第3話

前回までのあらすじ。

わたしは、大学生。名古屋から、豊橋の大学に通う。

推理小説研究会。同僚に、高橋ワゴンという人物がいて、

大阪吉本に合格。

 アルバイト先は、ロッテリアで、社員の上井に

 欲情するといった物語。


「上井さん。」


わたしは、上井が腹をすかしているだろうと、

麻婆豆腐をふたつ買ってきた。上井と二人で食べようと思ったからだ。

すると、控室にカオリも入ってきてしまった。


「あら。内山田さん麻婆豆腐持っているじゃない。

 ひとつわたしにくださいな。」


「おいおい。これはだな。神聖なマーボーで、

 わたしと上井マネで食べようと思ってな。」


と、説明しているにもかかわらず、カオリは

マーボーに手を出してしまった。


「あら、いいのよ。内山田君、食べてしまいなさい。

 わたしは、また、買ってくるから。それに

 本日は、マーボーといった気分じゃなかったの。

 ゴメン。ゴメンやで。」


また、肩透かしにあってしまった。

そういえば、このあいだ、若乃花がおっつけについて

説明していたが、恋にも、おっつけといった技術があれば

どんなにいいだろう。恋愛だけは法則はない。


恋愛の法則は、押したり、引いたりだよなぞと言うが、

そんなカンタンなものではないのだ。


「カオリ。今日、シフト入ってないじゃないか。

 なんで、来たんだよ。」


「シフトなくても、来ていいじゃない。

 ここは、放課後のクラブ活動みたいなところだし、

 つまり、煙草すいに来たのよ。」


「未成年のくせに。じゃ、パチンコ行こうか。」


「パチンコって。内山田さん、今日シフト入っているじゃない。

 上井さんは、早番だから、店長とダウン作業じゃない。」


店長は、渡辺といい、既婚者だった。

一度、クリスマスパーティしたことがあったが、

小さな娘さんがいて、しあわせそうな家庭だった。

コートを着用すると、往年の太陽にほえろのようで

さまになっていた。

しかし、革のコートのボタンひとつ、とれかけていたのが

どうもわたしには、わからなかったのだ。


「店長。わたし縫ってあげようか。

 こうみえても、器用ですよ。」


「いいよ。ボタンひとつなくても

 コートは、コートだ。それより

 帰りなさい。彼氏が待っているのでは

 なかったかな。婚約の準備じゃなかったかな。」


店長にうながされると、上井はすぐ更衣室で着替えて

帰宅していった。わたしは、店長とダウン作業するのは

苦手だったけれども、バイトだからしかたなかった。

いつか、職人になって親方になれば、ダウン作業しなくていいだろうと

漠然とわたしはイメージを持っていた。

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