突撃! 隣の世界の晩御飯! 晩外編

瀧音静

第1話 注文からドリンクバーまで

「外食しましょう」

「??」


 異世界組から貰った食材が無くなり、どうしようかと考えて。

 結論。

 外食。


「外で食う……という事は、BBQという事だろうか?」

「あ、そういう翻訳になるんですね」


 まぁ、漢字そのままで翻訳したらそうなるか。


「というと違う?」

「です。家の中じゃなく、飲食店で食事をしましょうって話でして」

「なるほどな」


 という訳でお出かけの準備。

 と言っても、やる事と言ったらジャケットを羽織るくらいなものだけど。


「皆さんは外見の認識を変更する魔法とか使えます?」

「もちろんですわ。何なら、私達を周囲から認識されないようにすることだって可能ですわよ?」

「認識はして貰いたいですね」


 じゃないと、俺が虚空に向かってしゃべり続けるおかしな人に思われかねないから。


「じゃあ、車に乗ってお店に移動しましょう」


 そう言って車のカギを取り、四人を車内へ。

 ……この時点で、自動車と言うものについて散々聞かれたりしたのだが。

 運転中の、目に入るもの全部に興味を持って質問攻めされたことに比べたら、全然マシだったな、と。

 異世界組を外食に連れ出す際には、タブレットとかで日本を旅行している動画を見せて予習させた方がいいかもしれない。

 そう心から思いました、まる。



 着きました。

 お手頃価格のファミレスと言ったら真っ先に思いつくであろうイタリア料理を提供するあの店。

 グラスワインが百円で楽しめるトンデモなお店。

 間違い探しが鬼畜難易度のあのお店です、はい。


「賑わっているな」

「安くて美味しいんですよ、このお店」

「ほぅ?」


 この人達に日本の通貨の価値を説明しても、正直異世界の感覚ってのが分からないからな。

 とりあえず、大まかに安いとだけ伝えてある。


「メニュー見て、食べたい品があったら教えてください」


 店員さんに案内してもらい、テーブルのQRコードを読み取り。

 これでスマホで簡単に注文出来る。

 文明の利器だねぇ。


「まずサラダだな。小エビのサラダは食べたい」

「キャロットラペも欲しいですわ」

「青豆のサラダ」

「トマトとチーズ。あと、生ハムもじゃな」


 続々と注文される前菜たち。

 ちなみに俺はこの人らが頼んだ物をちょっとずつ貰うつもりだから基本注文はしないかな。


「ん?」


 と、ここでメニューを物色していたガブロさんの手が止まる。


「グラスワイン……値段間違えとらんか?」

「その値段で合ってますよ」


 見つけちまったか。

 一杯百円のワインを……。


「赤白両方を人数分。美味かったらマグナムで頼もう」

「微発泡にロゼ、更にはより高価なワインもあるな」


 高価って言っても他の店で買うとこの値段ではなかなか見つからなかったりするけどね。


「サラダだけじゃなんだ。スープはどうする?」

「私はトマトのスープですわね」

「私もそれだ」

「俺はコーンスープ」

「玉ねぎのスープじゃな」


 ……スープは流石にちょっと貰うは出来なさそう。

 俺は玉ねぎのズッパにしようかな。


「ピザやパスタのメインはどうする?」

「カケル、ドリアとはグラタンに米を入れた料理という認識で間違いないな?」

「です。ミラノ風ドリアはこのお店の看板メニューみたいなものですね」


 安さや味で。

 温玉乗せ美味そうだな。


「ピザは一枚注文して皆でシェア。パスタを各々注文するか」

「ピザはどれにする?」

「ソーセージピザ」


 そう言えば軽くスルーされてたけどエスカルゴとか、ムール貝とかはいいのかな?

 俺、辛みチキン好きなんだよね。


「この辺は大丈夫です?」

「む、気になるな」

「前菜っぽいから頼んでおくか」

「これもシェアでいいだろう。エスカルゴ、ムール貝、アロスティチーニ、辛みチキンを一つずつだ」

「はーい」


 ……というか、色々と注文してるけど、これってテーブルに乗り切るのだろうか……?

 いや、みんなで食べるだろうし、多分大丈夫だよね?


「カルボナーラ」

「イカ墨パスタですわ」

「キノコとホウレン草のクリームパスタ」

「ミートソースじゃな」

「とりあえず一旦それで注文しますね?」

「後で追加は?」

「可能です」


 ならばよし、と言われたので注文っと。

 ……この店で見た事無い値段になってるけど、他の店だともっとするからな……。

 あ、もちろんドリンクバーを人数分注文してます。


「じゃあ、ドリンクバー取りに行きましょうか」

「??」

「あそこに用意されてる魔道具で注がれる飲み物、飲み放題です」


 言うが早いかドリンクバーに殺到する異世界組。

 あまりにも早かったけど魔法とか使って無いよね?

 ……あ、戻ってきた。


「凄いな!!」


 いきなりどうしましたマジャリスさん?

 お目目きらっきらですけど。


「飲み放題というから期待していなかったが、ちゃんとどれも甘くて美味い!」

「果汁100%のドリンクもありましたし、充実しているのですね」

「コーヒーなども無料なのだろう? 凄いな、この世界の飲食店は」

「わしらの世界でこんな店やったら確実に翌日潰れるわい」


 信じられるか? まだドリンクバーの話なんだぜ、これで。


「ん? テーブルの上にあるのは?」

「無料で使えるアレンジセットですよ。オリーブオイル、岩塩、ブラックペッパーにホットソース」

「無料……?」

「です。このお店は料理を自分好みにカスタマイズ出来るんですよ」


 追加で粉チーズとか注文出来るしね。

 ……あ。


「ちなみに粉チーズや野菜ソース、半熟卵の単品追加も可能ですけど……」

「なんだと!?」

「スープやパスタ、サラダに追加すると美味しいですよ」

「もちろん追加じゃ!!」


 忘れてたよね、うん。

 さて、それじゃあトッピングも追加注文して……と。

 俺もドリンクバー取って来よ。

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