日本とカナダでのIELTS受験に関する共通点、相違点
いよいよ本題であるが、日本でIELTSを受験し、渡加後またIELTSを受験した筆者が、日本とカナダでのIELTS受験環境の共通点、相違点を列挙していきたい。
■試験時間
●共通点
いずれも朝8時15分開場、9時入場締め切りである。午前中正午過ぎまでにライティング、リーディング、リスニングの試験があり、いったん解散となったのち、午後の指定された時間にスピーキング試験が対面形式で行われる。スピーキング試験の指定された時間が早い場合はそのまま待機室へ案内され、それ以外の場合は指定された時間の一定時間前になったら会場に戻る必要がある。遅刻者への救済措置はないため、公共輸送機関の遅延などを考慮して、基本的には会場時刻よりさらに早め、入室締め切り時刻の1時間前には到着するよう心掛けたい。特にカナダの公共交通はストライキにより突発運休することが多く、また夏季はあちこちで道路の維持工事を行っている関係で「バスが正規のルート通りに走行することはほぼない」ため、特に余裕を見て動く必要がある。
午前中の試験時間内は一切休憩はない。トイレはリスニング試験の試験時間中と、ライティング、リーディングの試験終了時刻10分前以降の時間帯を除く正味100分の間に、各自試験監督に申告して行く形となり、トイレ休憩を取ったことによる試験時間の延長はない。可能であればトイレ休憩なしに3時間回答しきる方が有利であることは明らかなので、可能であれば入室直前に済ませておき、午前中の試験終了まで耐えることが理想である。男性の場合、女性のように「尿意がなくともとりあえず出しておく」ということが体の構造上困難であるため、起床時から試験室入室前のタイミングで行けるよう計画的にトイレに行っておくとよい。逆に女性の場合は男性より尿意を催しやすいため、緑茶などの利尿効果のある飲料の摂取は避けた方がよい。
●相違点
スピーキング試験のための再入場時刻は、日本では試験開始時刻の20分前、カナダでは60分前である。また、日本では午前の試験はライティング→リーディング→リスニングの順で行われるが、カナダでは全くの逆にリスニング→リーディング→ライティングの順になる。リスニング試験中はトイレが利用できないため、尿意の切迫しやすい試験後半にリーディングやライティングの来るカナダの方が、尿意切迫による棄権が発生しにくいため、前立腺が肥大化するなどして尿意が切迫しやすい方には聊か有利に働く。
■試験実施日
日本では基本的に毎週土曜日、月に1~2回木曜日にも開催される。一方、カナダでは月に2回しか開催されず、タイミングを逃すと受験は愈々困難になる。
■会場
日本では会場は札幌、仙台、首都圏、名古屋、京阪神、福岡といった大都市に限られ、地方都市での開催は限定的である。このため、受験のために前日から宿泊が必要となることが多い。一方、カナダの場合相当規模の小さい都市でも必ず一つは会場があるレベルで開催され、基本的には同じ郡域内の最大都市へ行けば受験できるので、宿泊は不要である。さらに、地方都市であっても複数の会場が乱立する傾向にあり、筆者の場合も自宅から徒歩20分ほどの会場で受験することができた。
■持ち物
●共通点
どちらでも試験室への私物の持ち込みは厳しく制限されており、基本的には警備員のいるクロークに私物を預け、ポケットを空にして入室する。ティッシュペーパーは会場内で監督員に申し出れば供給されるため、花粉症などで必要な場合であっても自前のティッシュペーパーは持ち込みできない。
水分補給に関しては透明なペットボトルに入った無発泡、無着色、無味の水のみ持ち込み可。なお、ペットボトルに巻かれているラベルは入室前に取り外し、廃棄する必要がある。
身分証明書はパスポートのみが認められるため、事前に有効なパスポートを取得しておく必要がある。
●相違点
日本では回答は「鉛筆のみ」可である。シャープペンシルは軸の中にカンニングペーパーを仕込まれる可能性があるため不可となっている。鉛筆は試験室で供給されないため、持参した鉛筆を監督員に見せ、細工がされていないかチェックして入室することになる。消しゴムはスリーブのないプラスチック製の、プリントのない白色のもののみ持ち込みできる。鉛筆削りは持ち込みできないが、芯が減った鉛筆を自席の通路側に置いておくと監督員が定期的に削りに来てくれる。
一方、カナダでは「試験会場で供給された黒ボールペン」のみで回答が可能であり、そのほかの筆記具は一切使用できない。つまり、筆記具含めて持ち込み不可であり、試験室に持ち込める私物は前述のペットボトルのみとなる。ボールペンであるため書き間違えた場合は二重線訂正する必要があるが、書き間違えが多いと採点が不利になるのか否かは不知である。
試験室に持参できるペットボトルは、日本では450~650ml程度の自販機サイズに限られるが、カナダでは条件さえ満たせば無制限に大型のものを持ち込み可能である。ただし、前述のとおりトイレ休憩がないため、過度の水分補給はかえって回答に使える持ち時間を減らし、不利になりかねないため注意を要する。
身分証明書となるパスポートは、原本を掲示し、試験中は卓上に置いておく必要があるが、これとは別に試験事務局にカラーコピーを渡す必要がある。日本ではカラーコピーはあらかじめ各自用意し、試験開始前に試験官が回収する形態となっているが、カナダでは受付時に係員がその場で電子データとしてスキャンするため、各自用意する必要はない。当然、試験室への持ち込みもできない。
■服装
いずれも、英字のプリントされたシャツなどは原則不可であるが、カナダの方が判定条件が厳しく、文字のないイラスト等でも不可となる場合がある。
試験中の衣服の着脱に関しても日本では上着程度は認められているが、カナダでは眼鏡でも一切不可であった。
いずれも試験室は空調が完備されており、控室も同程度の室温になっているため、現場で入室前に調整できるよう重ね着をすることが好ましい。
仮に試験中にトイレに行きたくなった場合、女性はトイレ内で衣服を脱ぐ必要があるために着脱のしやすい衣服かどうかが持ち時間の減少量が大きく左右する。スカートなどの脱ぎ下ろしがしやすい衣服の方が失点を最小限に抑えられるため有利と言える。
■リスニング音源
日本では大型スピーカーによる集中放送、カナダでは無線ヘッドフォンへのBluetooth接続であった。このため、日本ではスピーカーの音量確認に時間を要し、結果試験終了時刻が13時を回ることが大半であったが、カナダでは音量調節は各受験者の責任であるため、12時半過ぎには午前中の試験がすべて終了となった。
■スピーキングテスト
日本では巷の英会話学校や中学、高校、大学などの外国人講師を務めるネイティブ講師がアルバイトとして会場を訪れ、対面形式で試験を行う。一方、カナダでは試験会場からビデオリンク形式で試験官と面談を行う形式であり、普段からZoom授業などで「英語でのオンライン面談」の音割れなどに慣れておかないと平時のパフォーマンスを発揮するのは難しい印象があった。
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