第十七話

 そのボードを言われたモノはよく見ると、はばが三〇センチくらいで長さは一メートルくらいだった。そしてその先端せんたんに長い棒がしてあって、上部では十字になっている。どうやら、これをにぎるらしい。


 そう言えばこれは、エルフたちが乗っていたモノと同じだな。なるほど、今のエルフたちはこれに乗って移動するらしい。とにかく私は、そのボードに乗ってみた。そして十字になっている操縦棒そうじゅうぼうを、握ってみた。


 だがボードは、ピクリとも動かなかった。あれ? ボードに乗って操縦棒を握れば、動くんじゃないの? と私が戸惑とまどっていると、受付うけつけのお姉さんが近づいてきて説明してくれた。

「お客様。これは、魔法で動くんです。ボードに意識を集中して、『フライ』ととなえてください」


 そう言われて私は、やってみた。「フライ!」 そしてボードが、上昇じょうしょうするイメージをしてみた。するとボードは、ふわりといた。おお、浮いた! そして五階まで上昇した私は、そこでりた。うーん、ボードはフワフワしてて、なかなか乗り心地ごこちが良い。ほうきで飛ぶよりも、簡単なような気がする。


 そうして私は自分の部屋に入って、荷物を置いた。金属製のバケツと竿さおと、ほうきを。それから部屋を出てボードで、一階に下りた。うーん、やはり乗ってみたい。この、ボードと言うやつに。なので私は、受付のお姉さんに聞いてみた。

「すみません。このボードに乗りたいんですけど、貸しているところとかありませんか?」


 するとお姉さんは、笑顔で答えてくれた。

「はい。ボードならこの国の、いろんなところでレンタルしてますよ。近くですと、ホテルを出て左に行けばレンタルしてますよ」

「そうですか、ありがとうございます」


 なので私は早速さっそく、ホテルを出て左に曲がった。するとそこには、ボードがずらりと並んでいた。そしてちょっと、としを取ったエルフがいた。おそらく、店員だろう。私はそのエルフに、聞いてみた。

「すみません。ちょっと、このボードを借りたいんですが?」

「はい、どうも。一日、五○○○ゴールドです」


 私は一万ゴールドを払って、お釣りをもらった。そして早速、ボードに乗ってみた。すると店員のエルフは、聞いてきた。

「お客さん。見たところあなたは人間のようですが、このボードの乗り方を知ってますか?」

「はい、一応」

「そうですか。それでは、いってらっしゃい」


 私はボードに乗ると、十字の操縦棒を握った。そしてボードに意識を集中して、魔法を唱えた。「フライ!」 するとやはりボードは、ふわりと浮かんだ。うん、ここまでは、さっきもできた。そして十字の操縦棒があるということは……。


 私は操縦棒を右に、回してみた。するとボードも、右に向きを変えた。おお、ということは。私は今度は操縦棒を左に曲げてみると、やはりボードも左に向きを変えた。なるほど。この操縦棒でボードの向きを変える訳か。


 そして私は、操縦棒を前にたおしてみた。するとボードは、前進した。おお、やった! ボードが動いた! 感動した私はボードを右折、左折、それから操縦棒を前に倒してボードのスピードを上げた。きゃはははは! 何これ、すごく便利!


 そうして私はエルフの国を、見学してみた。そこには灰色のレンガで造られた、高い建物がいくつもならんでいた。高さは、五十メートルくらい。そして多くのエルフたちはボードで、地面や私にように空中を移動していた。


 よく見るとエルフたちは、ボードのまま建物に入って行った。どうやらこの建物に、エルフたちは住んでいるらしい。なるほど。移動は全て、ボードなのか。便利だなあ。


 そうして私は、感心した。うーん、都会だなあ。ウワサには聞いていたけど、エルフの国は都会だなあ。こんなに便利な道具があって、多くのエルフが住んでいるからだ。おそらく人間の国の人間よりも、ここに住んでいるエルフの人数の方が多いだろう。うーん、やっぱり都会だ。


 そうして感心していると、お腹がいてきた。ああ、そろそろお昼か。どうせなら、エルフが食べているモノを食べてみたいなあ。そう思いながら探していると、ある建物の中ほどの高さに『RESTAURANT』という看板かんばんを見つけた。お、レストランか。よし、入ってみよう。


 そこの入り口らしきところには、ボードがずらりと並んでいた。なるほど、ここにボードを置くのか。なので私もボードを置いて、奥に進んだ。すると丸いテーブルがいくつも並んでいたので、その一つのイスに私は座った。他のテーブルを見てみると、やはり昼時だからだろう、多くのエルフがたちがいた。


 そうしてキョロキョロしていると、店員と思われる女性のエルフがやってきた。「いらっしゃいませ」と私に声をかけて、水とメニューを置いて行った。エルフはどんなモノを食べているんだろうと興味を持ちながら、メニューを見てみた。するとほとんどが、野菜の料理だった。なるほど。エルフは、肉は食べないらしい。


 確かに肉ではなく野菜を食べる方が、私はイメージしているエルフっぽい。そう考えながら、私は何を食べるか考えた。

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