今日も一杯の紅茶とともに

さとすみれ

Prologue

 あと少しで終わる。


 一杯の紅茶。


 彼と過ごせる時間もあと少し。


 あと一口。


 飲んだら終わってしまう。


 「紅茶一杯の短い時間」をあなたはどう過ごしますか?


―――――――――――――――――


 「好き」という感情って何だろう。


 いまいち理解できない。


 ずっと生きていればわかるかもって思ったけど。


 色々な人に出会っても分からない。


 好きも愛も。何もわからない。誰のことが本当に好きかも分からない。


 だから私は「一杯」にすべてを注ぐ。


 顔も見たことない相手と会って「一杯の紅茶」を飲むだけ。


 その人と過ごす、その一杯に。たくさんの嘘と思惑を乗せて。

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