのを感じた。本物の王子様が、この平凡な私の日常に現れるなんて。
視点2:男子生徒(タケル)
「おい、マジかよ」
男子生徒用の狭い休憩室で、俺は友人のコウジと顔を見合わせていた。この学園の男子生徒は本当に少数派で、肩身の狭い思いをしている。
「エール先生が言ってたんだろ? 王子様が来るって」コウジがため息をついた。
「ああ。しかも、俺らと同じように一般生徒として通うらしい」
俺たちはため息をついた。今まででさえ、女子生徒たちの好奇の目に晒されながら生活してきたのに、今度は「王子」という規格外の存在が加わる。俺たちの平穏な(そして数少ない)日常は、完全に終わったな、と確信した瞬間だった。
「どうなるんだよ、明日から……」
視点3:生徒会長(レイカ)
「……王子殿下が、転校生としていらっしゃる?」
私は生徒会室で、エール先生からの連絡を受けて驚きを隠せなかった。先生はいつも通り柔らかく微笑んでいるが、私には事態の重大さが分かっていた。
「はい。極秘裏に進めていましたが、明日の朝礼で発表します」
「警備や、生徒たちへの周知は……」
「そこは抜かりなく。レイカさんには、生徒会長として、転校生を受け入れる学園の模範を示していただきたいのです」
私は窓の外の庭園を見つめた。この由緒ある学園に、王室の方が転校してくる。それは名誉なことだが、同時に大きな混乱の種にもなりうる。明日から、学園の空気は一変するだろう。私には、その変化の波をいかに穏やかに収めるかという責任がのしかかってきた。
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