第3話
効果音 タクシーの止まる音。
「(竹内修)二千円からね。
あ、それからレシートちょうだい」
ドアの閉まる音。潮鳴り。
竹内修 ここ?
速水久美 そうです。おしゃれでしょ。
竹内修 へえーっ、確かにしゃれてるねえ。
下田とは思えないなあ。
効果音 ドアの開閉の音。
BGMはアンニュイなジャズ。
(Blossom Dearie)
竹内修 うわー、内装はすんごくおしゃれ。
青山の本社近くのカウンターバーに
ひけをとらないんじゃないの。
マスター いらっしゃい。
あ、速水さんどうも。
速水久美 こちら新しく来た所長さん。
竹内修 どうも初めまして
マスター あ、どうも初めまして。
どうぞごひいきに。
速水久美 今日はお客さん少ないですね。
マスター いや、まだ時間的に早いですから
これからなんですよ。
速水久美 じゃ、まん中に座りましょ。
ね、所長さん。
マスター はい、タオル。
速水久美 はい、これは所長さんの分。
竹内修 ありがと。
マスター まずは、何になさいますか?
竹内修 ちょっと待ってね。
今、メニュー見るから。
速水久美 まずは、ビールにしますか?
竹内修 そうだね。
カクテルはその後にするか。
速水久美 マスター、中生二つください。
竹内修 うーん、BGMもいいね。
アンニュイな感じで。
速水久美 気に入っていただけましたか?
竹内修 ああ、とっても!
マスター はい、中生です。
速水久美 じゃあ、乾杯!
竹内修 乾杯!
効果音 ジョッキの当たる音
速水久美 下田にもこういうお店
あるんですよ。
(皮肉っぽく)所長さんは
ド田舎と思っているみたいですケド!
竹内修 ちょっと認識を改めなきゃね。
速水久美 ところで、
社宅の方は、住み心地どうなんですか?
竹内修 えーと、
1LDKの一戸建てなんだけど
まあまあかな。一人だからね。
あまり広くても落ち着かないよ。
速水久美 ご家族を東京に置いての
単身赴任ですか?
竹内修 いや、僕は独り者だよ。
うーん、家内は乳がんで他界したんだ。
子供はいなかったからそれからは一人。
速水久美 そうですか、
立ち入ったこときいてすいません。
でも私と似ていますね。
私も死別なんですよ。
竹内修 (驚いて思わず大声で)えっ?
速水久美 驚いたみたいですね。
ふふ。今はひとり。バツイチですね。
竹内修 (おもわず)でも、……。
速水久美 (落ち着いて)でも、何ですか?
竹内修 (どぎまぎして)あ、いやあ、
若いのに。えっ?
再婚話たくさんあるでしょ。
きれいだし、
その、なんというか、センスいいし。
速水久美 (落ち着いて)
あら、お世辞がお上手なんですね。
そんな風に思って下さるのなら、
私をもらってくださいます?
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