第6話 真愛の到達
深い森を抜け、川を渡り、山を越えた先に広がる草原。リナは立ち止まり、目の前の景色を見渡した。青く広がる空、風に揺れる草、遠くで遊ぶ動物たち――すべてが、これまでの旅で感じた愛と繋がっていることを教えてくれた。
胸の中には友愛、親愛、信愛、深愛――すべての光が積み重なり、ひとつの温かい感覚となって広がっていた。
「……これが、真愛……なのかもしれない」
リナはそっと目を閉じる。愛はもう、他者だけのものではなかった。自分自身を大切に思う気持ちも、過去の経験や出会いすべてを慈しむ心も、すべてが愛だった。
ふと、小さな子犬を抱きしめる。彼の命を守り、共に喜び、悲しみを分かち合った時間――それは深愛であり、真愛の一部でもあった。
「ありがとう……世界」
リナは微笑む。孤独だった少女が、ついに愛を知った。
愛は与え、受け取り、信じ、守ること。時には痛みや悲しみを伴うけれど、そのすべてを抱きしめることこそが、真愛だった。
風が頬を撫で、草原の花が揺れる。リナはゆっくりと歩き出す。これからの道はまだ長いけれど、もう一人ではない。旅で出会った人々、友愛、信頼、親愛、深愛――すべてが彼女を支えている。
そして、リナは小さくつぶやいた。
「私は、愛を知った――そして、これからも愛を紡いでいく」
空は夕焼けに染まり、地平線に向かって光が広がる。少女の心は満たされ、安らぎと希望で輝いていた。
旅の終わりは、新しい始まりだった。
愛を知った少女は、これからも世界に光を与えながら、静かに歩き続ける。
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