第七話
そうして私は、背中とお腹の部分の
まあ、いい。残りは家に持って帰って、お父さんとお母さんに食べさせよう。だがそこで、気づいた。
だああああ! また食べちゃった! ビューティフル・テイストのイシーロさんに渡して一〇万ゴールドをもらう、タイを食べちゃった! もう、どうして食べちゃったんだろう? バカなの? 私はバカなの?!
と落ち込んでいても
街に戻った時には日が
そこは白いレンガで造られた三階建ての建物で、この街でもよく
「すみませーん! リーネですー! イシーロさんはいますか?!」
すると少しして、白い調理服を着た笑顔のイシーロさんが現れた。
「よう、リーネちゃん。その
「はい!」
私はバケツからタイを取り出して、イシーロさんに渡した。イシーロさんはくまなくタイの全身をチェックすると、
「うんうん、こりゃあ良いタイだ。ちょっと待ってな」
そう言い残してイシーロさんは、建物の中に入って行った。少しすると戻ってきて、右手を差し出した。
「金貨一〇枚で、一〇万ゴールドある。確認してみな」
私は受け取った金貨を、数えてみた。うん、確かに一〇枚ある。なので私はイシーロさんに、お礼を言った。
「ありがとうございます!」
するとやはりイシーロさんは、微笑んだ。
「いやいや。こっちこそ、
「はい!」
そうするとイシーロさんは、「それじゃあ俺はこれから、これを料理するから」と言い残して建物の中に入って行った。私はその
ちゃんとタイを渡して、ちゃんと一〇万ゴールドを受け取ったからだ。それから私はウキウキした足取りで、家に帰った。するとお母さんが夕食の準備をしていたので、タイを渡した。
「お母さん! このタイをあげるね! 私が半分、食べちゃったけど!」
するとお母さんは、微笑んだ。
「まあ、立派なタイねえ。うん、これも今夜のおかずにするわね」
そして台所で料理を始めようとしたお母さんに、私は声をかけた。
「あ、そうだ。これ、
「え? なあに?」
私はお母さんに、金貨を一〇枚手渡した。
「一〇万ゴールド、預かってて。タイをビューティフル・テイストのイシーロさんに渡したら、くれたの」
するとお母さんは、笑顔で受け取った。
「なるほど、そうね。私が預かっておくわ。必要な時は、言ってね」
「うん!」
そこまですると、私は急に疲れを感じた。無理もない。今日は久しぶりにほうきに乗ったし、タイを二匹も釣ったし。なのでお母さんが夕食を作るまで、私は自分の部屋のベットで横になった。するといつの間にか
「起きなさい、リーネ。夕食の時間だよ」
私は目をこすりながら、答えた。
「え? 夕食? あ、そうか。私、寝ちゃってたんだ……」
テーブルのイスに座ると、テーブルの上にはパンとスープと大皿の上に
「お母さん。タイを、どうしたの?」
「うん。塩を振って、焼いてみたの」
なるほど、タイの塩焼きか。それは
タイは塩が
朝。目が覚めると私は早速、
「ねえねえ、アオマさん。またイシーロさんから、タイを釣ってくれっていう
「ううん。ないよ」
「ああ、そうですか……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます