第4話 いざ、初仕事
さーて、同行者はちょっと問題ありだけど、とにかく初仕事だ。お金は成功報酬だからね。帰ってからもらうんだ。
「では、奥さま。マンエンディから一番近いCクラスダンジョンへ参りましょう。ここからだと、フィルフィルの森にあるダンジョンですね。馬車でなら一刻ほどで到着しますよ」
「お任せしますわ。ただね、儀式の成功を親族にひろうしないといけないの。ですから、一番奥にダンジョンマスターがいるでしょ? あれを倒したってハッキリわかる証拠の品を持ちかえってほしいのよ」
「わかりました。フィルフィルの森のダンジョンマスターはミノタウロスの親戚ですね」
「えっ? ミノタウロス? それ、ほんとにCクラスダンジョンのマスターなのかしら? 強すぎませんこと?」
「ミノタウロスじゃありません。ミノタウロスの親戚です」
「親戚……」
「まあ、有名なモンスターの血縁をうたっときゃ、人に恐れられるって安易な考えですよね。そういうやつにかぎって、ほんとは弱っちいんですよ。ほら、虎の威をかるなんとかっていうでしょ? えっとぉ、なんだっけ? タヌキじゃなくって、アライグマでもなくって」
奥さまはもちろん、まわりの戦士たちも、みんなの視線がクオームに集まってく。なんで? クオーム自身、こめかみピクピクしてるしさ。
「いえ、まあ、なんでもよろしいのよ。ムリなく倒せるならね。では、行きましょう」
奥さまが困ったような顔で笑ってる。お貴族さまに愛想笑いさせてしまった。はて?
ギルドの連中は自分の馬を持ってたんで、あたしだけ馬車に乗せてもらった。道中、自己紹介とかしちゃってね。奥さまは貴族にしては、とってもきさくだ。
「そういえば、いくら同盟国だからって、お貴族さまが親子二人だけで旅をするのは危なくないですか?」
御者はいるにしても、どう見ても戦闘むきじゃない。ウサギのじいちゃん。
「初戦の儀式の決まりですのよ。ダンジョンへ行くまでは一人だけつきそいがゆるされてますの。ダンジョンのなかへは娘一人で行かねばなりません。ですが、よその国の人ならば、しきたりに縛られませんものね」
「なるほど。だから、マン族の護衛を借りるためにギルドに来たわけですね」
お嬢さまの名前はサユリンちゃん。可愛いなぁ。兄貴が子どものころに大切にしてたウサギさんのぬいぐるみにそっくりだ。
「よーし。じゃあ、サッと行って、チャッチャッとミノタウロスもどきなんか、やっつけちゃいましょう。ね? サユリンさま」
こっくん、だって。きゃわゆい。絶対、守らなくちゃな。まあ、B級戦士が三人、C級僧侶が一人護衛についてるんだから、チョロいもんだ。
ちなみに、クオームのほかは、ユガルド、ゾイム、リゲルだ。男、女、男。戦士、戦士、僧侶。年はみんな、あたしより上だなぁ。
ギルドって出入りする冒険者も多いから、みんな、自分のパーティー以外はあんま、かかわりないんだよね。
マンエンディの街を出て、しばらく畑や放牧地が続く。さらに進むと森だ。
このフィルフィルの森はビースト族の国、オルハイリアーニャとの境にある。
マンエンディの街が人間の国の一番端っこにあるんだよな。マン族のエンドだからって、この街の名前になったらしいんで。
兄貴から教わったんだっけ。頼りないけど、勉強だけはできる兄だった……って、まだ死んでない。死んでない。死なせないぞっと。
国境の森はそこまで広くない。両国から開拓されて、森のなかにも炭焼きの集落とか、オルハイリアーニャ側にはけっこうデッカい街なんかもあるし。
目的地のダンジョンはマン族側にある。森入ってすぐだ。このダンジョンがあるからこそ、ここまで畑がのびてないってことだ。
見ためは森のなかにチョコンと口あけた、かなりちっちゃめの
「さ、行くよ? サユリンさまは、あたしと手つないでこ?」
こっくん。
可愛いっ。
奥さまは馬車で待つことに。御者がいるし、ダンジョンの外までモンスターが出ることはないから、こっちは安全だろう。
「じゃあ、みなさん、ついてきてください。戦闘はみなさんにお任せしますが、移動については、わたしの指示にしたがってください」
「……」
「……」
ああ、他種族のほうが愛想がいい。同じ種族たちはガン無視決めやがるよ。
もらった金のぶん働いてくれりゃ、こっちは文句ないんだけどね。
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